センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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26話 神を目指している魔王の闇。



 26話 神を目指している魔王の闇。


 渾身の一撃を、片手で受け止められる。
 その絶望を目の当たりにしたモナルッポは、青くなって、


(こ、これでも、届かない……くっ……大量の魂魄牧場……それにより得た強大な力……神になろうとしている魔王の闇……くそぉっ)


 サードアイが見通したUV9の実力は、全力を出したモナルッポの倍以上。
 最初から勝てる訳がないことは分かっていた。
 しかし、流石に、まったく届かないとは思っていなかった。


「くっ、くっそぉおお!」


 叫びながら、モナルッポは剣をふる。
 モナルッポは、自分が積んできた努力の全てをUV9にぶつけた。
 モナルッポは努力してきた。
 本当に努力してきた。
 だが、そんなものは、本物の超越者の前ではゴミだった。


 UV9は、結局、三分間、一度も動くことなく、右腕一本だけでモナルッポの攻撃をしのいだ。
 空間を飛び交い、ありとあらゆる魔法・剣技を駆使して暴れるモナルッポを赤子扱い。
 結果、UV9は傷一つついてはいない。
 汗の一つだって、かいちゃいなかった。


「この絶対的な絶望下で、三分間、最初から最後まで全力で闘いぬいたね。なかなかできる事じゃない」


 オーラがつきて、倒れ込んだモナルッポ。
 指一本動かす事ができなくなった彼の耳元で、UV9は、


「君はいい素材になる。だから、もう少し絶望をあたえる」


 黒い笑顔を浮かべて言う。


「ここから逃げるのは不可能だ。その証拠として、ほら」


 UV9が指さした先では、拘束されたキッツが転がっていた。
 あっさりと無力化された部下の姿を見て、モナルッポは、


「キッツ……っ……ぁ……っっ……ぅ……ぅう……」


 苦々しい顔で奥歯をかみしめる。
 ――キッツなら、逃げ切ってくれるはず。
 信頼している部下に託した人類の未来。
 だが、残っていた最後の希望は目の前で転がっている。


「残念そうな顔をしているけど、仮に、あの忍が逃げ切っていたとしても、とくに意味はなかったよ」


「は……?」


「だって、君たちの世界の親玉である精霊国フーマー、その上層部は、とっくの昔に、私たちの存在に気付いているからね」


「?!」


「この世界の上限をはかるために、ゼノリカ側からチョッカイをかけたのさ。だから、まあ、フーマーの上層部が能動的に気付いという訳ではないんだけどね。で、すでに、われわれは、フーマーの底をはかりおえている。君が頼りにしているフーマーは、確かに、そこそこの戦力を保有していたけれど、残念ながら、あの程度じゃあ、どう頑張ってもゼノリカには勝てない。ゼノリカは強すぎるからね」


(フーマーの上層部とは既に抗争中……世界はとっくの昔に、動き始めていた……俺は、そのことにすら気付けなかったレベルでしかないということか……クソ……)


「フーマー以外で厄介な存在だった『勇者ハルス』は、ラムドがやってくれた。ラムド・セノワールは実にいい。あれは、非常に使い勝手のいい道具だ。闇に属する者であり、純度の高い野心を持っている。ぜひ、ゼノリカに入ってもらいたい。というより、絶対に、ゼノリカへ所属させる。ゼノリカは望むものを全て手に入れる」


「……っ……ラムドは、ゼノリカとは無関係なのか?」


「ん? それは、どういう質問……ああ、なるほど。ここまでの流れから、ラムドのことを『すでにゼノリカの傀儡くぐつなんじゃないか』と疑っていたって感じかな? まあ、ラムドは、勇者を倒し、戦争を起こした稀代のトラブルメーカーだからね……確かに、やっていることだけをみれば、ゼノリカの工作員っぽい」


「……違うのか?」


「あれは天然モノだよ。強大な資質を持ち、眠ったフリをして、いまかいまかと世界を落とすチャンスをうかがっていた獅子。ゼノリカは、ラムドの動きに便乗しただけさ」





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