俺の高校生活がラブコメ的な状況になっている件

ながしょー

第67話

 年末最後の夜。
 今日は美月と愛が家に来ていた。
 何をするのかは知らないが、美月に聞いたところ六花に呼び出されたらしい。たぶん、愛も同様だと思う。
 
 「六花、今から何するんだ?」

 コタツにそれぞれ入ると、俺は六花にそう聞いた。
 だが、その前に一つだけ疑問がある……というか、今浮上してきた。
 
 「カミングアウト大会をするの!」

 「うん、その前に俺の膝の上に座らないでくれる?」

 他の三人はカミングアウト大会と聞いて「おぉー」とか「キャー」とか言ってるが、俺はそれどころではない。
 六花が膝の上に座っているおかげで髪のいい匂いとかが鼻にきて……もうクラクラしそう。
 ――やっぱり美少女というだけあって何もかもスペックが違うなぁ。
 そう感心していると、さっそくカミングアウト大会が始まってしまった。
 ちなみに六花は俺の言葉を無視した状態で今尚、膝の上に座っている。

 「じゃあ私からね!実は……冷蔵庫に入っていた極上どデカプリン…私が食べてしまいました!」

 「お前かあああああああああああああああああ!!!」

 最初は六花からだったが、まさかあれを食ったのがコイツだったとは……。
 極上どデカプリンは非常に入手が困難で値段も市販のプリンより五倍ほど高い。
 だから、購入できた時はすごく嬉しくて疲れた時にゆっくり味わいながら食べようと思ってたのに!
 翌日には冷蔵庫からキレイさっぱりなくなってたから、つい食べたすぎて夢でも見てたのかと思っていた。

 「まぁまぁ、しょーくん怒らない怒らない♪」

 「お前が言うな!」

 食べた本人に宥められてもなぁ……。
 
 「はいはいっ!次、僕からね!」

 「なんだ美月、お前も何かあるのか?」

 「うん!」

 ニコやかに頷く美月。
 あれ?カミングアウトってこんな雰囲気でするもんだったか?みんな心なしか楽しそうだぞ。
 はて、美月からはどんなカミングアウトが出てくるのか想像がつかない。裏表のないやつだから逆にカミングアウトすることなんてないのではないかとさえ疑ってしまう。
 でも本人がこうして言おうとしているのだから何かしらあるのだろう。

 「僕はね……実は……」

 ゴクリという唾を飲む音が聞こえた。
 一瞬誰だろうと思ったが、俺だった。
 ――なんだろう……この緊張感。
 俺だけなのだろうかと思い、他の四人を見るが、いつもの様子。
 
 「……女の子なんだ」

 急に聞こえたので誰だと俺はキョロキョロする。

 「ふーん…知ってたよ」

 「愛も知ってた」

 「ユキは何となくそんな感じかなって思ってた」

 「えええええええええええええ?!……って俺だけ?!」

 まさかのカミングアウトだったけど知らなかったのって俺だけだったの?
 それよりも美月が女の子ってどういうことなんだ?
 現に学校では男子として在学しているし、見た目は……まぁ、中性的というか美少女だと言われればそう信じたくなるような外見だが……ありえなくね?
 本当に美月が女の子なら、教育委員会はどうなってんだよ!性別を間違えるなんて……。

 「僕ね、入学願書を高校に送る時、ちゃんと女の子の性別に丸つけたんだよ?だけど、合格が決まって制服寸法の時、なぜか男の子の方に僕の名前があって……」

 「それ先生とか学校の人に言ったのか?」

 「うん、言ったんだけど……性別を間違えたことが世に出ればまずいっていうことで校長にもみ消された」

 「闇だな……」

 学校の裏側が見えたような気がした。
 結局、地位の高い大人はみんな今の地位を守ろうとして不正を働くのか。
 よくテレビとかで政治家の汚職問題や有名企業との賄賂が報道されるが、まさかこんな身近にいたとは……。
 
 「だから、プールの授業とか出なかったのねぇ……」

 六花が顎に手をやり頷く。

 「うん、だけどその分の授業とかは全て成績には反映されないようになってるからね」

 なんと羨ましい。
 俺は水泳が苦手だからその分の成績も悪い。
 できることなら代わってやりたいぐらいだ。
 
 「だけど……これで翔太くんも僕のこと女の子として見てくれる…よね?」

 「ああ……」

 美月が頬を赤くしてそう言ったが、俺にはちょっと違うような意味にも聞こえた。
 でも、そんなわけないと思い、頷くだけに終わる。

 「さて、僕のカミングアウトは終わり!」

 次は誰がカミングアウトをするのだろうか。
 次回に続く!

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