やはり、創造神の加護はチートでした

弥音 雪

64話 パーティーの後




  パーティーが一通り終わり貴族達も次々と帰る中レオンは応接室に向かっていた。

  あの貴族達の誘いを丁寧に断り続けて満身創痍になった時に1人のメイドが自分の元に来て、王様がパーティー後に話したいことがある、と伝えた。
  内容は検討がつかなかったが特に断る理由もないので了承した。

  そしてメイドに連れられて部屋の中で王様を待っていた。

  しばらく待っていると外から何人かの足音が聞こえてきた。

「失礼するよ」

  すると扉が開かれた。レオンは立って迎える。

「さっき会ったばかりだが久しぶりだなレオン君」

「はい、お久しぶりです」

  と軽く挨拶をする。すると王様の後ろからフィリアが顔を出した。

「さっきぶりだね」

「はい!ブレスレットありがとうございます!おかげでいつもの疲れがありません!」

  それを聞いてレオンは苦笑いする。そうだフィリアは過去に何回も今日みたいなことがあったのだ。自分だったら逃げ出す自信がある。

「それは良かったよ。さっきも言った通り魔法に関しても補正がかかっているから今度試してみてね」

「はい!では今度一緒にお願いしますね」

「うん!よろしくね」

  と何とも歳に似合った会話をした。精神的にはもう20過ぎているが……。

「さて、立ち話はこれくらいにしよう」

  そうしてその声と共に全員座る。

「それで早速レオンくんを呼んだわけ何だが、まず最初に依頼を受けてくれたことに感謝する」

  そう今回、フィリアと王様に対して認識阻害をしなかったのはこれを示すためでもあった。2人は信用出来るし、何かと頼れそうだ。

「いえいえ、僕は冒険者ですから。気にしなくていいですよ」

「ありがとうな。それにしてもレオン君がSランクだなんて思わなかったぞ」

  そう笑っているが冗談もいいとこだ。黒龍の素材が出回っていた時点で薄々は分かっていたはずだ。だが一応討伐者は秘匿されていることになっているので何も言わないことにする。

「まぁ腕に自信はありますからね」

  そう言って適当にはぐらかした。

「まぁ良いよ。深くは詮索しない」

「ありがとうございます」

  そして目の前の紅茶に口をつける。軽く間が空いたところで王様の口が開いた。

「さて、君をここに呼んだのは少し頼みたいことがあって呼んだんだ」

「何でしょうか?」

「単刀直入に言うとレオン君、貴族にならないか?」

  まぁ予想はしていた。我ながら常識知らずのことやっていたからな……。国としてはそんな人物を野放してはおけないだろうしね。だが一応聞いておく。

「……どうしてですか?」

  すると少し目付きを鋭くして話してくれた。

「まず1つは君の実力を買ってのことだ。公表されてないものがほとんどだが君の力は国を揺るがす程のものだ。そんな力を放っておけない。あ、その事を知っているのは私とフィリアぐらいだから安心して欲しい」

  それなら安心だ。ただやはり僕の力が問題らしい。

「2つ目は今この国の貴族が不足しているということだ」

  この話は聞いたことがある。ある派閥の貴族が悪事を働いていたことが明らかになったらしい。そのことから芋づる式でその他の貴族も関わっていたことが分かり、良くて降格、それ以外は貴族位を剥奪されたらしい。

  それだけならば良かったのだが、その不正に関わっていた貴族が2桁もいたらしい。それによる影響が結構出ているのだとか。

  それで今は聡明な人材に手当り次第声をかけているのだとか。

「レオン君も知っている通り今この国の貴族が不足していてる。そして君は武の実力もさることながらとても聡明であるとフィリアから聞いて声をかけたのだ。それに君には個人的に1番期待を寄せているからな」

  それも当然だろう。正直自分でもフィリアの前ではあまり抑えなかったと思うからな。詳しくは教えていないと思うがそれでも多少は行き渡ってしまうだろう。

「そうですか。それでなんで期待されているのですか?」

「まぁ勘だな」

「勘ですか……」

  あまり深い考えはなかったらしい。だが勘というのは馬鹿にならないと思う。明確な自信がないので一応これも勘だ。

「さてだいたいこんなものだが質問あるか?」

「はい、メリットはなんですか?ついでにデメリットもお願いします」

「そうだなまずデメリットから話そう。貴族は基本的には平民よりかは良い生活が出来るがその分仕事が大変だ。領地の統治があるからな。これは仕事ではないが他貴族との交流もしなければならない」

  領地の統治はいいとして他貴族との交流とかは出来れば勘弁して欲しい。悪評な貴族との関わりを持つのは面倒極まりない。

「でメリットだが安定した収入がある。それもかなり高収入だ」

  これはどうでもいい。黒龍の討伐で白金貨を4桁以上持っているからだ。

「と言ってもレオン君はそこらの貴族に負けないほどの財力を持っているから関係ないな」

  王様も予想していたみたいだ。

「因みに貴族ってどのくらい持っているのですか?」

「そうだな……下位貴族だと白金貨50枚ぐらいあったら十分だと思うぞ」

  つまり今下位貴族の4倍の財力を持っているということになる。

「なるほど、ありがとうございます」

「それで話の続きだ。と言っても貴族のメリットは莫大な財力を得られることに限るからな…。他にと言われてもなかなか思いつかないな。嫌な貴族を追い払うことは出来るかもな」

  やはり貴族は財力があってなんぼらしい。確かに公爵とかは比べ物にならないほど持っていそうだ。

  それで後者の嫌な貴族を追い払うと言ってもなかなかそんな機会はないだろう。でもこれに限っては持っておきたいかもしれない。貴族に武力以外で対抗手段が出来るのはありがたい。

「どうだ?」

  そう言われてレオンは悩み始めた。

  貴族になるのはやぶさかではないが、それほどのものかと言われると頭を抱えてしまう。

  そういう時は今あるものから得られるものより失うものを考えてみる。

  すると一目瞭然だ。元々平民だったものに失うものなんてないからな。

  と断ろうとしたところで予想外のことが起きた。

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コメント

  • ノベルバユーザー305890

    面白かったです!

    0
  • ヒカッチ

    矛盾してるぞ!4桁以上といっているのに50×4=2003桁じゃん

    0
  • ノベルバユーザー130286

    設定が雑だけど意外にも面白いと思います

    0
  • 音街 麟

    強大な力を、人は欲するのだ((厨二風

    0
  • ノベルバユーザー320866

    やっぱ政治的なものに巻き込まれるんだなー、
    これからどうなるのか楽しみにしてます。

    1
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