センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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23話 不完全なエックスはゼノリカの夢を見ない。

 23話 不完全なエックスはゼノリカの夢を見ない。


 ――『リーンの理想』は、『ぬるい妄想』と勘違いされることが多い。
 が、しかし、リーンの理想は、決して『みんなで、おててをつないでキャッキャウフフ』という『結果的に独裁政権を産むだけの不完全なソーシャリズム』ではない。
 『平等を履き違えない、真に豊かな世界の構築』こそが、リーンの理想。


 不条理を淘汰して、重ねた努力がキチンと実を結ぶ、
 『真に他者を思いやれる世界』を創ることが、リーンの理想。


 もちろん、実現不可能な理想。
 わかっている。
 だが、


『不可能だと嘆く前に立ちあがれ!!』


 リーンは闘った。
 不可能を前に、必死で抗った。


 リーンは決して平等を求めない。
 何もしない者が益を得る世界はむしろ不浄だと考える。




 ※ 神を抱えるゼノリカで、激しい競争が求められるのは、
   平等を履き違えれば、枯渇と堕落を産むだけだと理解しているから。




 ゼノリカを知らずとも、リーンは、直感で、『それ』が理解できていた。
 だから、温かい平和を求めながら、しかし、決して平等は求めなかった。


 リーンが望む『誰も苦しまない理想郷』は、決して、『惰眠をむさぼっていればそれで全てが解決するような、思考が停止した世界』のことじゃない。


 ――誰もが真剣に、『温かい平和』を実現するために努力しつづける世界。
 ――空想的な社会主義ではなく、根性で善を成そうとする特異な実力世界。
 それがリーンの望む理想郷。


 命は悪でも善でもなく、根性次第でどちらにでもなれるという思想のもと、全員で、全力で善を求めて、真の豊かさ・幸福(平和)に辿りつこうとする理想。
 だれしもが、『本物の温かさ』や『愛』を『深く理解』しようと競争しあう理想郷。
 おそろしく高い次元での精神的調和を求める『有機的な社会(愛をOSにした政治機構)』の構築。


 リーン・サクリファイス・ゾーンの理想は、ほとんど神話の域にあった。


 リーンの望みは高すぎて、人の手には余る。
 他国の中には、『リーンの想い、その尊さ』を理解している者も少なからず存在している。
 『リーン・サクリファイス・ゾーンの思想は、まさに、人類が目指すべき理想だ』と称える者だっている――が、人の手では届かない理想を語るリーンに、『けれど、さすがに、その理想が現実になることは、未来永劫、ありえないだろう』としり込みしてしまっているのが現実。


 結果、いつまでたってもリーンの理想は多数派にはなれない。
 不可能を可能にする術を持たないエックスの民衆は思想の檻から出られない。
 『ありえない』という前提が覆ることはない。




 ――この世界は、その『誰もが不可能だと確信している妄想的理想』を『現実』にしてみせた『全てを包み込む光((ゼノリカ))』の存在を知らないから。


 『どれほどの絶望を前にしても、決して諦めなかった究極のヒーロー』という『絶対的な精神的支柱・決して揺るがない高潔な象徴』のもとで結束し、限りなく完璧に近い『命の調和』を果たしてみせたシステムを知らない。


 ゆえに、エックスはゼノリカ(全てを包み込む光)の夢を見ない。
 心にセンエース(完全なる神)が宿っていない世界で倫理的完成は起こり得ない。










 ――ラムドの暴走に対し、呑気に構えているカバノンの向こうで、
 セファイルとミルスの代表も、それぞれ、呑気に思う。


(ウチのバカ弟を殺せたその実力は畏怖に値する。もし、まだ、その余力があるというのなら大問題。けれど、いくらラムドといえど、現世界最強のリーン・サクリファイス・ゾーンとぶつかれば損耗は免れない。この状況で剣を抜くということは、私とカバノンとリーンを同時に相手にするということ。勝てる訳がない……)


(魔王とラムドが組んで人類に牙を向けば、かなり鬱陶しい事になるだろう。カバノンとサーナが共闘したとしても、魔王&ラムドが相手なら、ハッキリ言って勝機はない。なんせ、魔王&ラムドのコンビは、かの大帝国を滅ぼしたほどの相性抜群で強大な力。しかし、この場で、そのコンビネーションが炸裂する事はありえない)





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