神様にツカれています。

こうやまみか

第二章 11

「誠司のツイッターさ、インスタとも連動させているだろう?フォロワー数は10名程度なのは両方だけど。だから、ツイッターで相互フォローしている人間とこにお前の個人情報教えてくれとかそういうダイレクトメッセージがオレんとこまで来ている。さっきからスマホはライン来まくりで……オレだけじゃなくて多分11人のフォロワー全員に来ているハズだ。もちろんオレは教えないが、ただ、モノが大麻の違法栽培だけに、同情の余地はないと教えるヤツは居るだろうな」
 幸喜も「やべ!」という表情だった。というか、誠司よりも動じていないのは、大麻だと知っていたからこそ農作業に勤しんでいたような感じだった。
「伸也ぁ……オレどうすれば良い?それに、ついキャス、いやユーチューブで『物干し系』とかいう人がオレを特定しようとしてる……」
「え?ちょっと待ってくれ。アイパッドと。それに『物干し』じゃなくて『物申す』だろ。
 うわぁ、この人かあ……。警察行かれるなぁ……」
 マンガの吹き出し(?)に、ガーンという大きな文字が書かれているのを何回も見たことがあったけれど、今のオレの心境は見開き二ページに「がーん」としか書かれていないマンガ状態だ。
「どうしよう……。どうしよう……。どうすればいい。オレこの植物が違法だなんて知らなかった」
 半泣きというより全泣き状態で伸也に訴えた。
 伸也の電話口からも今幸喜が見ているのと同じ動画が放映されているのが声で分かった。
 誠司が知る限り一番頼りになるのは伸也だった。法学部なだけあって、知識も豊富だろうし、何より頭が良いので。
「覚せい剤なんかと異なって、罪は軽い。軽いけど警察が動く『犯罪』には違いない。それに誠司は大麻とは知らずに育てていたのだろう?その感じだと。
 だったら、警察が来る前に、潔く自首するしかないだろう。その方が『反省していました』的なアピールが出来て、上手くすれば不起訴で終わるかもしれない」
 警察……。自首……。不起訴……。そんなテレビでしか聞いたことがない単語が真っ白になった頭にぐるぐると回っている。
「俺らは関係ないからな。じゃ、後はヨロシクっ!!」
 幸喜が物凄い勢いで走り去っていった。インス〇には誠司が大麻という法律でダメなものを持っている画像しかアップしていないことを幸喜も当然知っているわけで、バックれる方を選んだのだろうな。

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