セブンスソード

奏せいや

37

「へえ、いろいろあるもんだな」
「そうだね」

 こうして入り口で見渡すだけでいろいろな品が目に入ってくる。本当なら楽しいピクニック用品なんだがそういうわけにはいかない。俺たちは気を引き締めていないと。
 そう思っていると俺の横を沙城さんが小走りで通っていった。

「へえ、なんだろこれ」

 あれ、意外にも沙城さんが食いついている。棚に並べられた道具を興味津々に見つめていた。

「あー、こういうのがあれば便利だったなぁ。温かいものって貴重だし」

 なんだろ。後ろから覗いてみると保温機能のある水筒だった。

「おい見ろよ力也、これすごくねえか?」
「そうだねぇ」
「……なんでお前らまで楽しそうなんだ」

 二人まで便利グッズにはしゃいでいる。ピクニックじゃないんだぞ。

「まったく」

 呆れるが、まあ、ピリピリしているよりはマシかもな。俺は改めて三人を見る。最低限の緊張感は持ってないといけないが、今はまだこれでいいか。

「おい、物色するのもいいけどそろそろ買うのを決めろよ。懐中電灯一人一つだからな」

 俺も自分の分の懐中電灯を選びあとコンパスや充電器。その他をレジで精算した。その後で店を出る。

「さて、買うものは買ったがこれからどうしようか。俺たち以外のスパーダを探さないといけないわけだけど」
「それにしても手探りだろ? どこから探せばいいか分からないんだ。それなら先にメシでも食いに行かないか?」
「食事か」

 集まったのが十一時だから言われれば昼食の時間だな。

「それもいいか。行く場所が決まってないなら飲食店でもいいわけだし。俺は賛成だけど二人は?」
「私はそれでいいよ」
「僕も。お腹すいたんだな」
「場所はどうする?」
「ファミレスでいいだろ。ここの一階上だぜ」
「それでいいか」

 そうと決まり上にあるレストランに入る。この時間帯なので混んでいるがなんとか座ることが出来た。四人が座れるテーブルに案内される。

「ファミレスか~、すごい久しぶり」
「沙城さんはあんまりファミレス行かない?」
「え?」

 隣に座っている彼女に聞くと驚いたように俺を見てきた。

「あ、うん。あるにはあったけどどんどん潰れちゃったから。最後に行ったのはいつだったかな。ファミレスなんて高級店で興奮したな~」

 彼女はほんわかした笑顔で宙を見上げている。

「…………」
「…………」
「なあ相棒、田舎から来たんじゃなくてジャングルから来たんじゃないのか?」
「ちょっと!」
「そうだぞ星都、きっと彼女はえーと……俺たちの知らないいいところから来たんだ」
「もう!」
「と、とりあえずメニューを決めよう、な?」
「むぅ~」

 俺は立てかけてあったメニュー表を渡す。沙城さんはまだ俺を横目で睨みつけていたがしぶしぶメニュー表に目を下ろしてくれた。

「うわ! なにこれ」
「ん? どうかした?」

 なんだろ、別に変なのはないはずだけど。

「すごい! メニューがたくさんある。ハンバーグからパスタ、定食まで!? 全部が揃ってる!」
「…………」
「…………」
「星都! なにも言うなよ?」
「安心しろ。俺だってこんなインターバルで面白いこと言えねえよ」
「沙城さんが嬉しそうで僕も嬉しいんだな」
「優しいのは織田君だけなんだね……」

 なんかしみじみ言ってる。

 とりあえずメニュー表は沙城さんが熟読しているから俺たちは別のメニュー表で決めていく。

「じゃあ俺はこのミックスグリルとライス。あとフリードリンクでいいかな」
「フリードリンク?」
「ドリンクの飲み放題のことだよ」
「飲み放題!?」
「いやいや、そんな驚くことじゃないよ。たいていどこにでもあるし」
「どこにでも!?」
「すげーな、そのリアクションどこで習ったんだよ」

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