あの日、忘れかけていたもの。

成瀬瑛理

#1

 今年の夏は去年よりも暑い。恐らく温暖化のせいだ。このままでは北極熊が死んでしまう。いや、その前に北極の氷が溶けて、海水面が上昇してしまうだろう。

……なんてシビアなことをこの真夏の炎天下の中、考えていた。

都会のオフィス街は真夏はクソ暑い。そんな中、自分は鞄を持ちながら営業回りをしていた。


 あっちぃ、クソ暑い、死ぬ。どこでもいいから一休みしたい。


 真夏の炎天下の日射しが肌に焼けつく。こんな時は日焼け止めだ。そこで持っていた鞄を開けると、中から日焼け止めを出した。そしてタップリ肌に塗った。これで日焼けをせずにすむ。さすが自分だ。日頃の用意周到のお陰でこれで日焼けをしなくてすむ。

 日焼け止めは真夏の炎天下の中を営業回りするリーマンにとって必需品アイテムだ。そしてこの爽快クールウェレットティッシュは神に等しい。これで汗だくの顔を拭くと、とても爽快になる。俺は木陰で涼みながら真夏の炎天下対策をした。周囲はこんな炎天下の中を立ち止まりながらポケモンYeah!に夢中になっていた。

「こんな暑い中、よくやるよ。俺はやらないけど、あのままだったらアイツら熱中症になるな」
 俺はそこでぼやくと鞄の中からノートパソコンを取り出して仕事のメールをチェックした。そんな時、自分の携帯が突如鳴った。

「はい?」
 俺は携帯を耳に当てると、直ぐに電話を出た。すると電話は彼女からだった。

「ねぇ、晃彦。ちょっといい?」

「何だ美里?急にどうした?」

「あのね、話したいことがあるの…――」

「何だ改まって?」
 美里からの電話は少し様子が変だった。俺は急いでいたので、また後でと言って電話を切ろうとした。

「まっ、待って……! あのね、今日は何の日か解る?」

「えっ?」

「やっぱり晃彦忘れてる……! この前、私と約束したじゃん……! もう忘れたの……!?」

 千里は興奮ぎみで怒鳴ってきた。自分は何のことが解らず、再び聞き返した。

「なんか約束してたか?」

「もう……! もういいよ、晃彦のバカ……!」
 千里はそう言ってくると電話を切ってきた。


「何だよアイツ……?」


 千里が何を言いたかったのかをわからないまま、俺は解らず首を傾げた。彼女を怒らせたのは確かだが、今は仕事が大事だ。俺は気にはなったがそのまま仕事に戻った。



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