セブンスソード

奏せいや

33

 殺されるかもしれないって時に悠長に条件なんて揃えなきゃならないのか?

「聖治」

 それで星都に声を掛けられた。

「ごめん」
「ううん、気にしないで。私はぜんぜん」

 彼女はこう言ってくれるけど、気を付けないとな。焦って八つ当たりみたいになってしまった。

「無理もないよ。いずれどんな能力なのか分かる時が来るよ」
「沙城さんは、この能力は分からないのか?」
「エンデゥラスとグランは察しはついていたんだけどね、パーシヴァルに関しては」
「そうか」

 俺は落ち込んでいた顔を上げると、前には星都と力也が立っていた。

 星都が俺の肩に手を置く。

「心配すんな。いざって時は俺がおぶってでも走ってやるよ」

 星都が言った後、力也も俺の肩に手を当ててきた。

「なにがあっても、僕たちは一緒だよぉ」

 二人の顔が前にある。
 途端に視界がぼやけ、二人の顔が見えなくなってくる。
 俺は下を向いてパーシヴァルを消す。そして二人の手に自分の手を重ねた。

「……ありがとう、二人とも」

 スパーダというのは確かに強力な武器なのかもしれない。

 でも、俺にはこの二人の方がよっぽど心強かった。それは俺の能力が分からないとか関係なくて。なにより二人との結びつきの方が強く感じたんだ。

 俺は二人に心の底から感謝した。

「じゃあ話を戻すか。その探してるスパーダっていうのはあてはあるのかよ?」
「ううん。私も誰が持っているのか、どこにいるのかは分かっていなくて。だから一から探さないと」
「探す、か。しかしそう言われてもな」

 この町にいるんだろうが、それでも広大だぞ。

「スパーダは探知機の役割もあるから、もし近づけば光が強まるはずだよ」

 言われて俺はパーシヴァルをグランに近づけてみた。黄色い刀身から発せられる光が強くなる。

「なるほど」
「スパーダを出していなくても近くにいれば感知できるから」
「なら相手がいそうな場所を探すべきだがそのあてもないとなると」
「新都じゃないか? 人が集まりそうな場所といったらあそこだろ」
「どこに行くにしても新都にある水戸駅が便利なんだな」
「そうだな。まずはそこを探してみるか」
「うん。私もそうしようかなって思ってて」

 失われたスパーダ探し。最初はいろいろ葛藤とかあったけど、まさかみんなですることになるなんてな。危険なのは重々承知だけど、ちょっと嬉しく思ってる。まだみんなと一緒にいられるんだ。

「なあ、人捜しなのはそれで別にいいとしてもよ、もう一つ問題があるだろ? 逃げるとしてもどうやって逃げるよ?」
「それも重要だな」

 というか、これが駄目だと全部駄目だ。最悪ロストスパーダが見つからなかったとしてもうまく逃げることができれば御の字なんだし。見つけることが出来ても逃げ切れなかったら意味がない。

「ちなみに沙城さんはどうするつもりだったんだ?」
「うーん。当初のプランは使えなくちゃったんだよね。というのも、聖治君に頼ろうと思ってたから……」
「あー、そうか」

 俺が忘れてることってかなり大事なことらしいな。混乱するってことで沙城さんは話してくれないけど、いつか聞いてみよう。今の俺でも役に立てることがあるかもしれない。

「ん? なんの話だ?」
「いや、なんでもない。じゃあ逃走ルートを今の内に考えておくか。新都の捜索は明日でいいだろ」

 明日はちょうど休日だからな。今から行ったところで時間も少ないし。

「うん、そうだね」
「だな」
「調べものをするなら図書館がいいんだな」

 力也の提案により俺たちは図書室へと行くことにした。

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