魔王様は現代社会で無双できない
増員しよう!
「突然だが諸君!
我が名は魔王!その名を地の果てまで轟かせた暴力の化身、恐怖の権化それが我だ。
地位、名誉、金が欲しければ我が元へ集えぇぇい!」
と、冒頭から自己紹介しているが、別に深夜テンションとかそういうのではない。
「なかなかいいんじゃないですか?このキャッチコピー…」
そうなのである、これはアルバイト募集のキャッチコピーであって魔王が狂王になったとかそういうのではない。
「ですが……少し長すぎかと……もう少し短めにできませんか?」
と、我が徹夜で考えたキャッチコピーにダメ出しするのは我の秘書、女の悪魔で青髪スレンダー。
「吾輩はこれで良いと思いますぞ!このように長い文書にこそ、今どきの若者は食いつくものですぞ!」
 純粋に褒めているのか単に媚びを売っているのか分からないのは暗黒騎士、普段素顔は見えないが種族は骸骨男。
 ちなみに立ち位置は人間の会社で言う部長。
そして我は魔王、その名を地の果てまで轟かせ……てはいないが、城下町の居酒屋とキャバクラでは割と有名…だと思う。
 無力の化身、小心の権化である。
 
「それにしても人員不足で経営が危うくなるなんて……だから早めに手を打つべきだと言ったではありませんか …」
 「…………はい、すみません」
 この通り無力の化身、小心の権化である。
 「秘書殿、分をわきまえなされ、貴女とは言えど、主にそのような態度は許されぬぞ」
「おや、いつからいらっしゃったのですか?騎士風情が私になんの御用でしょうか?」
「黙って聞いていればこの糞アマァ……ゴフッ」
 主の威厳を守ろうとした騎士は秘書に腹を殴られ悶絶する。
「ちくしょう、そもそも取締役どもが下のことを考えていれば人員不足など……クッ…無念ですぞ……」
 そう言って我が騎士は沈黙した。
 魔王の我も一応取締役だが中間管理職は大変なので少々の愚痴は聞き流してやる。
 我々、魔王軍(株)の主な仕事内容は勇者に勝負を挑み、戦い、時には痛めつけられ、時には立ち去る間際にアイテムを落としていく仕事である。
 聞こえはものすごくBLACKっぽいが給料は高め。
 仕事内容簡単に説明すると、
1、我々が落とすアイテムを狙って勇者がやって来る。
2、勇者が宿代、飯代など、立ち寄った村でお金を使う。
3、村人とそのお金を山分け。
 
 さらに簡単に言うと我々が観光資源として体をはる観光産業である。
  が、もちろん勇者はそんなこと知らないので我々を容赦なく痛めつける、そのため給料は高いが精神的にも体力的にもきついので辞める者が後をたたない。
「このまま増員されなければアイテムに飢えた勇者がこのオフィスに乗り込んでくることも考えられます。早急に手を打つべきかと。」
 こんな感じでこの世界は血も涙もない。
「ハァ…とりあえずこのキャッチコピーで発注しろ、適当な印刷会社に問い合わせて各部署ごとにバラ撒けるくらい刷ってもらえ…」
 溜息をつきながら騎士にチラシの原画を渡す。
「了解しました!、我が王ゥ!」
さっきまで床で寝ていた騎士が飛び起き答えた。
 会議室のドアを勢いよく蹴り開けて中間管理職は廊下を滑走する。
「我が騎士…なんか今日テンションおかしくないか?」
「なんでも連日のレイド戦で頭おかしくなったとか。」
秘書はあっさり答えた。
「………………」
 魔王はその夜、オフィスに乗り込んできた勇者達とレイド戦を繰り広げる夢を見た……
 
魔王は翌日から筋トレを始めた。
今月の目標
                      増員
我が名は魔王!その名を地の果てまで轟かせた暴力の化身、恐怖の権化それが我だ。
地位、名誉、金が欲しければ我が元へ集えぇぇい!」
と、冒頭から自己紹介しているが、別に深夜テンションとかそういうのではない。
「なかなかいいんじゃないですか?このキャッチコピー…」
そうなのである、これはアルバイト募集のキャッチコピーであって魔王が狂王になったとかそういうのではない。
「ですが……少し長すぎかと……もう少し短めにできませんか?」
と、我が徹夜で考えたキャッチコピーにダメ出しするのは我の秘書、女の悪魔で青髪スレンダー。
「吾輩はこれで良いと思いますぞ!このように長い文書にこそ、今どきの若者は食いつくものですぞ!」
 純粋に褒めているのか単に媚びを売っているのか分からないのは暗黒騎士、普段素顔は見えないが種族は骸骨男。
 ちなみに立ち位置は人間の会社で言う部長。
そして我は魔王、その名を地の果てまで轟かせ……てはいないが、城下町の居酒屋とキャバクラでは割と有名…だと思う。
 無力の化身、小心の権化である。
 
「それにしても人員不足で経営が危うくなるなんて……だから早めに手を打つべきだと言ったではありませんか …」
 「…………はい、すみません」
 この通り無力の化身、小心の権化である。
 「秘書殿、分をわきまえなされ、貴女とは言えど、主にそのような態度は許されぬぞ」
「おや、いつからいらっしゃったのですか?騎士風情が私になんの御用でしょうか?」
「黙って聞いていればこの糞アマァ……ゴフッ」
 主の威厳を守ろうとした騎士は秘書に腹を殴られ悶絶する。
「ちくしょう、そもそも取締役どもが下のことを考えていれば人員不足など……クッ…無念ですぞ……」
 そう言って我が騎士は沈黙した。
 魔王の我も一応取締役だが中間管理職は大変なので少々の愚痴は聞き流してやる。
 我々、魔王軍(株)の主な仕事内容は勇者に勝負を挑み、戦い、時には痛めつけられ、時には立ち去る間際にアイテムを落としていく仕事である。
 聞こえはものすごくBLACKっぽいが給料は高め。
 仕事内容簡単に説明すると、
1、我々が落とすアイテムを狙って勇者がやって来る。
2、勇者が宿代、飯代など、立ち寄った村でお金を使う。
3、村人とそのお金を山分け。
 
 さらに簡単に言うと我々が観光資源として体をはる観光産業である。
  が、もちろん勇者はそんなこと知らないので我々を容赦なく痛めつける、そのため給料は高いが精神的にも体力的にもきついので辞める者が後をたたない。
「このまま増員されなければアイテムに飢えた勇者がこのオフィスに乗り込んでくることも考えられます。早急に手を打つべきかと。」
 こんな感じでこの世界は血も涙もない。
「ハァ…とりあえずこのキャッチコピーで発注しろ、適当な印刷会社に問い合わせて各部署ごとにバラ撒けるくらい刷ってもらえ…」
 溜息をつきながら騎士にチラシの原画を渡す。
「了解しました!、我が王ゥ!」
さっきまで床で寝ていた騎士が飛び起き答えた。
 会議室のドアを勢いよく蹴り開けて中間管理職は廊下を滑走する。
「我が騎士…なんか今日テンションおかしくないか?」
「なんでも連日のレイド戦で頭おかしくなったとか。」
秘書はあっさり答えた。
「………………」
 魔王はその夜、オフィスに乗り込んできた勇者達とレイド戦を繰り広げる夢を見た……
 
魔王は翌日から筋トレを始めた。
今月の目標
                      増員
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