俺の高校生活がラブコメ的な状況になっている件

ながしょー

第22話 修学旅行初日

 飛行機に乗り、鹿児島から大阪まで約1時間。
 俺たちは大阪に降り立った。
 
 「しょーくん顔色悪いけど大丈夫?」

 「な、なんとか……」

 空港に到着して早々、俺は情けないにも飛行機酔いで近くのイスに腰掛けていた。
 まさか、飛行機酔いをするなんて出発当初は思いにもよらなかった。なにせ、初めての飛行機だったからな。

 「だから酔い止めの薬飲んどけば良かったのに」

 「……はい」

 離陸直前、六花から酔い止めの薬を勧められていたが、俺は基本的乗り物には強い方なので断っていたが、今となってはただ後悔だけが残っている。

 「も、もう大丈夫だ。そろそろ行くか」

 このまま休んでいても、皆の迷惑になるのですぐに自分のキャリーバッグを取って、本日泊まるホテルへ向かうバスに乗車した。


 ホテルに到着した頃には11時前になっていた。

 「疲れたねー」

 六花は心底疲れた表情を見せ、俺は疲労MAXのため声を出すことすらできなかった。
 とりあえず、そのままキャリーバッグを片手にロビーまで向かった俺たちはそれぞれ部屋の鍵を受け取り、部屋に向かった。
 六花とはもちろん別の部屋のため、途中で別れたが……一緒の部屋がよかったなぁ……とか、思ってねぇぞ!

 「おっ、結構いい部屋だな」

 「そ、そうだね!」

 どうしたんだ?なんか美月…目が泳いでないか?
 明らかに様子がおかしい。こんな様子の美月を見るのは初めてかもしれない。ただ単に疲れているだけならいいのだが…。

 「ちょっと売店で何か買ってくるわ」

 「うん、わかった」

 「何か欲しいものでもあるか?」

 「うーん……特にないかな」

 「わかった、じゃあ行ってくる」

 俺は少し美月のことが気になりながらも部屋を出た。


 それから数分後。
 売店で夜中食べる用のお菓子とジュース類を買ってきた俺は部屋に戻った。
 部屋に入るなり、美月の姿がいないことに気づき、少し焦ったが、よく耳を澄ますとバスルームの方からシャワーの音がした。
 ――どうやらこんな真昼間からシャワーを浴びているらしい。

 「おーい、なんでこんな時間からシャワーなんて浴びてんだー?」

 俺は何気ない感じでバスルームの扉を開けた瞬間だった。

 「キャッ!」

 どこからか女子の悲鳴が聞こえた。
 「なんだ?」と思い、周囲を見渡すがもちろん女子などいるはずもない。……と、いうことは今の声は美月?
 
 「なんで体を隠すんだ?」

 美月の方を再び見れば、正面を隠すように背中を向け、こちらを見つめていた。
 その目は、まるで思春期真っ只中の女の子が入浴中にお父さんに裸を見られたような……とにかく、「早く出てって!」ということは伝わった。
 ――男なのになんでなんだろう?
 
 「もぅ……早くあっち行ってよ……」

 「あ、ああ、悪かった……」

 美月の顔はシャワーによって火照ったのか、それともあまりの恥ずかしさによって蒸気したものなのかは判断できなかったが、りんごのように赤かった。
 そして、俺はバスルームから速やかに退出したのだった。


 昼食を食べ終わって少し経過した午後2時頃、全体集合がかかった。
 引率の先生の話によると、このあとは夕方5時まで自由に行動をしてもいいらしい。
 解散後、何をしようかと考えているとき、六花が近づいてきた。
 
 「しょーくん、そーいえばさ、大阪の人って本当に関西弁喋るのかなー?」

 知るか!何のためのスマホなんだ?ググれカス!

 「ここでボコしたっていいんだよぉーお?」

 語尾がおかしい事になっているが……逆らえないので、すぐさまに土下座しました!
 ……プライド?そんなの死ぬくらいなら捨ててやるさ!
 でも、本当にどーでもいい話だが、俺たちは全員鹿児島人だ。しかし、鹿児島弁を話したことはない。話すとしてもイントネーションぐらいかな?
 地元テレビでも報道されていたが、今、鹿児島の若者は鹿児島弁を話さない。なぜかというかまず知らない。なので、まえ、父方の祖父母の家に行ったときにおばあちゃんがおやじに、

 「けけけ」

 と、言っていた。俺は一瞬、歴史で習ったK.K.K(クー.クラックス.クラン)かと思った。……が、なぜアメリカの白人至上主義の秘密結社なんだ?おばあちゃん白人じゃないし、どこからどう見ても日本人だよ!……なら、なんなんだ?
 俺はそのあとおやじに聞いたところ、

 「ああー笑…「けけけ」というのは「貝を買って来い」っていう鹿児島弁だよ笑」

 えええ?!その「けけけ」でよく伝わったな!てか、なんで「けけけ」が「貝を買って来い」なんだ?まさか、こーいうことか?アルファベットにして「Kai wo Katte Koi」、それから頭文字を取って「KKK(けけけ)」。テレビでよくアルファベットの頭文字で表現しているどこぞのミュージシャンかよ!
 
 「とりあえず、どこか行くか?そうすれば分かるだろう」

 と、いうことで俺と六花、美月、そしてちょうどその頃合流した愛と一緒に大阪市街地をぶらりとすることになった。

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 ホテルを出た俺たちは初っ端から迷子になっていた。
 
 「なんでこんなことになっちゃったのよぉ!」

 それもこれもこうなったのは全てお前のせいだろう……と思ったが、

 「何?私のせいだっていうの?」

 六花が今にでも射殺すかのような鋭い目付きで睨みつけてきた。
 ……すみません、前言撤回します。

 「それにしてもここどこなんだろう?」

 美月が当たりをキョロキョロと見回している。
 どう見たってどこかの路地裏だと思うが…。

 「とりかく、元の場所に戻るぞ。みんなこういう時にはどうすればいいと思う?」

 こういう時にはスマホのGPS機能を使えば、元にいた場所に戻れるのだが、一応ね……聞いておこう!

 「うーん、こういう時は方位磁石を使えば……」

 美月はこの場所がどこなのか分かっていないのだろうか?
 美月が言っているのは山で遭難した時の対処法だと思うが、ここ大阪の市街地だからね?!
 驚きの珍回答が出た次に六花が、

 「美月ちゃん違うよwww」

 おっ、さすが才色兼備の六花さん。

 「こういう時にはね、スマホを使うのよ」

 いいぞ!分かってるじゃないか!

 「GPS機能を使えば……って、あれ?」

 ん?どうしたんだ?どんどん顔が青くなってきてるが……

 「充電するの忘れてた…アハハハハ」

 はい、惜しいところで残念な六花さん。全然顔が笑ってないですよ。

 「もぉー2人ともダメねー」

 愛が自身のスマホを取り出し、残りのバッテリー残量を強調し始めた。
 ――おお、残りのバッテリー残量70%……これなら十分だな。
 しかし、その安心も一瞬だった。

 「あ……」

 あ?何か問題でも起きたのか?先ほどの六花と同様に顔が青くなってきてるぞ。

 「ご、ごめーん……私のスマホ……GPS機能付いてなかったんだったーアハハハハ」

 今の時代にGPS機能が付いていないスマホが存在するということに驚く。

 「はぁー……この中で1番しっかりしてるのは俺しかいないのか…」

 俺は自らのスマホをズボンポケットから取り出すと、アプリを使って今いる場所を検索した。
 そして、ものの数分で元いた場所、すなわちホテル前に到着することができた。
 六花が子どもみたいに大はしゃぎして走り回らなければ1時間も潰すことはなかったのになぁ……。

 「わ、悪かったわね!」

 「反省の態度が見られんな!」

 六花は少しムキになって謝罪の言葉を発し、俺は俺で肩をすくめたのだった。

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 大阪観光もそこそこにホテルへ戻った俺たちは夕食を食べに、1階にあるレストランへと向かった。
 俺たちの学校はほぼ自由なため、朝、昼、晩、食事は各自で摂るようになっている。そのため、今日はホテル内にあるレストランにしたのだが、

 「た、高ぇ……」

 店員さんから渡されたメニュー表に目を通すと、思った以上の値段が各メニューの横に表示されていた。
 修学旅行なので、一応それなりのお金は用意してきたつもりだが……ずっとこのレストランで食事をしていたらお土産は買えなくなるだろう。
 明日からは比較的に安いファーストフード店にしようと心に決め、料理を注文した。
 一方で六花、美月、愛は……

 「思ったより安いね」

 「そうだね!」

 「この値段なら毎日ここにしよ」

 ……。
 こいつらの金銭感覚……麻痺ってないか?
 それとも……俺がおかしいのか?
 だって、各メニューの平均2000円以上だよ?
 コンビニとかで売ってそうな惣菜パン1つで1080円だよ?
 普通に高くないスか?ね?ね?

 「そう?都会なら普通じゃない?」

 「キミは一体どうやって俺の心を読んでるんだ?!」

 いっそ、その技を俺だけではなく、全世界の人々相手に使えば……世界征服も夢ではないかもしれない。

 「翔太くん、ちょっとうるさい……」

 美月が俯き加減でそう言い、俺は当たりを見渡すと……ああ、人々の視線が刃物のように突き刺さって心が痛いッ!
 
 「す、すみませんでした……」

 周りの人々に頭を下げ、再び席に着くと、ちょうど注文した料理が運ばれてきた。
 
 「美味しそう……」

 六花が目をキラキラさせながらヨダレを滝のように垂らしまくっている。
 それもそのはず、値段がするだけあって、今までに嗅いだこともないような美味しそうな匂いが漂ってくる。その匂いだけでもうご飯が何倍でもイケそうだ。
 
 「……食うの早いな……」

 気がつけば、俺以外の3人はもうガブガブ食べていた。
 みんな食事に夢中でもう……食べ方汚いですよォ。
 
 「俺も食うか」

 ひと口食べたら……美味いなぁ!これは止まらねぇ!
 あまりにも美味しさにみんなに負けず劣らずの食い方をする俺であった。

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 それから数十分後。
 すっかり腹を満たした俺たちは風呂に入ることにした。
 途中、六花が……

 「しょーくんも一緒に入るぅー?」

 と、イタズラっぽい笑みを見せながらからかってきたが、俺は一切無視した。そうでないとアイツ……調子に乗るからな。

 「あれ?美月は入らないのか?」

 大浴場がある2階の男湯前で美月の足が急に止まった。
 顔を見れば、口はわなわなと震え、目は動揺しているのか、ものすごく泳いでいる。額からは暑くもないのに汗がじんわりと吹き出ていた。

 「え……と、ちょ、ちょっとお腹痛くなってきたなー」

 「そうなのか?なら、トイレ行ってきたら?」

 「う、うん、ちょっとお風呂は無理かもしれないから先に入ってて!僕は後から1人で入るからさ」

 「……分かった」

 何か違和感を感じたが、そこは気にせず美月が引き返すのを見届けた後、風呂に入ることにした。

 「結構広いな……」

 ホテルの大浴場ともあって、想像以上の広さだった。もしかしたら、俺の家の敷地面積と同じくらいかな?
 服を脱ぎ、脱衣所から浴場に入ると……誰もいねぇ。
 人っ子1人もおらず、完全に俺1人だけだ。
 まぁ、これはこれで貸切みたいでいいんだけどね!

 「今日は疲れたなぁ……」

 まだ修学旅行初日。残り3日間もある。
 みんなにとっては楽しい修学旅行だが、俺にとっては少し地獄だ。
 家では好き放題にゴロゴロしてゲーム、アニメ、ラノベを楽しめるのにここではほとんどのことができない。できるとしてもソシャゲくらいだろう。
 そんなことを考えているとき、脱衣所から声が聞こえてきた。
 ――誰か来たか?
 でも、よく耳を澄ましたら女子のような声だった。
 ――女子?……えっ……なんで?……って、どうしよ?!
 俺はどこに隠れようか、どう説明しようか焦っているうちに女子が浴場に入ってきた。よく見たら2人組だ。
 「もうダメだ……」と、諦めている時だった。

 「あれ?しょーくん?なんでここにいるの?」

 「あ、ホントだ!なんで翔太がここにいんのよ」

 聞き覚えのある声が俺の名前を呼んだ。この声の主は……

 「六花と愛か?!なんでって、俺が逆に聞きたいよ!ここ男湯だぞ?」

 そうだよ!ちゃんと入口にのれんで『男湯』って、書かれているのを見なかったのか?本当にコイツらバカだなぁ……フハハハハ。

 「バカはしょーくんの方だよ。ちゃんとのれんで『女湯』って、書かれているの見なかったの?」
 
 「え、どういうことだ?」

 のれんが『女湯』だって?そんなバカな……。俺が入った時はちゃんと『男湯』って書かれたのれんだったぞ?その時ちゃんと美月も見ていたと思うから、間違いではないと思うが……。

 「あ、そういえば…さっき清掃のおばあさんが「間違えちゃった!テヘペロ☆」とか言って、『男湯』と『女湯』ののれんを逆にしてたよ」

 「え……そ、それは本当なのか愛?」

 思わず声が裏返ってしまった。
 これがもし本当に事実であれば……それはそれはもう……

 「本当だよ!ねぇ、六花ちゃん」

 「うん、そういえばそんなことあったね」

 「……ま、マジスか……」

 と、とりあえず早く出なければ!
 俺はすぐに風呂から出ると、脱衣場まで駆け出した。
 だが、時すでに遅し。
 このタイミングでどんどんと入浴をしに、同じ学校の女子たちが脱衣所まで入り込んできた。
 
 「や、ヤバい……」

 俺はすぐに浴場に戻り、隠れ場所を探すが……ない。
 ――もう、オワッタナ。憧れだった高校生活に永遠にアデュー。

 「仕方ないわね……私たちの背中で隠れときなさい」

 涙目になっていた俺に救いの手を差し伸べてくれたのは、もちろん六花と愛だった。

 「その代わり私たちが巻いているバスタオル剥ぎ取らないでよ?裸見られるの……は、恥ずかしいし……ね?」

 「う、うん……まだ見ちゃダメ!」

 六花と愛は頬を赤らめながら、そう言うが……

 「見ねぇーし、剥ぎ取らんわ!」

 常識的にしないだろ。そんなことをするのはアニメの世界だけだ。それに、この状況でやる奴なんて相当な勇者だと思いますね。はい。

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 どのくらい時間が経過したのだろうか…。
 気がつけば、浴場は女子で満員で何人かが出たと思ったら次の何人かが入ってくる。
 ――今の時間帯、入浴ラッシュか?
 それにしてもさっきから頭がくらくらする。これは……のぼせたみたいだ。

 「ちょっと、しょーくん大丈夫?」

 俺の異変に気づいた六花が周りの女子に聞こえないよう、小声で心配する。

 「……む、無理かも……」

 もう……ヤバい……頭がくらくらして……

 キャッ!

 どこからか女子の悲鳴が聞こえた。

 「六花ちゃんどうしたの?」

 周りの女子数名が六花たちのところに集まってきた。
 ――ああ、今のは六花の悲鳴だったのか……。
 俺はどうやら六花の背中にもたれかかっているようだ。このスベスベで柔らかい肌……気持ちいいなぁ……。
 一方、六花と愛は必死だった。

 「な、なんでもないよ!ねぇ、愛?」

 「う、うん!私がふざけて驚かしただけだから!」

 何とか誤魔化せたようで集まってきた数名の女子は「それなら良かった」「もう……何があったのかと思ったじゃない」と言って、離れて行った。
 危機はひとまず乗り越えたが……俺の命の危機は乗り越えられていない。

 「しょーくん?ちょっとしっかりして!」

 「翔太、返事して!」

 「……」

 小声で六花と愛に呼びかけられるが、意識が朦朧として声が上手く出せない。
 この先どうなっていくのだろうか?
 明日の朝刊に『男子高校生、女湯に潜入してのぼせて死亡』みたいな見出しが書かれてなければいいのだが。

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 目を覚ますと真っ白い天井が見えた。
 病院か?と一瞬思ったが違う。
 当たりを見渡すと……女湯の脱衣所だった。
 俺はまだ少し頭がくらくらする体を起こすと、ちょうど六花が脱衣所に入ってきた。

 「体調は大丈夫?」

 「……なんとかな。それよりもう着替えてたんだな」

 まぁ、当たり前だが、俺はスッポンポンだ。
 厚かましいが、ここまで運んできてくれたんなら服まで着せてくれよ……風邪ひくだろうが!

 「ごめんごめん、ゴム手袋があれば良かったんだけどね」

 「俺そんなに汚いか?!」

 さっきまでのぼせて倒れてた人にそんなことを言うなんて酷すぎますよ六花さん。せめて、着替えさせる時間がなかったとかにしてよね!

 「そういえば……愛は?」

 俺は着替えながら愛がいないことに気がついた。

 「ああ、先に部屋に戻ったよ」

 「そうか」

 なんか冷たいなと思いながらも着替えを終えた俺は他の女子が入ってこないうちに女湯から脱出したのだった。

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 部屋に戻ると美月がベッドの上で読書をしていた。
 相当夢中なのか俺が部屋に戻ってきたことすら気づいていない。
 ――なんか寂しいな……。
 とりあえず、俺も美月の横にあるもう1つのベッドでゲームでもしようとした時だった。

 「……パンツ……?」

 ベッドの上に女性用のパンツが置いてあった。
 色はピンクでごく普通の可愛らしいパンツ。
 ――誰のなんだろう?
 まず最初に疑ったのは美月だが……男だからありえないよな?……いや…………やっぱりありえないな。

 「じゃあ……これは誰のだ?」

 「ご、ごめん、これは……」

 その時だった。
 美月は俺の存在に気づいたと同時にパンツの事も思い出したようで素早い動きでパンツを取り上げてしまった。
 そして、なぜか顔が赤い。

 「……」

 「……」

 なんか気まずい。
 こういう時ってなんて言えばいいのだろうか。
 「お前そういう趣味だったのか!」……いや、違う。これを言ったら絶対泣いちゃう。
 じゃあ、「可愛いパンツだな!」……これも違う。これは男相手に言う言葉じゃない。
 ………………何をどうすればいいんだああああああ!!!

 「こ、これ妹のなんだ!」

 「え?!」

 も、もしかしてシスコン?!しかも、兄妹という壁を越えてのアニメでしか見たことのない関係ッスか?
 美月が女装趣味でないということには安心したが、それはそれで大問題である。

 「た、多分勘違いしていると思うから言うけど、間違って持ってきちゃったの!」

 「え?」

 一体、どうすれば妹のパンツを間違って持ってきちゃうようなことになるのだろうか?……不思議でたまらない。
 いっそのこと探偵ナイトスクープにでも調査を依頼したいぐらい不思議だ。
 でも、これ以上問い詰める訳にはいかなかった。
 美月の顔を見れば、さっきより赤くなってるし、目には涙が溜まっていた。もうすぐで決壊して溢れそうだ。

 「わ、分かったよ……なんか、すまんな」

 そう言うと、美月は「うん」と応え、服の袖で目をゴシゴシ……可愛いな!
 コイツが女子だったら今の仕草で襲いかかるところだった。
 こうして、長くて短かった修学旅行初日を終えることができた。
 明日も自由とは聞いているが、果たしてどんなことをするのやら……。

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