神様にツカれています。

こうやまみか

第二章 9

「これをかければ、大丈夫じゃ……」
 流石は腐っても神様、いやド底辺でも……って感じかな。
 だとしたら、詐欺の神様とかお米の神様などにお願いというか頼みごとをしたらどれだけ美味しいアイテムが出てくるんだろうとふと思ってしまう。ま、そんな上位の神様がオレのトコなんて来るわけないけれどさ。
(いちお、成果は残しておこう。なんかの記念だしさ)とスマホでカシャっと。
 ついでにインス○にも画像アップもしておこう。全然!もう哀れなほどに!インスタ映えはしていないのが逆に笑えるかもしれない。
「あ、イ○スタ用?だったらオレが撮ってやるから、ハイ○の真似でもしろよ。
 こういうインスタ映えがしない場合はさ、人が入るだけでマシになるから」
 幸喜が赤い髪には似合わない爽やかな笑顔で言ってくれた。農作業を二手に分けてサクサクとこなそうとするあたり、ハマっているのかも。
「これをかければ藁みたいにカサカサになるんだよなー」
 幸喜がキッコーマ○の醤油みたいなボトルをジャバジャバっていう感じでばら撒くと、見る見るうちにミイラみたいにカサカサになった。
「お!すげー!これが完成品ってヤツ?ほらこれもさ、いちおー記念にさ」
 女の子が喜びそうな綺麗な花じゃなくて、茶色のススキ(?)みたいなものを持っているトコも幸喜が撮ってくれた。その画像もインスタにっと。
「ふう、ちと休憩……。てかさ、この藁みたいなの誠司的にはどうする積もりだったんだ?」
 学内禁煙!!って至るところに書かれているのに――当たり前だけどこんな空き地には禁止の看板はない――幸喜は座り込むと物凄く手慣れた感じでタバコに火を点けた。
「え?それは……全然考えてなかった」
 プラチナ会員にばっかり考えが行ってしまっていて、この草だか植物だかの納品先(?)のことまで頭が回っていなかった。それに神様が何とかしてくれるだろうし。
「お、何だ?」
 幸喜が何かを言おうとした瞬間にポケットからスマホの着信を知らせる振動音がした。
「やべっ!炎上してるぞ。どうすんだっ!これっ!!」
 ハンズフリーにはしていなかったけど、黒と茶色に染めたヤツの声が大きすぎて聞こえてしまった。
「炎上……って……?あの炎上……か?燃えているほうじゃなく?」

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