セブンスソード

奏せいや

44

 どうして。なんで戦おうとする? 殺し合いなんてなんでしようと思うんだよ。

「なんで? あんたはどうしてセブンスソードなんかをするんだ? 殺し合おうとするんだよ!?」

 怒りすら沸いてくる。俺たちは平和が欲しいだけなのに。みんなそれで満足じゃないのか?

「俺の勝手だ、黙ってろ」

 クソ、そうかよ!

「そう」

 苛立つ俺の前で、沙城さんが静かにつぶやく。

「なら、戦うしかないですね」

 その手にディンドランが握られた。沙城さんも戦う気だ。もとより沙城さんはセブンスソードに参加する気だった。このことを覚悟していたんだ。

「来い、スパーダ」

 え?

 聞こえてきた声に慌てて振り向く。

 その声は星都だった。光帝剣を手にしている。

「星都!」

 まさか、戦う気なのか?

「相棒」

 星都の真剣な声が聞こえる。

「こいつは戦う気だ。やるしかない」

 星都は俺を見ていない。魔来名を真っ直ぐと見据えていた。

 戦う覚悟を決めている目。それだけでもすごいと思う。星都はこうした場面に立ち会うのも初めてのはずなのに、もう覚悟が決まっているなんて。

 そこで力也も前に出た。

「力也?」

 その顔は怯えていたけれど真剣で、目の前の敵である魔来名をしっかりと見つめていた。

「来るんだなぁ、鉄塊王、グランッ」

 力也の手に大剣グランが握られる。力也も戦う気だ。

 みながスパーダを構えている。魔来名と戦うために。

「みんな」

 そんな中、俺だけがまだ覚悟を決められていない。

 みんなの姿に背中を押される。

 殺し合いなんて嫌に決まってる。今だって手が震えそうだ。でも、恐怖や不安にひるんでる場合じゃない。ここで戦わなければならないんだ。みんなそれが分かってるからスパーダを出している。

 俺だけが、立って見ているわけにはいかない!

 俺もパーシヴァルを構えた。切っ先を魔来名に向け両手で構える。

 全員武器を出した。いつでも戦える。それで魔来名も口元を小さくつり上げた。

 なんてやつだ、四対一だぞ? 魔来名の雰囲気は確かにすごい。見られただけで身が竦(すく)むほどの威圧感がある。

 とはいえ不利なのは間違いない。なのに笑う余裕すらあるなんて。

 こいつは危険だ、油断できない、四対一なのに追い込まれている気さえする。

「聖治! お前はまだ能力がなにか分かってない、だから下がってろ!」
「だけど!」

 そこで星都が叫んだ。

 この相手はみんなで戦うべきだ。俺はまだ能力は分かっていないけれど、剣を振るったり斬ったりくらいはできる。

「聖治君」

 が、沙城さんまでも俺を制止してきた。その表情はすでに戦う顔つきだ。

「ここは私たちが」

 そう言ってすぐに振り返ってしまった。そんな。

 どうする? 二人に言われた通り待機しているか、それとも加勢してみんなで戦うべきか?

 二人から下がっていろと言われ、迷いが生じていた。格好悪いけれど、そう言われて少しホッとしている自分に気づく。でも、みんな戦うのに俺だけが甘えていいのか?

 そう思っている最中に星都が声をあげた。

「いくぞ!」

 最初の戦い。ロストスパーダを巡るセブンスソードの序幕。

「来い」

 それが、ついに始まった。

「光帝剣、エンデゥラス!」

 瞬間、星都の体が風になったかのように加速した。

 星都の突撃。それは魔来名との間合いを瞬時に詰めていた。まさに一瞬。エンデゥラスの能力は時間の操作だ、それを星都は発揮したんだ。俺でさえその速度に驚いたんだ、知らない魔来名からすれば奇襲も同然のはず。

 しかし、その攻撃に魔来名は刀身をぶつけていた!

 速い! 星都もそうだが、光帝剣のスピードに抜刀でぶつけた!

「見切った!?」

コメント

  • 奏せいや

    >キズミ ズミさん
    コメントありがとうございます! 面白いと言ってもらえてめちゃくちゃ嬉しいです! これからも面白いと思えるよう頑張っていきます♪ 

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  • キズミ ズミ

    一気に全部読んじゃった。なにこれマジで面白すぎる。

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