やはり、創造神の加護はチートでした

弥音 雪

47話 団体戦③




  今回の試合終了後は50人もの気絶しているものを運ぶのも大変そうだが、それよりも医務室に入り切らないと思った。なので回復魔法をかけて起こす。

  先生達は突然50人全員が起き出したのに驚いているがそれよりも状態確認を先決した。

  レオンはやることも終わったのでフィリアのところまで戻った。

「お疲れ様です。」

「んー大して疲れてないかな。まぁありがとう。」

「ふふっ。そうですね。レオンは1歩も動かなかったですしね。」

「フィリアは今回は僕がした事分かっている?」

「結界を飛ばして倒したところまでは分かりましたが、1番最後がよく分かりませんでした。どうやら皆さんの周りに結界を張っていたようでしたが。」

  これではっきりした。この世界の文明力は予想以上に低かった。前世なら小学生でも知っていることだ。それが王家にいて教育をしっかり受けているものが分からないのだ。

「なるほどね。……フィリアには魔法特訓以外にも座学をやってもらおうかな。」

「え?!なぜですか?!」

「今の現象を起こすにはある程度の知識が必要だ。それじゃぁそうだな。」

  そう言ってレオンは全く隙間のないということ以外特に変わったことがない木箱を作った。

「この中に顔を入れ続けるとどうなる?因みにこれは何の変哲もないただの箱だよ」

「どうなると言われても何も変わらないのでは?」

  予想通りの答えだった。この世界の人たちは原子論を知らないので少し酷だったかもしれない。

「不正解。正解はさっきのあの人たちみたいに倒れる。」

  ここでさっきの現象が引き合いに出されるとは思わなかったのか驚いている。

「……なぜですか?」

「あまり広めないでね?」

  広めない理由はこの理論は応用すれば魔法があるこの世界では全く証拠なく暗殺が可能となってしまうからだ。

「分かりました。」

  しっかり頷いたフィリアを見て大丈夫だと思ったが、念の為防音の結界を張っておく。

  そしてレオンの説明が始まった。

「フィリアは呼吸をしているよね?」

  唐突に問われたことが予想外のものだったので一瞬呆気に取られていた。

「え?……はい、そうですね。」

  意図が分からないようだがとりあえず質問を続ける。

「それじゃ、何を吸っているの?」

  ここで固まってしまった。やはり前世とは違いこの世界の人は当たり前を当たり前として受け入れてしまう。何故こうなるのか、という疑問を抱かない。

「……分かりません。」

  やはり考えても分からなかったのだろう。

「でも息を止めると倒れるのは分かるよね?」

「はい。さっきのあの人たちみたいにですよね?」

  しっかりと一つ一つ確認しながら丁寧に進めていくことが教え方のコツだ。

「そう。つまり僕達は生きるために空気の中から何かを体に取り入れている。」

  ここでHbO2とかHCO3^-+H^+とか説明しても訳分からないと思うので、ここではざっくり理解させる。

「それでは気絶した理由にならないのでは?」

  ここまでヒントを出しても分からないとなるとなかなか厳しいものがある。

「そうかな?何かを取り入れているということはその何かは着実に減り続けているということになるよね?」

  また考えこんでしまった。でもこれがフィリアの良いところだ。放棄せずにしっかり追求できる。これから成長してもらうために必要なことだ。

  数秒経った後にどうやら気づいたようだ。

「……あっ!息する度に減っていって最終的になくなって気絶してしまったと。」

「そういうこと。これで座学の大切さが分かった?」

「はい!頑張ります!」

  しっかり理解してくれたようだ。それもそのはず8歳に前世で高校生まで生きた人が教えるのだ。そもそもがおかしい。

「それでは次!7番と8番降りてきてください!」

  そうして次のチームのコールが掛かる。

「フィリア。次は主にフィリアに戦ってもらうつもりだからよく観察してね。」

「分かりました!頑張ります。」

  そうして4回目の団体戦が開始された。

  今回は10人対13人だ。人数的にはそこまで差はないだろう。1人や2人の実力でひっくり返る程度だ。

  そして魔法の撃ち合いが始まった。両チーム半分が攻撃、半分が防御といった形だ。

  大体の魔法は真ん中で相殺され、それを抜けた魔法も防御魔法で弾かれる。といった模様だ。どちらも決定打に欠けている。このままだと魔力が切れた方が負けだろう。

  そこで10人チームの人が同じように考えたのだろう。防御を2、3人に任せてほとんど攻撃に回った。その中で少し長い詠唱が必要だが中級魔法を放つものも現れた。

  それが幸をなしたのか、相手チームに攻撃が当たり始めた。そしてそのまま相手チームは体制を立て直せずに敗北した。

「そこまで!勝者7番!」

  これで全ての1回戦が終わった。2回戦に行ったチームは

  津波を起こした1番チーム

  3人で一瞬で壊滅させた3番チーム

  レオンとフィリアの5番チーム

  そして今勝った7番チーム

  この4チームだ。そして組み合わせはトーナメント通り1番対3番、5番対7番だ。

  レオンの中では3番の人達が見応えありそうな感じがする。それに期待しながらその時を待った。

コメント

  • ©みーさと

    なんかもう15、6歳くらいの設定でもよかっのでは?という会話なんだけど笑

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