ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第58話黒い戦士の狂暴走化

激しい衝突音ーー
建物はビリビリと震え、軽い瓦礫は吹き飛ばされる。


禍々しい、黒い斬撃は一閃、一閃異なる軌道と読み合いがつかないデタラメな攻撃ーー
それでも、黒い戦士はアンドロイドから出る線状のムチに絡め取られて吹き飛ばされたり、壁に叩きつけられたりと重い一撃を受けまくる。
そんな状態を黒い戦士からすれば防衛一戦な状態としかいいようが無い


それを見て誰もが言う...この二人には型なんて、無い...。ただ滅ぼすだけの意志の塊の衝突。まるで、双方の破壊者が潰し合いしてるかのようにーー


轟音だけが、辺りに鳴り響き
破壊音と建物が崩れゆく音だけがシンプルに響く。
夏の暑さなんて、感じさせない...。それだけ、臨場感と凍りつくような殺気があたりを包み込み、部外者なんてとても入り込める領域じゃない。


だが、片方の黒き戦士は...徐々にその力でさえ勝てなくなる。
特異点っと言うだけあり、計り知れない強さを誇るアンドロイドはさらなる強さを武器にして黒い戦士を追い詰め始める。


互い理性を失くした、果てなき暴走者
この戦局は、特異点が優位になり黒い戦士を貫く一つの巨大な刃ーー


その瞬時に、理解したかのように我に帰る。空斗は、再び思う


まだ、だ...。俺に力をよこせ。
こんなんじゃ...何も守れやしないーー


消えかけた拍動は、再び蘇る
消えかけた黒いオーラは更に濃さを増していく。突き刺された巨大な刃に両手で握った瞬間、腕から放たれる黒い紐みたいなのがシュルシュルと巻付き
巨大な刃を破壊する。


アンドロイドは、再び黒い戦士に向けて飛ばす線状なムチーー
黒い戦士の眼前まで迫り来る
だが、一枚のバリア見たいのが現れて
アンドロイドの攻撃を弾く。


こいつを...殺す!


殺意がよりいっそう、加速させる
黒い戦士は、目をぐいっと開き
ぐいっと上がった口元で、地面を一歩踏みしめた。


音速と呼べるぐらいの速さで、アンドロイドに攻めより笑うかの様に、黒い紐を腕に巻き付けて突くーー


重い鉄音が鳴り響き、アンドロイドは後方に重力感を感じさせる格好で吹き飛ばされる。
そして、間を与えない様に黒い戦士は音速で吹き飛ばされるアンドロイドの背後へと回り込み、そして、ゆっくりと握りしめた黒い紐拳をアンドロイドの顔にめり込むように地面に目掛けてうち下ろすーー


轟音、黒い衝撃波、衝撃音が強く鳴り響き飛ぶ。
戦局が大きく動いた、防衛一戦だった彼を逆転する事態になった。


アンドロイドは、口から黒い煙を吐き出し。バチバチとショート音を鳴らす
、それでもまだ立ち上がって黒い戦士を見上げる。
何メートルか空いた穴から、飛んで抜け出る。そして、正反対側の位置に着地して手から巨大な刃をあらわした


黒い戦士は、アンドロイドのかなりのへこみ具合をみて噛み締めるかのようにその顔にこれまででも無い深々い笑をこぼす。
黒い戦士も、右手をゆっくりと伸ばす
そこから、黒い紐がシュルシュルと音を立てながら一つの剣を作る


突進してくるアンドロイド、構えをとる黒い戦士ーー


そして、互いに最後の一撃を振り抜き
すれ違う一瞬に全てを掛ける


空回りをしながら、巨大な刃は風を切る音を放ちながら黒い戦士の真横に突き刺さる。


ゆっくりと、アンドロイドは前にゆっくりと倒れ始め。そして、ガッシャンっと音を立てて地面に倒れ込んだ


無言に佇み、そして...黒い紐は全方向へと飛ばされ建物を破壊する。


暴れ足りない!
もっとだ、もっと殺させろ!!


黒い戦士は、突如建物を次々に破壊
そして、その勢いを留めることなく
敵味方関係なく、攻撃を始める


歪む怠惰、狂顔に満ち溢れた笑...
破壊だけを嗜む...それらを合わせれば狂暴化としかいいようが無い。


そんな非常事態を、上定は黙って目視する。これはある意味、危険な状態を示していた。現時点で、上定も説得力を感じさせない危険な状態だ


『ブリーフが危険だと?』
『いい加減履いてください...ズボン』
『ビルガール、お前は...こんな全身タイツを想わせるビッチしたこのゴム製の下ズボンを穿けと言うのか?』
『それがなきゃ、ある意味大惨事ですよ。股間に集中攻撃されたいんですか?』
『股間...爆破だと...?貴様、全人類男子にそんな、あんな、こんな、爆破だぞ!?なんていう日だーー!!』
『もう表現すらできなくなってますね...。でもまぁ、上定様...例の準備出来てるんですよね?』
『もっさりプリーフ保管庫計画か?』
『いや、そんな汚い保管庫計画あったらもっと別なもん保管庫するわ!!ってか違う、趣旨変えないでください。』


上定は天井を見上げて、数分間
ゆっくりとビルガールの顔を見る


『うむ、出来てる。だが...奴の暴走をシステム的に抑えるとなれば...救いようが無い』


その言葉の意味、誰もが背筋を凍りつかせる。
救いようが無い...。詰まり、システム的イレギュラーとして排除するしかない。
それは、彼の死を意味するーー。ビルガールは、血相を変えた顔で上定の胸元を掴む


『仲間って言っただろ!なんで、見殺す選択しかないんだ!』
『ビルガール落ち着け。精神がネットワークを介して彼の意識自体が闇底に落ち始めている。これ以上広がれば...本当に救えなくなる』
『どうゆう意味だ?救えないとか、救えなくなるとか。ハッキリしろよ!』
上定は、ビルガールの腕を掴みながら
『数値が物を言う、侵食されていく彼のアバター。あらゆるウイルスを自ら取り込みそれを、力に変えて発揮するのが彼の準管理者システム。だが、ウィルスの吸収し過ぎたせいで膨張してしまい。溢れ出す力を抑えることが出来なくなり、受理能力もパンク...これ以上進めばただの破壊するモンスターへ隣り落ちる』っとキリッした顔で揺るぎない眼差しでいう。


ビルガールは、上定の首襟から手を離し窓枠を覗き込み荒れ果てる外を眺めて言う。
『その数値に、あと何%の確率で彼は...モンスター化になる?』
『...あと20%だ』
『なら、その20%に掛けるか』


ビルガールは、置かれてある充電式棚から拡張棒を手に取り、ズボンのベルト掛けに鉄製のフックで引っ掛けつける。


全身タイツみたいな感じな服装だが、これが本来あるべきバトル服だ。
腕から背にかけて2本のラインが走り
太腿から足元にかけても同様。
着る人によって色合いが若干違うが、性能は変わらない


『水色と白のツートンカラーか、私的は中々だ』っと行ってる間に、上定の姿がない...。後ろを振り向くと、何やらスタンバイする黒服の人達が走り回り...何やら布切れを降ろした幕が上がり腰に手を当ててその姿を現すーー。


その全景に絶句して凍りつくビルガール、何故ならば上定のバトル服は...全身無色透明身につけており下半身の下着以外の白いものは全く無い。


『...何してんすか?』
『ふむ、これはこれで...開放されたフィット感があって頼もしいしい』
『いや、そうゆうことを聞いてんじゃねぇよ!な、なんつーかっこしてんのかって聞いてんだよ!!』
『ほら、ジャスティスだろ?いろんな意味合いでな』


上定は、透明バトル服の服袖を引っ張り離す。パチンっと肌を弾く音が鳴る


『素材の話じゃねぇよ!今から戦場に行くんだぞ、なんで全裸待機みたいな服装になってるんだと聞いてんだよ!!』
『戦場は、俺を待ってはくれない』
『何悟ったような顔してんの?!』
『だから、助けに行かなければならない』
『その服じゃ説得力すら感じないのですが...』
『くっ...こんな服じゃなければ...!』
『意図的にしていたんじゃないのかよ!?ってなんだその涙目は!?』


そんな会話が続いた、そのタイミングに限ってこの廃墟ビルが投影されたビルに狂暴の戦士から放つ手痛い黒いビームを直撃した。


ビル半分を貫通して大きな風穴を作りその先で爆発音を鳴らす。
多少揺れたビルの最上層、棚からものが崩れ落ちる。その威力を見に感じて、震え上がる一方で『先制布告とは、少々荒っぽいな』っと上定は落ち着いた声を発して言うーー。

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