人外と友達になる方法
第39話 4人目 〜認定試験篇〜
悠火たち三人は会議室らしき部屋に集められていた。
この部屋で上級妖術師の説明講義があるらしい。
もちろん天元もいる。
「諸君、先ずは合格おめでとう。今年は八人、上級妖術師に合格出来た。例年と比べても多い、素晴らしいことだ」
今年は上級八名、下級に百五十七人が合格したらしい。
スーツを着たいかにも重鎮感たっぷりの男が話し始める。
その話を八人の合格者が聞く。
悠火たちと天元の他にも四人上級妖術師になったと言うことだ。
「上級と下級での違いは一つだけだ。それは受けられる依頼の難易度。下級妖術師は下級妖怪のみ、場合によっては上級と戦うこともあるがな。しかし上級妖術師は上級妖怪はもちろん、時には合同で特級妖怪の相手もしてもらうこともある」
手元に配られた資料によると、下級妖術師と上級妖術師の人数比はおよそ一:百らしい。
そして上級妖術師は下級妖術師百人分の戦闘力を誇るらしい。
「今から君たちは上級妖術師となるわけだ、しかし妖術師と一括りに言うがそれぞれに所属がある。妖怪の封印や調査が主な仕事になる実働部隊、妖域の監視と結界の維持、怪我人の手当てなどが仕事になる支援部隊、そして術式の解析や開発が仕事になる研究部隊の3つだ。君たちにはこのどれかに所属してもらう」
悠火たちは実働部隊に所属するつもりだ。
相談するまでもない。
ちなみに天元も実働部隊に入るらしい。
他の合格者たちは研究部隊に一人、支援部隊に二人実働部隊に一人という割り振りだった。
「では以上で大まかな説明を終わる。詳しいことはこの後聞きに来るか、配布した資料で確認してくれ」
悠火たちは妖術師としての身分を表す身分証と、妖術師のルール等が書かれた資料が配布された。
他の合格者たちはぞろぞろと退出する。
部屋には悠火たちと天元、そして説明者の男だけが残った。
「何か質問があるのかな?」
「この部隊編成について、というか項目に関して質問があるのですが」
「それか……部隊は五人で一つの隊となる」
「それはわかるのですが、三人で部隊は作れないのですか?」
「駄目だ。五人で一つの隊という決まりだ。別に隊員は上級下級問わないわけだから、下級から引っ張ってくるも良し、上級を誘うも良しだ。下級からすると上級に隊に誘われるなど名誉なことだから二つ返事で了承するだろう」
悠火たちは妖術師になったら部隊を作るつもりでいた。
しかし、隊を作るにはあと二人足りない。
他に質問することもないので悠火たちは部屋を後にした。
天元は聞きたいことがあるらしくまだ部屋に残っている。
「どうする? あと2人」
「おっさんは……ダメ元で誘ってみるか?」
「さっき誘ったけど、天元さんは僕たちの部隊には入らないそうだよ」
「そっか……じゃあ上級か下級から引っ張って来るか……」
といっても悠火たちに他の妖術師との繋がりは無い。
人脈作りをしないことには隊員集めも出来ない。
「とりあえず今日はもう宿に戻ろうぜ」
悠火たちの住む街から少し離れた山が会場のため、麓の宿を予約しているのだ。
「腹も減ったしな……あと、風呂も入りてぇし」
「そうだね。急いだってどうにもならないしね」
三人の意見がまとまったので宿へと帰ることにしたその時、三人に声をかけてきた者がいた。
「あ、あの!」
「「「ん?」」」
三人が振り向くとそこにはまだ幼さの残った顔立ちをした少年が立っていた。歳は十五、六歳くらいだろうか。
「何か用か?」
「皆さんの戦い見ました! メチャクチャかっこよかったです! 僕興奮して!」
少年は興奮している様でこちらの質問には答えない。
聞こえていないのだろう。
「あの! 要件は?」
悠火は今度は少し大きな声で訪ねた。
「あっ! すみません、要件ですよね……あの、本当に厚かましいお願いですし、自分なんかが自惚れるなって思うんですが、もしよかったら僕を皆さんの部隊に入れてくれませんか?」
三人は顔を見合わせた。
確かに隊員を探していたがこんなにすぐに見つかるとは思っていなかったからだ。
「その前に君の試験結果を見せてもらっていいかな?」
光秀は冷静だ。
確かにこれで全部最下位じゃ流石に断るしか無い。
「はい。人に見せられたものじゃ無いですが……」
少年はそう言いながらも見せてくれた。
受験者名:相楽竜夜
第一次試験順位:84/307
第二次試験順位:Bブロック二回戦敗退
第三次試験順位:146/307
上記の者を『下級妖術師』として認定する。
可もなく不可もない感じだ。
平均よりはやや上といった感じ。
「ど、どうですか?」
竜夜は不安げに聞いてきた。
余程自信がないのだろう。
「光秀どうする?」
「どうもこうも、入りたいっていってるんだしいいんじゃない?」
「でもあんまり順位高くねえぞ?」
三人は竜夜に聞こえない程度に作戦会議をする。
といっても他に誘う相手もいないので了承する。
「わかった。一先ず仮入隊ってことで。ようこそ僕たちの隊へ」
光秀が竜夜を歓迎する。
隊長は悠火なのだが。
ちなみに隊長はじゃんけんで決めた。
「ありがとうございます!」
こうして悠火隊の四人目が加わった。
読んでいただきありがとうございます。コングです。
新キャラどんどん出てきますねー。出してるの自分ですけど…
ここに来て大変なことに気が付きました。
悠火たちの住んでる街の名前、もっと言うなら何県かすらも言ってなかった…
あとがきを読んでいただいてない方もいらっしゃるので、あとがきで発表するのはどうかと思いますが…この場をお借りして発表します!
悠火たちの住んでるのは京都府の京都市伏見区です。
(この地名はフィクションであり、実在する地名とは一切関係ありません)
それではまた次回!
2020/5/6一部改稿
この部屋で上級妖術師の説明講義があるらしい。
もちろん天元もいる。
「諸君、先ずは合格おめでとう。今年は八人、上級妖術師に合格出来た。例年と比べても多い、素晴らしいことだ」
今年は上級八名、下級に百五十七人が合格したらしい。
スーツを着たいかにも重鎮感たっぷりの男が話し始める。
その話を八人の合格者が聞く。
悠火たちと天元の他にも四人上級妖術師になったと言うことだ。
「上級と下級での違いは一つだけだ。それは受けられる依頼の難易度。下級妖術師は下級妖怪のみ、場合によっては上級と戦うこともあるがな。しかし上級妖術師は上級妖怪はもちろん、時には合同で特級妖怪の相手もしてもらうこともある」
手元に配られた資料によると、下級妖術師と上級妖術師の人数比はおよそ一:百らしい。
そして上級妖術師は下級妖術師百人分の戦闘力を誇るらしい。
「今から君たちは上級妖術師となるわけだ、しかし妖術師と一括りに言うがそれぞれに所属がある。妖怪の封印や調査が主な仕事になる実働部隊、妖域の監視と結界の維持、怪我人の手当てなどが仕事になる支援部隊、そして術式の解析や開発が仕事になる研究部隊の3つだ。君たちにはこのどれかに所属してもらう」
悠火たちは実働部隊に所属するつもりだ。
相談するまでもない。
ちなみに天元も実働部隊に入るらしい。
他の合格者たちは研究部隊に一人、支援部隊に二人実働部隊に一人という割り振りだった。
「では以上で大まかな説明を終わる。詳しいことはこの後聞きに来るか、配布した資料で確認してくれ」
悠火たちは妖術師としての身分を表す身分証と、妖術師のルール等が書かれた資料が配布された。
他の合格者たちはぞろぞろと退出する。
部屋には悠火たちと天元、そして説明者の男だけが残った。
「何か質問があるのかな?」
「この部隊編成について、というか項目に関して質問があるのですが」
「それか……部隊は五人で一つの隊となる」
「それはわかるのですが、三人で部隊は作れないのですか?」
「駄目だ。五人で一つの隊という決まりだ。別に隊員は上級下級問わないわけだから、下級から引っ張ってくるも良し、上級を誘うも良しだ。下級からすると上級に隊に誘われるなど名誉なことだから二つ返事で了承するだろう」
悠火たちは妖術師になったら部隊を作るつもりでいた。
しかし、隊を作るにはあと二人足りない。
他に質問することもないので悠火たちは部屋を後にした。
天元は聞きたいことがあるらしくまだ部屋に残っている。
「どうする? あと2人」
「おっさんは……ダメ元で誘ってみるか?」
「さっき誘ったけど、天元さんは僕たちの部隊には入らないそうだよ」
「そっか……じゃあ上級か下級から引っ張って来るか……」
といっても悠火たちに他の妖術師との繋がりは無い。
人脈作りをしないことには隊員集めも出来ない。
「とりあえず今日はもう宿に戻ろうぜ」
悠火たちの住む街から少し離れた山が会場のため、麓の宿を予約しているのだ。
「腹も減ったしな……あと、風呂も入りてぇし」
「そうだね。急いだってどうにもならないしね」
三人の意見がまとまったので宿へと帰ることにしたその時、三人に声をかけてきた者がいた。
「あ、あの!」
「「「ん?」」」
三人が振り向くとそこにはまだ幼さの残った顔立ちをした少年が立っていた。歳は十五、六歳くらいだろうか。
「何か用か?」
「皆さんの戦い見ました! メチャクチャかっこよかったです! 僕興奮して!」
少年は興奮している様でこちらの質問には答えない。
聞こえていないのだろう。
「あの! 要件は?」
悠火は今度は少し大きな声で訪ねた。
「あっ! すみません、要件ですよね……あの、本当に厚かましいお願いですし、自分なんかが自惚れるなって思うんですが、もしよかったら僕を皆さんの部隊に入れてくれませんか?」
三人は顔を見合わせた。
確かに隊員を探していたがこんなにすぐに見つかるとは思っていなかったからだ。
「その前に君の試験結果を見せてもらっていいかな?」
光秀は冷静だ。
確かにこれで全部最下位じゃ流石に断るしか無い。
「はい。人に見せられたものじゃ無いですが……」
少年はそう言いながらも見せてくれた。
受験者名:相楽竜夜
第一次試験順位:84/307
第二次試験順位:Bブロック二回戦敗退
第三次試験順位:146/307
上記の者を『下級妖術師』として認定する。
可もなく不可もない感じだ。
平均よりはやや上といった感じ。
「ど、どうですか?」
竜夜は不安げに聞いてきた。
余程自信がないのだろう。
「光秀どうする?」
「どうもこうも、入りたいっていってるんだしいいんじゃない?」
「でもあんまり順位高くねえぞ?」
三人は竜夜に聞こえない程度に作戦会議をする。
といっても他に誘う相手もいないので了承する。
「わかった。一先ず仮入隊ってことで。ようこそ僕たちの隊へ」
光秀が竜夜を歓迎する。
隊長は悠火なのだが。
ちなみに隊長はじゃんけんで決めた。
「ありがとうございます!」
こうして悠火隊の四人目が加わった。
読んでいただきありがとうございます。コングです。
新キャラどんどん出てきますねー。出してるの自分ですけど…
ここに来て大変なことに気が付きました。
悠火たちの住んでる街の名前、もっと言うなら何県かすらも言ってなかった…
あとがきを読んでいただいてない方もいらっしゃるので、あとがきで発表するのはどうかと思いますが…この場をお借りして発表します!
悠火たちの住んでるのは京都府の京都市伏見区です。
(この地名はフィクションであり、実在する地名とは一切関係ありません)
それではまた次回!
2020/5/6一部改稿
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