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第1章 ゲームを開始します

ガタンという音と共に
椅子から落ちたような感覚を覚える

「あれ・・・居眠りでもしたか・・・?」

今まで眠っていたかのようなぼんやりとした感覚
俺はフラフラ立ち上がると両頬を強く叩く

周囲は不気味な程暗く、一寸先も見えない

「暗すぎだろ・・・ブレーカーでも落ちたのか?」

それでも非常電灯なりなんらかの光はある筈だが・・・暗すぎる
ブレーカーを上げに行こうと手探りで周りの物に触れようとするが何も見つけられないし
普通に考えて目の前に机があるはずなんだが・・・

というか!?

「手が光ってる!?」

なんだ!?
俺の隠された能力が発動してしまったのか!?

驚愕の新事実に起きたばかりの眠気は完全に抜け
覚醒した俺はここに至るまでの記憶を少しづつ思い出す
確か仕事が終わらなくて残業してて・・・
それで急に画面にメッセージが現れたんだっけ

「確か・・・」

<貴方にやり残した事はありますか?>
<   もしもあるならば     >
<                >
<                >
<   ゲームを始めますか?   >
<                >
<     はい/ いいえ     >


特段やり残した事は無かったが・・・
強いて言うなら仕事はやり残したな
しかしそんな事は些細な問題だ、俺にとって一番重要な事・・・それは!

「ゲーマーとしてゲームを始めるかと聞かれればはいを選ばざるおえない!!」

誰もいない空間でドヤ顔を決めながら宣言していると
カチッという音と共にPCのファンの音が鳴り響き
辺りが次第に明るくなっていく

「やっぱ職場で居眠りしちゃってたかー」

所長に見つかってなければ良いが・・・
そんな事を考えながら明るくなった部屋を見回す

「何も無い・・・ていうか黒から白になっただけじゃないか?ってうお!?」

白くなった視界に急に文字が浮かんで俺の周りを回り出す

「なになに・・・nowloding?」

一体何を読み込んでいるんだ?

周囲を浮遊するNowLowdingの文字は俺を中心に回っているらしく周囲を漂い続けている

「いつになったらローディングは終わるんですかねぇ?」

文字に合わせながらクルクル回っていると唐突に床が抜けるような感覚に襲われる
おーこの何とも言えない浮遊感・・・まるで高い所から落ちてるような・・・
いや、これ本当に落ちてないか?

「ちょ!?ぬわあああああ!!!」

俺の絶叫が白い空間をこだまし
浮遊感の後軽い衝撃が全身を襲う

「あいったー!!!」

全身を襲う痛みに地面を転がり回る
地面は雨が降った後のようにドロドロだ・・・
ってあれ?

痛む体にムチを打って立ち上がった俺は
足に力が入らず、ふらふらしながら背後の物にもたれかかる

唸るような熱さに頬から汗が流れ
雨の後の独特な匂いが鼻の中を充満する
チカチカする視界の先には
大きな洋館がそびえたっている

「どこだここ?」

見た事無い場所だな・・・
少なくとも室内で無い事は確かだ
夢の続きだろうか?

「夢じゃ・・・ないよな・・・」

全身を襲う激痛に顔を顰めながら辺りを見渡すと
少し離れた所から大柄な男性が何事か叫びながら走って来るのが見える
何を言ってるかはさっぱりだがその形相から恐らく心配してくれてるんだろう・・・

「あー大丈夫です・・・てかでか!?」

大柄な男性は俺を軽々と持ち上げると心配そうに俺の顔を見ている
いくら俺が平均より背が小さいとは言え成人した大人をこうも軽々!?
驚きながら持ち上げられた俺は大男の後ろの水たまりにうつる自分の姿に更に驚く

「あれ!?」

なんか俺縮んでない!?見た感じまだ産まれたばかり・・・1歳前後と言った所か?
いや・・・縮むって次元のレベルじゃねぇぞ!?

水溜りを見て仰天する俺を見ながら大男は何事かを叫びながら俺を洋館の中に連れて行く

「どうなってんだこれ!?」

大男に担がれて洋館に入った俺は怪しげなローブの男に体をまさぐられる

そんなローブの男が若い男女に何か言うと
若い男女はホッとしたような顔をして俺の頭を撫でてくる

「や・・・やめろぉぉぉ!大の大人によしよしとかやめ・・・ていうか痛!?いだだだだだ!?」

水色の髪が特徴の女性にザシュザシュという音と共に頭を撫でられるのを振り払おうとするが
相手はどうもじゃれてる風にしか見ていない気がする

そのまま抱きかかえられてゆりかごの中に放り込まれる

「おいおい・・・この歳で赤ちゃんプレイとかハードル高ぇなおい・・・」

しかもゆりかごはゴツゴツしてとてもじゃないが眠り心地最悪だ

ああ・・・せめて愛用のぬいぐるみ軍団がここにいてくれたら・・・
そう思いながら重くなる瞼に逆らえず深い眠りにつくのであった

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表紙イラストは、ココナラより柏野ぼん様に書いて頂きました!
タイトルロゴは自分で付け加えましたが・・・最初から依頼しておけば良かったかもしれませんね!


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