センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

80話 全世界ナンバーワンの可能性

80話 


「おっと……んな事言っている間に、結構、時間を使っちまったな……まだまだ実験したりないけど、てめぇを殺せないまま、俺が気絶しちまったらまずい……というわけで、そろそろ、バイバイ」


「ま、待って……お願い……助けて……ごめんなさい……死にたくない……本当に、配下になります……私を、あなた様の部下に――」


「なんか、お前、それ、マジで言ってそうだな」


「はい! 本当です! あなた様の力は素晴らしい! 主など目ではない! 私はあなた様の配下として、今後、永遠に――」


「俺より強い奴が現れたらどうする?」




「ぇ?」




「答えなくていいよ。分かっているから。――お前は、今後、俺より強い奴が現れたら、当り前のように、そっちにつくだろう。『私は常に強い奴の味方だ』ってやつだな。非常にクールでアバンギャルドなスタンスだとは思うが……今の俺には、その狂気を背負えるだけの度量がない。わずか五歳で世界を何十回も救ってしまうような破格の超天才救世主なら、お前の話にも耳を傾けるかもしれないが、俺はまだまだその高みに達していない。結論――ただのマイナスにしかならないブタ野郎を飼う気はない」




「ひっ、ひっ――くぅ! ぬゥウウ……カスヤロォ!! 死ねぇえええええええ!! 光撃、ランク9ぅう!!!」




 もはや何を言っても無駄だと悟ったホルスドは、己の存在値を削る覚悟を込めて、『全力の一歩向こう側にある魔法』を放った――が、


「……ありがとう。攻撃を受けた際の実験もしておきたかったんだ。助かったよ。……んー、このAEGBってやつ、たぶん、HPの別表記で、エグゾギア専用のバリアだと思うんだけど……これが50万くらい減ったな……なかなかのダメージだけど、1兆近くあるから、屁みたいなもんだな」




 殺神は、ピクリともせずにそう言った。




「痛みを感じなかったのは、攻撃が弱過ぎるから? それともそういう仕様? ……まあ、いいか。それは追々で……ダメージを受けるだけじゃあ、稼働時間は減らないって事が分かっただけでも今は充分」


 AEGBが減った際の『感覚』に『痛み』はなかったが、『減少がない』は在った。


 ただ、それは、バリア再生機構が現在は沈黙しているからであって、今後の改造で、その辺にも着手していくと、ダメージを受けた際にも稼働時間が減少する事はありえる。


 ――頭の中に入ってくる情報を、ゼンは高速で処理していく。
 『これが二回目』という事もあったし、『神様からもらった情報よりも、量だけは少なかった』というのもあって、ゼンの脳は、アスラ・エグゾギア‐システムについてのアレコレを、かなりの速度で掴んだ。


「そんで、今後、このAEGBや火力や機動力はもちろん、自動回復系や防御力系や魔法系も改造で強化できると……うはっ、夢が広ガリング」


「……たす……けて……」


 ゼンは、ホルスドをガン無視して、思考を続ける。


「ただ、一度使ってしまうと、途中で解除できないっていうのがなぁ……ああ、それを可能とする改造とかもできるのか……ただ、今は『GP』とか『エグゾギア自体の経験値』とか『素材』とか、色々と足りないから、出来ないと……へぇ、10兆GPで獲得できる『フッキ鉱』ってやつを使うと、かなり尖った改造もできるのか……これ、改造方法もロマンの塊だな。いくらでも自由にカスタマイズできる。武装一つとっても、カスタムは自由自在。『拡張』も『外装イジリ』も望むがまま。……楽しみだなぁ。いったい、俺は、どこまで強くなれるんだろう。……ああ……人生、たのしぃよぉ」




「たすけてぇええ! いやだぁああ! 死ぬ! こいつは、本当に私を殺す! 主よ! 主よぉおお! 私を! どうか、助けてぇえ!!」


「残り1秒。流石にもう遊べない。と言う訳で、本当に、」


 そこで、ゼンは、拳を、


「じゃあな」














「ぁ――」










 豪速で、ホルスドに叩きつけた。


 ブシャっと、破裂して、血が舞った。


 一撃で、一瞬で、肉が塵になったのだ。














 恐竜に踏みつぶされる蟻。










 ソレよりも遥かに酷い格差。
 もっと、もっと、大きな差が、ゼンとホルスドの間にはあった。


 笑ってしまうほど呆気ない最後。


 本当に、結末は、実にあっけないものだった。








 しかし、これは、当然の帰結。






 神にすら成り切れぬカスが、『全世界一の可能性』に抗えるはずがなかったのだ。





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