ぼっちの俺がギャル風美少女に好かれた件について

まさたん

第6話 遊園地デート 前編


「人の量凄いな」

今日は日曜。莉沙と遊園地に行く日となり現地集合という事で俺は現在、遊園地の近くのベンチに座り莉沙を待っていた。
そして、来て驚いたのは遊園地に来ている人の量で下手に動けば迷子になるぐらい大勢の人がいた。

「佑介!」

その遊園地に入る人達をぼんやりと眺めていると後ろから不意に声を掛けられる。

「おはよう佑介!待った?」
「いや、待って……」

俺は声の主が誰かすぐに分かり振り向きながら返事をしようと思ったがその姿を捉えて途中で返事をするのを辞めてしまった。

何故なら俺の目の前には金髪天使がいたからだ。
綺麗な長い金髪に眩しいほど白いワンピースを着てニコリと優しく微笑む莉沙の姿がそこにはあった。

「どう?この服似合ってる?」

莉沙は体を1回転させ俺に感想を聞いてくる。
正直、似合い過ぎて逆に怖い。その証拠に周りにいた男達の視線は莉沙に集中していた。それほど、今の莉沙はとても可愛い。

「に、似合ってるよ」
「ちょっとそんな目を逸らされながら言われても説得力ないんだけど」

俺は恥ずかしさのあまり目線を逸らしていたがそれが不服だったのか少し怒ったような口調になる莉沙。

「やっぱり変だよね……。せっかく気合い入れたのにな」

そう言いながらため息を吐きしょんぼりする莉沙。
そんな莉沙の姿を見て俺は慌ててフォローする。

「い、いや、めちゃくちゃ似合ってるぞ。目を逸らしたのはあまりにも可愛い過ぎて……って俺は何を言ってんだ!?」
「本当に!?可愛い!?」

その場の勢いで言ってしまった俺だが莉沙は聞き逃す事なく嬉しそうに俺に詰め寄ってくる。

「あ、あぁ」
「えへへ、ありがとう佑介!じゃあ、行こっか!」

莉沙は笑顔で俺の腕に自らの腕を絡めて歩き出す。莉沙の柔らかい胸の感触が俺の腕に伝わる。

「お、おい!離れろよ」
「嫌だ。今日はずっとこれするから」
「いや、歩きにくいしその……む、胸当たってるし」
「歩きにくいのは我慢しなさい。それと当ててるのはわざとだし」

莉沙は言いながら胸を更に俺に押し付ける。俺はなんとかして莉沙を離そうとしたが力が強く無理だった。

そして、そのままの状態で遊園地の入場門に着きチケットのQRコードを読み取り入場する。

「うわぁ、すごい!」

入場門をくぐり抜け中に入ると屋根付きの広場に出てそこにはお土産屋さんやレストランなどが多数あった。

「ねぇ、どこから回る?」
「とりあえず、近い所から回るか?」

俺は遊園地のパンフレットを広げる。すると莉沙がパンフレットを覗くため顔を近づけてくる。
女の子特有のいい匂いがしてドキッとする俺。

「ここ行こうよ」
「お、おう。いいぜ」

莉沙が指差した場所は呪われた病院というお化け屋敷だった。
しばらく歩き目的地に着いた俺達はそのリアル過ぎる病院に驚いていた。

「これって作り物だよな?」

古びた門の奥には草が無造作に生えておりそしてその先に黒い筋がいくつも入った廃病院が建っていた。
ふとアトラクション紹介を見ると『1回入ると30分は出れません。なお、途中でリタイヤも出来ます』と書いてあった。

「じゃあ、行くか」
「ちょ、ちょっと待って」

俺が病院の中に入ろうとすると何故か莉沙がそれを止める。

「や、やっぱりやめない?」
「……怖いのか?」
「べ、別に怖くないけど佑介が怖いかなって」
「いや、俺は割とホラー系好きだから大丈夫だけど」
「うぅ、じゃあ行く」

莉沙は少しうなだれて俺達はアトラクションの中に入った。

「ここは呪われた病院です。あなた達はこの病院に入った呪われし者で呪いを解かなければ不幸な目に遭います。今から御札を渡しますのでそれを霊安室にお納めください」

病院の中に入りしばらくすると黒い服を着たスタッフの人がそう説明をする。
俺と莉沙は御札を渡されて病院の奥へと進む。

最初はナースステーションらしき場所に出る。またこれも作りがリアルで散らばった書類らしき物やあちらこちらに落書きされた跡があった。

「こ、怖いよ佑介」

莉沙は俺の腕を強く抱きしめる格好で歩いていた。
おかげで別の意味でドキドキする俺。

「まあ、無理なら途中でリタイヤ出来るし」
「そ、そうだけど」

莉沙は既に声を震わせていた。
怖いなら怖いって言えば良かったのに。まあ、入る前に莉沙が怖気付いたのは分かってたけどな。

そして、俺たちはナースステーションを通り過ぎようとした時だった。

「あぁぁ」

呻き声を上げながら血だらけのナースが現れる。いきなりだったので俺もビビったがそれ以上に……。

「きゃぁぁぁ!!」
「ちょっ!いきなり走るな!」

莉沙は叫び声を上げながら俺の腕を引っ張り走り出すほど驚いていた。
そのままの勢いで次の場所に移る。

「長い廊下だな」

次に出た場所は廊下であった。いくつか部屋もありそれがずっと奥まで続いていた。

「ま、まだあるの?」
「いや、さっき入ったばっかだろ」

入ってまだ3分も経っていない。1回30分掛かるらしいからあと28分ってところか?
ちなみにリタイヤ入り口は各エリアに1つずつ設置されておりすぐにリタイヤ出来る仕組みになっている。

「どうする?無理そうならやめるか?」
「い、いや、せっかく合法的に佑介に抱きつけるから頑張る」

それが本音かよ。というか元からそれ狙いでここに来たんじゃないのか?たぶん、そうだな。
俺達は再び歩き出し廊下の突き当たりまで差し掛かろうとしていた。

「なんだ。何も起きないじゃん」

莉沙は安堵のため息を吐いて落ち着こうとしていた。
ところが突然背後からドタバタと誰かがこちらに走ってくる音が聞こえる。

「ひっ!な、なに!?」

音のする方向をずっと見ていると暗闇の中から凄いスピードで走ってくる黒く汚れた白い服を着た女の人の姿を捉える。

「いやぁぁぁ!!」
「ちょっ、ま、またかよ」

莉沙は俺の腕を引っ張り急いで廊下の突き当たりにあったドアを開けて中に入った。

「も、もう無理かも」

莉沙は涙目で俺に正面から抱き着いてくる。
俺は1つため息を吐いてからリタイヤすることを提案した。

「うん……そうする」

莉沙は頷き俺達はリタイヤ入り口へと向かい外に出たのである。

「怖かった。もう今日1人で寝れないかも」

お化け屋敷から出た俺達は次の目的地に向かっていた。その途中で莉沙は俺と腕を組んで余程怖かったのかそんなことを言い出す。

「そうだ!佑介と一緒に寝れば安心かも!」
「何1人でバカなことを言ってるんだよ」
「いいじゃん!何もしないから抱きつくぐらいしかしないから」
「何もしないって抱きつくってので十分してんじゃねぇか」

俺は苦笑いをして莉沙につっこむ。まぁ、なんだかんだ莉沙といると楽しいな。

「んで?次はジェットコースターだったけ?」
「うん。あっ、あれだよ」

莉沙が指差した方向には長蛇の列が出来ており『1時間待ち』との看板を持ったスタッフの人が。

「1時間待ちかよ」
「たっぷりイチャイチャ出来るね」
「いや、しないからな」

俺達は1番後ろに並び順番を待つ。
そして、莉沙はスマホを取り出していじり始める。

「ねぇ、写真撮らない?」
「写真?」
「初デート記念写真」
「初デートってお前ぐらいならいくらでもデートしてるだろ」
「へ?今日、人生初のデートなんだけど」
「えっ、マジ?」
「マジ」

莉沙の容姿なら二桁ぐらいしてるのかと思ってたけど違うのか。

「ちなみに佑介があたしの初恋ね」
「は?それは嘘だろ」
「嘘じゃないよ」
「……俺なんかに初恋使うなよ」

俺はぼっちだし容姿も良いわけじゃない。正直、俺より莉沙に相応しい相手はたくさんいるだろう。

「あたしはぼっちだからとか容姿の良し悪しで決めないから」
「なんで考えてること分かるんだよ」
「どうせそんな事考えてるんだろうなって思って」

俺ってそんなに分かりやすいか?
まあ、どうせなら思ってることを言うか。

「正直、俺より良い相手はいるだろ?」
「それは佑介が決めることじゃないでしょ」
「まぁ、そうだが」
「あたしは佑介以外の人なんて考えられないし例え佑介に振られようが絶対に諦めないから」
「そこまで……」
「ちょっと重たい女かなあたし」

莉沙は苦笑いを浮かべて俺の腕に頭を預ける。

「でも、あたしは佑介が本当に好き。今日のデートだって人生で1番楽しいよ。好きな人と一緒に居られてこうやって腕組めるんだもん」
「ま、まぁ、なんだ?お前が楽しんでくれて何よりだ」
「佑介は楽しい?」
「最近はこういう所来てないからな。思ったよりは楽しいかな」
「なら良かった。じゃあ、写真撮ろ!」

莉沙はスマホをインカメラにして顔を近づけてくる。
顔が近いので凄くドキドキする俺。

「はい、チーズ」

莉沙はそう言うとスマホの画面を触って写真を撮り満足したのか嬉しそうな顔を見せる。
そして、そうこうしているうちにジェットコースターに乗る順番が回ってきた。

「佑介と腕組めないんだけど」
「当たり前だろ。ジェットコースター乗ってるんだから」

ジェットコースターに乗る時は当然ながら腕組みを止めないといけない。その事に不満を持つ莉沙。

「じゃあ、手を繋ごうっと」

莉沙は俺の手を掴み恋人繋ぎをする。
えっ、このままジェットコースターやるの?
そんなことを思ってる内にジェットコースターは動き出す。

ゆっくりと上に上がって行く。ふと周りを見ると遊園地の全体の景色を見渡せるようになっていた。

「高いね」
「そうだな。久しぶりにジェットコースター乗るから酔うかもしれん」
「その時はあたしが看病してあげるから」

そんな話をしているとコースターは上に上がりきり物凄いスピードで坂道を下って行った。
そして、結局酔うこともなくジェットコースターを乗り終えた俺達は次はどこに行くのか決めていた。

「お昼ごはんにする?」
「えっ、早くないか?まだ11時だぞ」

莉沙の提案は昼飯だった。しかし、時刻はまだ11時丁度で昼飯には少し早い気がする。

「こういう所のレストランとかってお昼時はめちゃくちゃ混むんだよ。だから早めにお昼ごはん食べるの」
「あー、なるほどな。後でお腹空いてきたらそこら辺の売店でなんか買うのか」
「そういうこと」
「ならレストランに行くか」

俺は莉沙の提案に賛成して2人でレストランのある方向へ足を進めたのである。

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