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第20章 究極合体!パーフェクトビューティー!

ルトクラス対ロッテクラスの模擬演習は
開始早々に炎が飛び交う戦場と化していた

「まさかコンドル家までアイテムを使ってくるなんてね」

俺達三人はムーたんが出現させたコットンガードに隠れ相手の様子を伺う

「そのコンドル家のアイテムってどんな能力なんだ?」

俺の質問にアレンが渋い顔をする

「確か凄く目が良くなるんだ、遠くの物が見えたり相手の動きがスローモーションで視えたり」
「なにそれ強い・・・でも発動条件があるんだろ?」
「ああ、確か荒ぶる鷹のポーズをしないといけない筈なんだが・・・」

荒ぶる鷹のポーズって・・・
俺は飛来する炎弾に注意しながらマークの様子を伺う

「そんなポーズしてるようにわっち!?」

俺の顔があった場所を赤色の軌跡が通り抜ける
少し顔を覗かせただけでこれか!?
俺は冷や汗を流しつつ羊毛に隠れ込む

「もしかしたら単純な能力で・・・?いや・・・それにしては反応が速いうえに正確すぎる」

アレンが迎撃しながら相手の分析をしているが・・・

「どうやら考えている暇も無さそうだ!」

俺は羊毛の背後に回り込んできたハゲ頭を睨む
あれ?あいつあんな趣味の悪いマスクつけてたか?

「まさか!?シジャク家まで!?」

アレンが驚愕の表情を浮かべている
・・・という事は

「あれもチートアイテムって事だな・・・!ムーたん!背中は任せた!」

俺はマークの狙撃線状に入らないように
羊毛を背にハゲ頭と対峙する

「ハゲ・・・ロウさんでしたっけ?そのダサいマスクはもしかしなくても国宝アイテムってやつですか?」

ロウは俺の言葉に大仰に頷くと両手を広げ
ローブを脱ぎ去る

「そうアタシの家紋は七色鳥、国王より預かりしアイテムの力を見るが良いわ!」
「ってなんで全裸なんだよ!?」

ローブを脱ぎ去ったロウは自らの体をアピールするようにポーズを取っている
顔に装備している孔雀のような羽が逆に変態差に磨きをかけ目を外せない

・・・てあれ?目をそらす事が出来ない・・・?
困惑する俺の前で一糸纏わぬロウが不敵な笑みを浮かべる

「どうやら気づいたような・・・そうアタシの家の家宝の効果はチャームボディー、相手の意識を奪う能力よ!」

ターゲット固定、ヘイト集め・・・
ゲームでは定石のスキルか・・・

「そしてアイテムの発動条件は肌の5割を晒す事よ!」
「いや!それ全裸になる必要ないじゃないか!!」

俺の抗議の声をロウが鼻で笑う

「モロチン意味はあるわよ?でも貴方程度に奥の手を見せる必要があるかしらぁ!?」

ロウはそう言いながら妙に色っぽく踊り出す

「夢の世界を見せてあげる・・・ドリームダンス!」

それはただ全裸で踊るだけ・・・ただそれだけの行為
しかし視線を外す事は出来ない
そう、ハゲマッチョのストリップを延々と強制視聴させられるという拷問にも近い攻撃

「ぐわぁぁぁぁ!?何て恐ろしい技を!?ナイトメアダンスの間違いだろ!?」

俺は形に表せない恐怖と戦いながらロウ目掛けて
魔改造して杖となったガラクタボウを振りかざす

「甘いわぁん!!!」

しかしロウは器用に踊りながら俺の杖を受け止めると、掌を俺の胸に当てる

「吹き飛びなさぁい!」

瞬間ロウの声がはるか遠くになるのを感じる
ドサッという音と共に砂煙が舞い、背中に痛みを感じる

「おいおい・・・近接強すぎだろ・・・」

口元から垂れる赤い物体を拭いながら現状を分析する
どうやら俺はムーたんがコットンガードを発生させた空間より外に吹き飛ばされたようだ

「あれ・・・?これヤバくね?」

視界が晴れると同時に俺目掛けて炎弾が飛来する
あ、オワタ?

「メェーーーーーー!」

しかしムーたんの叫び声と共に俺の周りに羊毛が展開されて炎弾をはじき返す

「助かったぜムーたん!物のついでにありったけの羊毛をその辺に出現させてくれ!」
「わ・・・わかったメェーーーーーー!」

両手を左右に広げてメー!!!!と鳴くムーたん
それと同時に出現した巨大な羊毛に向けて俺は杖をかまえると風をぶつける

「学友式合体技!シープショット!!!」

アレンと対峙していたロウは
高速で飛来する羊毛をぶつけられて体制を崩す

「まさか本来防御に使う羊毛を飛ばしてくるなんて!でもそれだけじゃあアタシは倒せないわよ!!」

見た目に反してダメージが少ない事に気付いたロウが余裕の笑みを浮かべる

「残念ながら羊毛の効果はそれだけじゃないぜ?」

ロウは俺の言葉の意味がわからず首を傾げている

「アレン!今の内に後方のマークをおさえてくれ!」
「わかった!任せてくれ!」
「あら?アタシのチャームボディーの事・・・忘れてないかしら?」

そう言いながら体を見せつけようとしたロウの顔が驚愕に染まる

「なんですって!?体に羊毛が引っ付いて肌の露出度が下がっている!?」

そう、これこそ俺の真の狙い
チャームボディーは体の露出度5割が条件
ならば肌の露出を下げれば良い
変態ボディー破れたり!

流石にマズイと判断したのか
今まで動かなかったシルバがロウの前で仁王立ちする
だが無意味だ!

「ムーたん!今度は小さい羊毛を大量に展開してくれ」
「ああああくそ!わかったメェーーーー!!!!」

俺は展開された羊毛に再度風をぶつける
シープショットはロウを通り抜けて背後の木にぶつかる

「どこを狙って?っな!?」

ロウは訝しげに俺を睨むと背後からの衝撃に目を見開く
そこには壁にぶつかり跳ね返ってきた羊毛
羊毛を跳弾させてロウの背中を攻撃したってわけだ!

「ウフフ・・・なかなかヤルじゃなぁい!! 」

今まで余裕があったロウの顔に初めて焦りが見える
ここが好機・・・!

「いくぞムーたん!一気にカタをつけるぞ!」
「言われなくてもやってやらぁ!」

俺達はシープショットを再度展開する
シルバが体を張ってロウの盾になるが
シープショットの前では無意味だ!

圧倒的不利
しかしロウは羊毛に埋もれながら不気味な笑みを浮かべる

「行くわよ!シルバ・トータル!」

羊の毛に埋もれながらロウが叫ぶ
すると今まで仁王立ちしていたシルバがガシンという音と共に動き出す

シルバの防御力と状態耐性は確かに脅威だ
しかしそれは動かない時のみ!

「今が好機!」

俺達がチャンス到来とばかりに連携攻撃を続ける中シルバが無言でロウの方に突撃する
ガッシャーンというおよそ人間が出すのは不可能な音と共に視界を覆うほどの砂塵が辺りを舞う

「なっ!?」

唐突な砂塵に視界を奪われた俺達は
晴れていく視界の中でとんでもないものを見る

「これぞアタシ達最強コンビの究極連携技・・・パーフェクトビューティー!!」

それは全裸のロウにシルバが亀の甲羅のようにおぶさるというはなれ技
俺は合体した二人の男を見て相手の真の思惑に舌打ちをする

「その為の全裸か!」

一見シルバが体を覆う事によりチャームボディーの
肌の露出5割制限に触れるかと思いきや
元々ロウの露出度が100%のせいでチャームボディーの効力を失っていない
その上羊毛が肌に引っ付かずに落ちていっている・・・
恐らく合体する事によりシルバの装備の耐性付与が二人にいきわたっているのだろう

まさかこの為に全裸に・・・?恐ろしい相手だ・・・
というか露出趣味の為に全裸になってると思いたくない

「こうなったアタシ達は無敵に等しい!さぁ!勝負再会といこうじゃない!」

合体した変態共に気圧されながらも俺達はシープショットを放つ

「駄目だ!シープショットが全く効いてない!?」

恐らく元々火力の低いシープショットがシルバのアイテムのせいでほぼ無意味になっているのだろう
焦る俺達目掛け、合体した変態共が笑みを浮かべて突撃してくる

「っく!こいつら!」
「うふふ!アタシ達はただ単に体を重ねているだけじゃないのよ!」

牛のように突進してきた変態を避けると
避けた先にあったコロッセオの壁が砕け散る

反動ダメージも無くなってるのか!?
ターミネーターのように砂ぼこりから飛び出してくる変態に戦慄を覚えていると
目の前に羊毛が出現する

「アズ!シープショットだ!いくぞ!」
「な!でもあれは攻略されたはず・・・」

もしかしたら何か策があるのか?
目の前に展開された羊毛に風をぶつける直前、ムーたんが黒い液体を羊毛にかける
なるほどそういう事か!

「残念だけど今回のは一味違うぞ!」

ムーたんの掛け声と共に着弾した羊毛が炎上する

「無駄よ!今のアタシ達にはこんな物ではダメージも入らない!」
「僕の狙いはそこじゃない・・・!」

ムーたんの呟きと共にフィールドが炎上する

「無駄よ無駄無駄!シルバの力で炎に対してもモチロン耐性があるわ!アタシ達の勝利はゆるが・・・な・・・」

勝利を確信したロウとシルバが青い顔をして地面に突っ張す

「な・・・何が起きて・・・?」
「酸欠ってやつだな、いくら防御が高く耐性があっても呼吸が出来なければ倒れるのは必然・・・ムートンも成長してるようだ」
「そんなの・・・アナタ達も一緒・・・」

地面に突っ伏したロウが虚ろな目で俺達を見上げて目を見開く

「このウサミミは特別製でね!」

俺とムーたんが膨らんだウサミミの中でドヤ顔を決める中
意識の途切れたロウとシルバが防衛魔術に包まれて客席に飛んでいく

あと一人!

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