人外と友達になる方法
第45話 目覚める父性 〜認定試験篇〜
認定試験を終えた悠火、奏鳴、光秀の三人は竜夜、舞姫と一旦別れ伏見区へと戻って来た。
「はぁ〜明日からまた学校かよ……」
「仕方ないよ、僕たちはあくまで学生なんだから」
「あ〜あ、来週からテストかぁ……」
悠火と奏鳴は試験の時のテンションとは雲泥の差である。
「でも、これが今の学校で受ける最後の試験になるんだよ?」
「……そうだなぁ……最後ぐらい頑張るか……」
無事に妖術師の資格を得た悠火たちは、年明けから妖術師の通う養成学校へと転入することになった。編入の手配は舞姫(宮園家)がやってくれるらしい。
正式な後継が生まれるまでは、舞姫が表向きではあるが後継者という形を取るらしい。
「だな! 三ちゃん先生に恩返ししないとな!」
三ちゃん先生とは、悠火たちの担任である三善信之先生のことだ。
三善は赤点だらけで危うく通知表がオール一(体育以外)になりそうだった奏鳴に補習を行い何とかオール二に仕立て上げた、奏鳴にとっての大恩人なのだ。
「まだ通って一年も経ってないけど、お別れだと思うと寂しいな……」
「まあ、友達とお別れするのはね……」
「……そんなこと言うなよ! 本当に泣きそうになったじゃねぇか!」
その後も三人は高校生活の思い出を語り合いながら家路に着いたのだった。
翌日、学校に着くとクラスメイトから質問責めにあった。
「お前ら転校するって本当か!?」
「何で三人とも同じ時期なんだよ!?」
「そんなことより、狐々愛ちゃん! 狐々愛ちゃんもか!?」
一年にも満たない付き合いではあるが、クラスメイトたちは悠火たちのことを思ってくれているようだ。
あと、そんなことよりって言った奴は後でぶっ飛ばす。
「三人同時なのはたまたまだよ……それで狐々愛さんも一緒に転校することになった。悠火と一緒の学校の方がいいみたいだしね」
説明は光秀に丸投げする。悠火や奏鳴だと、ボロが出てしまう恐れがある。
狐々愛はそんなこと言っていないが、主人である悠火と一緒にいなければならないのは当然だ。
「そんな……やっと仲良くなれたのに……」
「だよなぁ……来年も一緒のクラスになりたかったなぁ……」
「もうちょっとで俺になびいたのになぁ」
三ヶ月と少しの付き合いしかない狐々愛との別れを惜しんでくれるクラスメイトも少なからずいた。というか、悠火たちを惜しむクラスメイトより多い気がする。
あと、誰かはわからないが絶対お前にはなびいてない。狐々愛をどこの馬の骨かもわからない奴に渡すものか、と悠火の父性が言っている。挨拶に来たらちゃぶ台をひっくり返してやる。
「みんなありがとう。あと少しだけどよろしくね。それにものすっごく遠くに行くわけじゃないし、会おうと思えばいつでも会えるしね?」
みんな今生の別れのようだったが、悠火たちの通うことになる学校はそんなに遠いわけではない。狐々愛の言う通り、会おうと思えば会える距離だ。
と、そこへ三善が入って来た。
「お前ら席に付けぇ〜」
三善に促されみんなが着席する。
「みんな知ってると思うが伊鳴、鬼嶋、西園寺、あ〜こっちも伊鳴だった……の四人が年明けから転校することになった。あと少ししかないが、みんな最後まで仲良くな!」
「「「はーい!」」」
言われずともクラスメイトたちはそのつもりだ。
「それじゃみんなお楽しみ期末テストと範囲表を配りまーす。わかってると思うけど、年明けまではこの学校の生徒だってことを忘れないように」
「先生……それ誰に言ってます?」
「お前だよ赤点筆頭! 今回は補習の時間とってやらねぇからなぁ!」
後で知った話だが、三ちゃん先生はあの補習で五キロ痩せたらしい。
「それじゃ勉強しとけよー」
クラス委員が号令をかけSHRが終わる。
年明けまであと二ヶ月も無い。その二ヶ月を平和に楽しく過ごしたいと悠火は思った。
そして無情にもその思いはすぐに打ち砕かれることとなる。
何であんなフラグめいたことを思ってしまったのかと悠火は後悔した。
何があったのかというと……
「悠火、こんなものが靴箱に入っておった」
家に帰ってすぐに狐々愛は何かを渡してきた。
女子の、靴箱に、いつのまにか入っているもの、そう! それは恋文! である。
「ちょっと貸してください」
「な、何で敬語なのじゃ……それと目が笑っておらん! 笑ってるのに目だけが笑っておらんぞ!」
狐々愛の手から奪うように恋文を受け取った悠火は、まず初めに差出人を確認する。
(差出人の名前は……書かれてない。中身には書かれてるか?)
便箋から手紙を取り出す。
そして一応、心の中で差出人に謝っておく。
(すまない。これを最初に読むのが狐々愛でなく俺で)
そして意を決して手紙に目を通す!
読んでいただきありがとうございます。コングです。
今回で認定試験篇は終わりです。
次回から少し2、3話だけの小話をやろうと思います。
これからバトルも多くなってくる予定なので、その前に少しほっこり日常回をと思いまして。
さて、手紙の差出人は誰なのか! そして気になる恋の行方は!(ヒントは既に登場しているキャラクターです)
※この小説は現代アクションです。
それではまた次回!
2020/5/12一部改稿
「はぁ〜明日からまた学校かよ……」
「仕方ないよ、僕たちはあくまで学生なんだから」
「あ〜あ、来週からテストかぁ……」
悠火と奏鳴は試験の時のテンションとは雲泥の差である。
「でも、これが今の学校で受ける最後の試験になるんだよ?」
「……そうだなぁ……最後ぐらい頑張るか……」
無事に妖術師の資格を得た悠火たちは、年明けから妖術師の通う養成学校へと転入することになった。編入の手配は舞姫(宮園家)がやってくれるらしい。
正式な後継が生まれるまでは、舞姫が表向きではあるが後継者という形を取るらしい。
「だな! 三ちゃん先生に恩返ししないとな!」
三ちゃん先生とは、悠火たちの担任である三善信之先生のことだ。
三善は赤点だらけで危うく通知表がオール一(体育以外)になりそうだった奏鳴に補習を行い何とかオール二に仕立て上げた、奏鳴にとっての大恩人なのだ。
「まだ通って一年も経ってないけど、お別れだと思うと寂しいな……」
「まあ、友達とお別れするのはね……」
「……そんなこと言うなよ! 本当に泣きそうになったじゃねぇか!」
その後も三人は高校生活の思い出を語り合いながら家路に着いたのだった。
翌日、学校に着くとクラスメイトから質問責めにあった。
「お前ら転校するって本当か!?」
「何で三人とも同じ時期なんだよ!?」
「そんなことより、狐々愛ちゃん! 狐々愛ちゃんもか!?」
一年にも満たない付き合いではあるが、クラスメイトたちは悠火たちのことを思ってくれているようだ。
あと、そんなことよりって言った奴は後でぶっ飛ばす。
「三人同時なのはたまたまだよ……それで狐々愛さんも一緒に転校することになった。悠火と一緒の学校の方がいいみたいだしね」
説明は光秀に丸投げする。悠火や奏鳴だと、ボロが出てしまう恐れがある。
狐々愛はそんなこと言っていないが、主人である悠火と一緒にいなければならないのは当然だ。
「そんな……やっと仲良くなれたのに……」
「だよなぁ……来年も一緒のクラスになりたかったなぁ……」
「もうちょっとで俺になびいたのになぁ」
三ヶ月と少しの付き合いしかない狐々愛との別れを惜しんでくれるクラスメイトも少なからずいた。というか、悠火たちを惜しむクラスメイトより多い気がする。
あと、誰かはわからないが絶対お前にはなびいてない。狐々愛をどこの馬の骨かもわからない奴に渡すものか、と悠火の父性が言っている。挨拶に来たらちゃぶ台をひっくり返してやる。
「みんなありがとう。あと少しだけどよろしくね。それにものすっごく遠くに行くわけじゃないし、会おうと思えばいつでも会えるしね?」
みんな今生の別れのようだったが、悠火たちの通うことになる学校はそんなに遠いわけではない。狐々愛の言う通り、会おうと思えば会える距離だ。
と、そこへ三善が入って来た。
「お前ら席に付けぇ〜」
三善に促されみんなが着席する。
「みんな知ってると思うが伊鳴、鬼嶋、西園寺、あ〜こっちも伊鳴だった……の四人が年明けから転校することになった。あと少ししかないが、みんな最後まで仲良くな!」
「「「はーい!」」」
言われずともクラスメイトたちはそのつもりだ。
「それじゃみんなお楽しみ期末テストと範囲表を配りまーす。わかってると思うけど、年明けまではこの学校の生徒だってことを忘れないように」
「先生……それ誰に言ってます?」
「お前だよ赤点筆頭! 今回は補習の時間とってやらねぇからなぁ!」
後で知った話だが、三ちゃん先生はあの補習で五キロ痩せたらしい。
「それじゃ勉強しとけよー」
クラス委員が号令をかけSHRが終わる。
年明けまであと二ヶ月も無い。その二ヶ月を平和に楽しく過ごしたいと悠火は思った。
そして無情にもその思いはすぐに打ち砕かれることとなる。
何であんなフラグめいたことを思ってしまったのかと悠火は後悔した。
何があったのかというと……
「悠火、こんなものが靴箱に入っておった」
家に帰ってすぐに狐々愛は何かを渡してきた。
女子の、靴箱に、いつのまにか入っているもの、そう! それは恋文! である。
「ちょっと貸してください」
「な、何で敬語なのじゃ……それと目が笑っておらん! 笑ってるのに目だけが笑っておらんぞ!」
狐々愛の手から奪うように恋文を受け取った悠火は、まず初めに差出人を確認する。
(差出人の名前は……書かれてない。中身には書かれてるか?)
便箋から手紙を取り出す。
そして一応、心の中で差出人に謝っておく。
(すまない。これを最初に読むのが狐々愛でなく俺で)
そして意を決して手紙に目を通す!
読んでいただきありがとうございます。コングです。
今回で認定試験篇は終わりです。
次回から少し2、3話だけの小話をやろうと思います。
これからバトルも多くなってくる予定なので、その前に少しほっこり日常回をと思いまして。
さて、手紙の差出人は誰なのか! そして気になる恋の行方は!(ヒントは既に登場しているキャラクターです)
※この小説は現代アクションです。
それではまた次回!
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