やはり、創造神の加護はチートでした

弥音 雪

49話 団体戦⑤




「これより1番対3番を始めます。ルールは1回戦同様です。それでは……始め!」

  するとすぐに1番チームは全員で魔法の詠唱を開始した。下級魔法や中級魔法が多かった。

  一方3番チームは2人前に出てそれ以外は全員下がった。だがその行動がある分出遅れてしまう。

  その2人に多量の魔法が飛来してくる。だがどこか余裕のある表情でそこから動かずに待ち構えた。

  そして魔法が衝突し辺り一帯の土を巻き上げその威力を示していた。

  だが2人は結界を張り無傷で佇んでいた。そしてすでに1人の右手には魔法が完成されていた。恐らく上級魔法に匹敵するレベルのを。

  そしてそれを放った。

  放った魔法はエアーカッターが水属性で切れなくなったようなものだった。ただ威力は大きく相手チームの9人全員を吹き飛ばしてしまった。ウォーターカッターを応用したと言ったところか。

「やっぱりあのチームは強いね。」

「そうですね。ですがまだ1人出ていませんね。」

  そう。未だに1人出ていない。そしてその人だけ周りの5人と雰囲気が違う。

「そうだね。そして恐らくその人がリーダーで1番強いと思うよ。」

  その人のことを念頭に入れておき、次の試合のコールを待った。

「では次の試合。5番と7番です。降りてきてください。」

  毎度の如く倒れた生徒を担架で運び出した後に呼ばれた。

「それじゃ、行こうか。」

「はい!頑張ります!」

  今のフィリアが本気で頑張ると考えると少し危うい気がするが気にしない。

「それじゃぁ言った通り余程のことがない限り僕は試合に入らないから。」

「分かりました!」

  一国のお姫様がこんなに戦いにわくわくしていて良いのかどうか分からなかったが人それぞれということで納得した。

「双方準備出来たようですね。それでは……始め!」

  先制攻撃をしようとフィリアが過剰な魔力を集約していた。

(あれは少し不味いかな。)

  嫌な予感が的中したレオンは結界を張った。そして敵の目の前にも魔法威力が軽減するような結界を張り気絶で済むレベルにしておいた。

「ウィンドランス!!」

  それと同時にフィリアが30発の風の槍を放った。やはり含んでいる魔力の量が過剰で部位欠損が有り得る威力だった。

(結界を張っといて正解だった……。)

  威力を軽減する結界を通った30本ウィンドランスは相手チームを全員吹き飛ばし気絶させた。

「勝者5番!」

  勝者のコールが聞けフィリアは喜んでるがレオンは少しやつれている。

「レオン!勝ちましたよ!」

「そうだね。けど……」

  そう言ってレオンは息を大きく吸い込む。

「フィリア威力強すぎ!僕が軽減しておかなかったら相手のチームの人達腕がちぎれてたかもしれないぐらいの威力はあったんだよ?!しっかり加減して!今のフィリアはずば抜けて強いの!その辺もしっかり考えよう?!分かった?」

「……分かりました。すみませんでした……。」

  一気に捲し立てられて、しかもそれが内容が内容だけに落ち込んでしまった。

「……でも、成長はしているよ。まさか30本のウィンドランスを出してあの魔力量を含んでいるとは思わなかったからね。それは誇っていいよ。」

  と、フォローしておく。しかし言ったこと自体は事実だ。本当にフィリアの成長速度は速いと思う。成長速度だけで言ったらレオンよりも速いかもしれない。…昇華とかいうチートは無視する。

「ありがとうございます!」

  何とか機嫌を直してもらえたようだ。

「次の試合、すなわち決勝戦は5分後に行います。それまでに3番と5番のチームの人達は準備をし、5分後にはここまで来てください。」

  そう言ってアナウンスが終わった。

  5分しかないので歩きながら作戦を立てておく。

「とりあえず最初にフィリアが相手して。今のフィリアなら上手くやればリーダー以外はまとめて相手できると思うから。」

「分かりました。頑張ります!それでレオンはどうするのですか?」

  正直リーダーもフィリアで何とかなると思う。なのでレオンは今回それといった仕事がない。ただ何もしないのもあれなのでとりあえず回復担当とかでいいだろう。

「んーそうだなー。完全に支援に回ろうかな?やられそうになった時に一瞬で回復させたり、色々な強化を施したり。またはフィリアの動きに合わせて結界を動かしたりするのもいいかも知れないね。」

「さすがですね。それ負けないじゃないですか。」

  言われてみればそうだ。動く結界なんて結界を破るしか突破方法がない。けどレオンの結界だ。破れるわけがない。けど慢心は良くないな。

「そうだね。恐らく絶対負けない。けどそのせいで動きが鈍くなったり曇ったりしないでね?んー、だったら結界は無しにしようか。しっかりと痛みを受けた方が身にしみてわかると思うし。」

  結局、結界はやめにした。相手チームにも悪いしね。

「確かにその通りですね。分かりました。結界は無しでお願いします。あと回復もあまりしなくて大丈夫です。倒れそうになった時にお願いします。でないとまだ甘えそうですので。」

  フィリアの申し出は至極真っ当なものだったので了承した。しかしこれでレオンのやることはほぼ無くなってしまった。でも強化魔法があるのでその分頑張ろうと決意した。

「それじゃそろそろ5分だね。気を引き締めていこう。」

「はい!」

  そうして先に待っていた相手チームに軽く会釈した後に目の前に立った。

「それでは決勝戦を始めます。ルールは先程同様です。双方良いですね?」

  そうしてレオンは頷く。相手チームのリーダーも頷いた。

「では……始め!」

  そうして決勝戦が始まった。

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コメント

  • ノベルバユーザー354375

    王女殿下に説教する主人公、ハハハハッ……馬鹿か

    0
  • ノベルバユーザー243598

    とても面白い!
    今まで見た中で一番面白い!
    これからもできる限りでいいので僕たちを楽しませてください!

    6
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