セブンスソード
55
文を送る。待ち時間が心苦しい。頼む、分かってくれ。
ピ。返信の音がきた!
『だからこえーよ(笑)。なんでそんなに必死なんだよ。別にいいよ、どこにもいかねーよ。その代わりなにもなかったらお前明日なにかおごれよ』
ピ。
『聖治君がそこまで言うなら僕もいいんだな~。それにそんなことで絶交なんてしないから安心して欲しいんだな』
力也……。それに星都も分かってくれたか。
『分かった、二人ともありがとう。それと沙城さんの番号は知らないからどっちか伝えといてくれ』
二人は了承してくれた。とりあえずホッとする。香織の番号は聞いていなかったからな。
たしか俺が魔卿騎士団、あのフードを被った槍男と出会ったのは今日だ。そこで俺は襲われた。
星都と力也は話をされただけのようだからこの世界でもし起こっても大丈夫かもしれない。
分からないのは香織だ、彼女はどうなる?
まさか、俺と同じように襲われたりするのか? あの時は彼女が助けてくれたから無事だったが。
ピ。星都から送信がきた。
『沙城にも送ったけど返事がないな、たぶん切ってるわあいつ』
「くそ!」
なんてことだ!
どうする? いや、決まってる。こうしてはいられない。
前の世界では香織も学生寮だった。転校生と在学生という違いはあるが、転校生の俺が学生寮で目が覚めたんだ、彼女もきっと同じはず!
なら帰り道は分かる。
俺はカバンを捨てて走った。全速力で体を動かす。夕焼けに染まった通学路、いつしか周りは閑静な住宅街になっていた。
間に合え、間に合ってくれ。
また君を失うなんてこと、絶対に!
させないって、誓ったんだよ!
道を走る。すると彼女の後ろ姿が見えてきた。
しかも、その先にはフードを被った黒の外套服、槍を持ったあの男が立っていた。
男が槍を香織に向ける。
「神剣!」
走る中で叫んでいた。
「パーシヴァル!」
煌めくスパーダ、俺だけが持つ魔法剣を手に取り男の突きを防いでいた。
「きゃあああ!」
「なに?」
間一髪で二人の間に入る。槍を剣で払い構える。フードで顔は見えないが声と中から覗く白い髪からあの時と同じやつだ。
「出たな、魔卿騎士団!」
やはり変わっていなかった。この儀式は世界が変わっても不変のものとして続いているんだ。
「ふざっっっけやがっててめえら!」
セブンスソードという非道な儀式の管理人、俺たちをこんなものに巻き込んだのがこいつらだ。この世界に来てからの鬱憤(うっぷん)も合わせてぶつけてやる。
「ほう、お前はちゃんと分かってるって感じだな」
「忘れられるか!」
こいつは知らないだろうが俺はお前に一度腹を切られてるんだぞ。
「えっと、君はたしか」
俺の背後には彼女がいる。姿は見えないが声が震えているのが分かる。
無理もない。俺だって最初はそうだった。
「転校生の、聖治君……?」
「香織」
「え」
「君は下がっててくれ」
フード男から目を逸らさずに、俺は剣を構え続けた。
「君は、俺が守る」
「ふぁ……」
あの時果たせなかった思いを、今度こそ果たすために。
「ハッ、どうもやる気満々だな。だが剣を向ける相手が違うんじゃないのか? お前が斬るべき相手は後ろだろ?」
「いいや、お前で合ってるよ」
「ほー」
男が呑気に声を上げる。でもさすが魔卿騎士団の幹部だけあってか隙もなければ荒々しい戦意は肌に刺さるほどだ。こうして対峙してみるが、勝てる気がまるでしない。
でも、ここで退けるか。
こいつと彼女は戦ったんだ、俺を守るために。
そして、俺は一度戦いから逃げてしまった。そのせいでひどいことになった。
俺はもう、戦いから逃げない!
ピ。返信の音がきた!
『だからこえーよ(笑)。なんでそんなに必死なんだよ。別にいいよ、どこにもいかねーよ。その代わりなにもなかったらお前明日なにかおごれよ』
ピ。
『聖治君がそこまで言うなら僕もいいんだな~。それにそんなことで絶交なんてしないから安心して欲しいんだな』
力也……。それに星都も分かってくれたか。
『分かった、二人ともありがとう。それと沙城さんの番号は知らないからどっちか伝えといてくれ』
二人は了承してくれた。とりあえずホッとする。香織の番号は聞いていなかったからな。
たしか俺が魔卿騎士団、あのフードを被った槍男と出会ったのは今日だ。そこで俺は襲われた。
星都と力也は話をされただけのようだからこの世界でもし起こっても大丈夫かもしれない。
分からないのは香織だ、彼女はどうなる?
まさか、俺と同じように襲われたりするのか? あの時は彼女が助けてくれたから無事だったが。
ピ。星都から送信がきた。
『沙城にも送ったけど返事がないな、たぶん切ってるわあいつ』
「くそ!」
なんてことだ!
どうする? いや、決まってる。こうしてはいられない。
前の世界では香織も学生寮だった。転校生と在学生という違いはあるが、転校生の俺が学生寮で目が覚めたんだ、彼女もきっと同じはず!
なら帰り道は分かる。
俺はカバンを捨てて走った。全速力で体を動かす。夕焼けに染まった通学路、いつしか周りは閑静な住宅街になっていた。
間に合え、間に合ってくれ。
また君を失うなんてこと、絶対に!
させないって、誓ったんだよ!
道を走る。すると彼女の後ろ姿が見えてきた。
しかも、その先にはフードを被った黒の外套服、槍を持ったあの男が立っていた。
男が槍を香織に向ける。
「神剣!」
走る中で叫んでいた。
「パーシヴァル!」
煌めくスパーダ、俺だけが持つ魔法剣を手に取り男の突きを防いでいた。
「きゃあああ!」
「なに?」
間一髪で二人の間に入る。槍を剣で払い構える。フードで顔は見えないが声と中から覗く白い髪からあの時と同じやつだ。
「出たな、魔卿騎士団!」
やはり変わっていなかった。この儀式は世界が変わっても不変のものとして続いているんだ。
「ふざっっっけやがっててめえら!」
セブンスソードという非道な儀式の管理人、俺たちをこんなものに巻き込んだのがこいつらだ。この世界に来てからの鬱憤(うっぷん)も合わせてぶつけてやる。
「ほう、お前はちゃんと分かってるって感じだな」
「忘れられるか!」
こいつは知らないだろうが俺はお前に一度腹を切られてるんだぞ。
「えっと、君はたしか」
俺の背後には彼女がいる。姿は見えないが声が震えているのが分かる。
無理もない。俺だって最初はそうだった。
「転校生の、聖治君……?」
「香織」
「え」
「君は下がっててくれ」
フード男から目を逸らさずに、俺は剣を構え続けた。
「君は、俺が守る」
「ふぁ……」
あの時果たせなかった思いを、今度こそ果たすために。
「ハッ、どうもやる気満々だな。だが剣を向ける相手が違うんじゃないのか? お前が斬るべき相手は後ろだろ?」
「いいや、お前で合ってるよ」
「ほー」
男が呑気に声を上げる。でもさすが魔卿騎士団の幹部だけあってか隙もなければ荒々しい戦意は肌に刺さるほどだ。こうして対峙してみるが、勝てる気がまるでしない。
でも、ここで退けるか。
こいつと彼女は戦ったんだ、俺を守るために。
そして、俺は一度戦いから逃げてしまった。そのせいでひどいことになった。
俺はもう、戦いから逃げない!
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