センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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27話 人類はまだ詰んじゃいない!

 27話 人類はまだ詰んじゃいない! 

「セファイルで事を起こそうと思ったのは、『ラムドと接点を作る為』というのも大きな理由の一つ。レイモンドという下地は出来たことだし、そろそろ、ラムドと接触して、正式に彼を傘下に入れるつもりだ。だから、まあ、今はまだ違うというだけで、ラムドはゼノリカサイドだよ。ゼノリカは狙った獲物を逃さない」

(まだラムドは……どちら側でもない……)

 モナルッポの中で希望が灯った。
 ラムドまでゼノリカサイドだったらお手上げだった。

 ――誰も知らない事だが、モナルッポは、勇者を敬愛していた。
 あの輝くような『強さ』に、心酔していた。
 憧れていた。
 自身がズバ抜けて強いからこそ、勇者が有する『武の高み』がより鮮明に理解できた。
 モナルッポが実は心底から憧れていた勇者――そんな勇者を倒した男がラムド。

(ラムドを人類側にとどめておくことができれば……まだ勝機はある……あの底が見えない天才召喚士の力さえあれば……)

 かすかな希望だ。
 モナルッポはバカじゃない。
 理解はしている。
 勇者を倒したラムドは間違いなく強者だが、このUV9には絶対に勝てない。

(だが、それは、今のラムドでは勝てないというだけ……俺が知るかつてのラムドは、勇者に勝てる力など持ち合わせていなかった……だが、ラムドは勇者との闘いで覚醒し、人類最強の勇者を倒した……輝き始めたラムドの『未来』ならば……あるいは……)


「勇者の次に厄介そうな魔王リーンはラムドの支配下にある。ラムドを手に入れれば、リーンもそのまま、こちら側になるということ……実に効率的だ。そして、ハルスやリーンに匹敵する面倒な『君』はここにいる」

「……」

「これまでに支配してきた七つの世界で、われわれは、多くの抵抗は受けてきた。団結した人類の面倒臭さは理解している。だから、われわれは待った。余計な被害をさけるため、慎重に探りをいれ、下地をつくり、機会を待った。そして、ついに、収穫の時がきた。人類には、もう、ゼノリカに抵抗する駒は残っていない。君たちは飲み込まれ、我々は神に成る」

 そこで、モナルッポの脳裏に希望が灯った。

(そうだ……人類が団結すれば……力を結集すれば、出来ない事はない……これほどの強大な力を持つ邪悪な魔王を討ち滅ぼす事だって、きっと出来る!)

 折れてしまわぬように、モナルッポは、強く、強く、希望を胸に抱く。

(逃げなければいけない。俺の力は絶対にいる。……俺とラムドとリーンとフーマー……他の冒険者と、他国の軍と……人類が持つ全ての力を合わせれば……きっと……)

 そのまとめ役こそ、モナルッポが求めた『世界の王』の姿。
 勇者ハルスを失った今、『未来を守るための大決戦』を指揮できる『勇者(ヒーロー)』は自分しかいない!

(どうにか、ここから逃げ伸び……そして、人類を結集させる……そうすれば、可能性はあるっ! 人類はまだ詰んじゃいない!)

 ゼノリカがとんでもない組織だという事は理解した。
 しかし、状況証拠が物語っている。
 人類には、まだ可能性が残っている。

(逃げる方法は、きっとある。そうでなければ、慌ててキッツを捕まえたりはしない)

 『逃げる方法がある』だから『慌てて捕まえた』。
 結びつけるには、あまりにも拙い理由。
 だが、すがる価値はある理屈。

(生き残るんだ。そして逃げのびる。何があろうと、絶望に潰されたりしない。必ず生き残る……)

 『キッツが最速で捕まったという事実』の『奥』に一歩踏み込んだ結果、むしろ希望がもてた。
 モナルッポの心に強い火がともる。

(人類総出で、この強大な悪――『超魔王ウルトラバイオレット・ゼロゼロナイン』を殺し、人類の未来を取り戻す……っ)



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