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10話 『アダム』VS『三至』



 10話 『アダム』VS『三至』






 問答無用でオーラを練り始めたアダムを見て、三人は、


「やれやれ、ヒステリー持ちが上司になると、面倒じゃのう」


「まったくね。……あーあー、もう、上司様の戦闘態勢がバッチリ整っちゃったみたい。どうやら、やるしかないみたいよ」


「みなさん、分かっていますね。師の側仕えを殺害するなどもってのほか。決して――」


「みなまで言うな。無茶はせん」


「私がテキトーに足止めするから、あんた達二人で、軽く削って終わらせてくれる?」


 ミシャの言葉に、二人は頷いて、それぞれ、魔力を練りだす。


 戦闘態勢に入った三人を見て、
 アダムは、


「なんだ、そのナメた初動は……まさか、三対一だから、自分達の方が有利だとでも思っているのか? はっ……バカどもが」


 そこで、アダムは、瞬間移動で距離を詰める。


 存在値が同等のため、『見えないはやさ』ではなかった。
 三人とも、即座に対応する。


 それぞれが、最速で最善手を選択し、アダムから有利を取ろうとする、
 ――が、


「カスどもが、ユルい受けしやがって……ヘドが出るっ」


 アダムの動きは、決して、ケタ違いではなかった。
 ステータス的には、三人とほぼ同等。
 しかし、


(マズいわね……エリア単位で圧力をかけられて、展開ができない……打点が皆殺しにされている……ていうか、全部、たりない……ウソでしょ……こんなに差がある?)
(置きのジオメトリが、ことごとくつぶされておる。いったい、どれだけ先まで読んでおるのか……いやはや、ほんと、凄まじい支配力じゃよ。見とれてしまうわい)
(半歩……常に先を取られる……っ……近距離戦では『生き』がない……制圧力が違いすぎる……信じられない……)






 ほんの数秒の戦闘で、
 三人は、『アダム』を思い知る。


 ――アダムは強すぎる。


 もともと現闘力は最強クラスで、その上、シューリ・スピリット・アースという、究極最強神を育て上げた超々指導者の手ほどきを受け、神闘を覚え始めた『才能の塊』に、『神の領域に触れ始めたばかりの三人』が勝てる訳がなかった。




「ゴミ! ゴミ! ゴミィイ! 話にならん!」




 アダムは、ジャミの攻撃を余裕の全回避し、ゾメガを睨み一つで牽制し、平熱マンの腹にヤクザキックをいれながら、叫んだ。


「基準を『ゼノリカ以外』に置くのであれば、『まあまあだ、くるしゅうない』と褒めてやってもいい! 貴様らは決して無能ではない! この短期間で、随分と強くなっている! それは認めよう! しかし、『主上様を最も愛する者』を名乗れるほどではなぁぁい!」


 呆れと怒りに身を任せ、アダムは、


「その程度で! その程度で! その程度でぇええ! よくも、まあ、ほざけたなぁあ!」


 さらに、オーラをひねり上げる。


 すると、両手足首に、漆黒の輝きを放っているリングが出現した。
 それは『ベルベットプリズン』と呼ばれる縛り用のマジックアイテムで、手足首から先がなくなるというもの。
 ただ手足が消えるだけではなく、基礎的な攻撃力と速度に、大幅な制限がかかる。
 かなりオーラと魔力を注ぐことで、どうにか『殴る為の拳』を出現させることは出来るのだが、その際に武器を持つことはできない(ベルベットプリズンは、『神の型』のいくつかを覚えるのに便利なため、神闘の訓練では頻繁に使われている)。


「ここから、私の火力と速度は半減する! 貴様ら程度が相手だと、これでも縛り足りないくらいだ! いい加減、理解できただろう! さっさと、ナメた態度を改めて、死力を尽くしてかかってこい! 貴様らの全力を、鼻で笑ってやる!」


 距離を取り、フィールドの構築に移行したアダムを見て、
 三人は理解した。


 ――今のアダムは、限界を超えて、己を縛っている。
 将棋で言えば、王以外を全部捨てたようなもの。
 その上で、『まだハンデが足りない』とまで言われてしまったのだ。







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