ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第56話宿敵と目覚め

回線が復旧、白衣きた男性は...その荒れ果てたフィールドを見て絶句する


ボス部屋も、何も無き更地。


まるで爆心地を物語る、痛々しい大きく陥没した穴は威力を感じさせる


何が起きたんだーー?


モニター越しに、彼の生存を確認する
すると、盤板が突き刺さるようにめくれ上がる場所に腹で受け止め折りたたまるようにダランとして居る姿を目に捉える。


音声を彼に届ける、だが以前と反応を示さない。モニター画面をタッチし、彼の状態を確認する。


丸い輪っか状の星マークが浮き回転する。
つまり、このマークは『気絶』を意味する。


ホッとひと安心する、だが...安心する猶予はあまりない。
『特異点』のあのアンドロイド、全く存在してなかった人物...。人並みに、感情を持ち、人並みに野望を持つ...これらは消して作り上げることなどこの世界にはない。


いくらプログラムに作りこんでもあぁはならない、そちら側の世界がどれだけ技術が発展してるのか逆に興味を抱くほどだ。


一枚の紙を手に取り、眺める...。


『擬似的複合世界...、これが成功すればいずれ複合世界が作れるだろう。今はそれの第1歩に過ぎない...がそれが無ければやつに太刀打ちができない』


その一枚の紙を、ムシャクシャに片手で纏めて後ろに投げ捨てる。


並大抵の技術機械なら、こちらもそれ相当なりに...やらなければならねぇよ
研究者として、これだけのワクワク感は計り知れないな


気絶する空斗を、システムを使い起こす。ピクっと手を動かして俯いていた顔を上げる。


『なんだ...?って...俺生きてる!?』
『システム的に不死状態にしたってあん時言わなかったか?』
『あー、HP減らないようにしてあるだっけ?それで、不死になるのか?』


馬鹿の質問を無視して研究者は言う


『んで、呼び戻せたか?』
『いや...FTOのシステムしか使えなかったな。魔法が有効になっただけ』
不自然なムードになる中...
『ん?なんだこれ...』


研究者は、1個の浮き出たシステムを見つめて不思議そうに中を見る。
すると、『システム管理者』と浮かび上がりそのアカウントの名は『アストロック』と表示されていた。


アストロック...?確か...、BBOでの開発者。なぜ彼のアカウントが...空斗に登録されてるんだ...?


疑問視してると突然PC画面が暗くなりぷっつりと音沙汰無しで電源が落ちる。研究者は、慌てて電源ボタンを入れ直すが...反応がない


な、何が起きやがった...?
特殊なパソコンなのだが...それすら超えるというのか...『アストロック』!



空斗は、体を起こし...ゆっくりと改めて地べたに座る。
空前絶後並に、何にもないこのフィールドで...退屈そうに岩肌を眺めるとー



人影が目に止まる、空斗はゆっくり立ち上がりその岩肌の向こう側を覗くように足を踏み入れる。


『ん?誰かいた気配がーー』
『久しいな...レクトくん』
『おっ...お前は!?』


空斗の目の前に現れたのは...紛れも無い。アストロックそのものだった。
そして、意義異論を感じさせない様に言う


『武器を取れ、私と決着をつけなければならないのだろ?』
『な、何...今更...?戦っても、無意味だろ』
『そうはいかない、それともなんだね?1度ぐらい力を貸したぐらいで私を...仲間だとでも?』


空斗は、迷いに迷い...魔法剣を手に取る。そして、赤く染まった大剣をゆっくりと振り抜くアストロック。


そして、二人は...とてつもない視線をかわし...衝突する。
火花を散らす最中で、空斗は言う


『なんで、今頃戦う必要があるんだ!?』
『...話す時間が無い。それに、レクトくん...君の力はその程度かい?』


アストロックは、一歩も後ろに下がらない。正しくいえば、下がる気配すらない。岩のようにずっしりと重く動かない...。空斗の力では到底不可能だ


力任せに、振り回す一撃も...過擦り傷見たいにインパクトを出さない。
むしろ、空回りしてるようで気力だけが持っていかれる気分だ。


『ぜェ...ぜェ...』
『パワーが足りんな?その程度で、英雄気取りか...。少々見込み違いか』
『何だって...?』
『何度でもいう、君は見込み違い...たいした力を使えるわけじゃーー』


ガッギャン!っと言う強い衝突音と鉄音を馳せる。
ギリギリと音を放つ二つの刃、そして、空斗は怒りに満ちたような顔で言う。


『何処が見込み違いだ!!なんのために、複合世界に成り果てた東京を、仮想世界を旅を知り...死を知った!!それなのに、見込み違いだ?救った世界は何の為と言いたいんだ!!』


アストロックは、軽くため息をついて凍りついた声で言う


『青いなーー』
『何ーー!?』


空斗に、重く強い一撃を腹部全体にのしかかる様な感覚が全身に伝わる


『救った世界、それは君だけの話だ...レクトくん。時間は待ってはくれない、一時的に救えた手のひらの物は後々じわりとまた奪いに来る。そう、虚言妄想をひたすら繰り返すだけだ...それが現実と言う物だ。』


アストロックは、ゆっくりと足を開き
そして、大剣を行き良いよく背後まで腕を引き構える。


『救いたいものほど、失うのも早い。助けたいものほど、救えないものもある。では、守りたいものほど...とはなんと答える?』



赤く濃いフェクトを放つーー
それはすべてを飲み込むかのようなとてつもない威圧感がある物だ。
アストロックは大剣を強く光らせて重い重低音を放ちながら、空斗に横垂直に薙ぎ払う。


瞬時に、地面が切り剥がされた様な斬撃跡が現れ。ゆっくりと空斗の体を蝕むようにへこませる。
重心が後ろに引っ張られる様な感覚をおぼえる。
そして、意識が失うかのようなとてつもない速度で吹き飛ばされる


轟音がフィールド内を轟かせる。


『ーー...消えるのが早い。』


アストロックは、ゆっくりと歩き
鉄鎧を鳴らす。
フィールド内で、その音だけがなり響くーー


『さぁ、立ち上がりたまえ。こんなことぐらいで挫ける二つ名ではあるまいーー?』


空斗は埋もれた、残骸から飛び上がって出てくる。まだ死にきれないぐらいの強い眼差しを光らせる。


『そう、来なくてはなーー』


双方の剣が衝突する。火花を撒き散らし、全力で攻撃する空斗ーー
だが、アストロックは大剣を少しづらした瞬間、空斗身体そのものが左側にそれ始める。


くっーー!!なんて言う力なんだ!


そして、空斗は空中で回転する
そのまま地面に落ちる。
立ち上がる間も与えずに、アストロックの追撃が入る、地面は振り下ろされた大剣の刃型が刻み込まれる。


重量感、そして、存在感。
全てを制する巨大な刃...まるで生きてるようだ。
空斗は、数回転がり何とか膝立ちした瞬間にアストロックの刃が頭上に振り落とされる。


魔法剣で、落とされたアストロックの刃を受け止めた瞬間...。
全身の筋肉がざわめく、とんでもない重さが全身で受け止めてるようだ。


筋一本気が抜けねぇ...っ!
力を抜けば...一撃で死ぬ...!


『ほう、私の一撃を受け止めたか。だが...君が思うほど甘くない』っと言った瞬間、更に腕にのしかかる様な重さが空斗に襲う。


ぐっ...!?
まるで、大岩その物が乗っかてる様だ...っ!!
これが、絶対破壊のアストロックの力...か...っ!!


軋む右腕、ざわめく全身の骨、支える左腕手首も筋肉が悲鳴をあげる
全身の体力、気力そのものが削ぎ剥がされる。


『くっ...そが...!』


歯を軋ませ、空斗は全身の力をこめて押し返す。アストロックは、驚く顔すらせずに『たいしたものだな』っとぼそっと言う
そして、アストロックはさらに力を入れ、魔法剣の刃に食い込む。
パキパキと軽い音を弾ませる


武器強度が...限界...か...。


刀身が亀裂が入っていくーー


これまでか...?俺はーーー


突然脳裏に浮かぶ光景...。
その姿は、当時の自分が今と同様
不死属性の敵と戦ってる時だった。


何度叩いて切っても、何度でも蘇る
かれこれ数十回は繰り返した。
体力も、気力も果てなく消え失せる
いったい何回倒せば...消滅してくれるのだろうかーー?


いや、消滅...?
違う、消すんだ
この醜い世界とモンスターを...片っ端から消すまで俺は...俺はーーっ!!


空斗の折れた魔法剣、刃はゆっくりと空中を舞う。アストロックの刃は、止まることなく眼前に進む。


そうか...呼び覚ますのか...!


空斗の消えかけた気力、迫り来る刃
全てが無に帰り、何も考えることが思いつかない。
だが、内心...強い鼓動が走る。その鼓動は、あまりにも危険過ぎ位...黒く、破壊に導く塊そのものが彼を襲う


アストロックは、空斗の眼前で刃を止めた。あろう事が、後ろに退避行動をとる。


なんだね?この緊迫感...、とてつもない何が...目覚めようとしてるのか?


空斗は体から黒いオーラ放出、どんっと言う衝撃音がなる。
そして、黒いオーラを切り裂くようにして姿を現す空斗ーー


それを見てアストロックは驚く、彼が意識がない中で...渦巻く黒いオーラ
それは、すべてを無に返す様に全てを塗りつぶす...。とても危険な状態を意味する
アストロックは、空斗の状態を調べ始める。ホロウキーボードで手素早く調べると浮き出る『特攻』と言う文字。
そして、合わせる様に『システム準管理者専用スキル』っと書かれた。


『な、なんだね...?私と対等の権限を持つ...強化スキルだと...』


空斗の左右の手を広げると、黒い粒子が手のひらに収まるように集まり
二本の剣を作り上げる。


目を開ければ、とてつもない覇気が飛ばされアストロックの顔をビリビリとあたる。


これは...いったい何なのだ?
すべてを押さえ付ける様な...威圧感
準管理者専用スキルにしては...スペックが違いすぎる、敵対に対して消すだけの力しかない。
なのに、彼が使うスキルは...全てを消し去るとてつもなく危険なスキルだ


アストロックは、ハッとしたような顔を浮かべる。


そうか、全てを消し去るスキル...つまり、全てを『削除』するって事か。
データを削除する事で、敵自体は完全消失する...となれば、現段階で私は『削除』対象となっと言う事か。


アストロックは、頬から冷や汗を流す
異例な事態に、対処法に困り果てる
『削除』に対して有効なスキルをぶつければ済むのだが...それすら無い。
管理者である、アストロックでさえまだ見つけたことがない『スキル』を探し当てるとすれば...半日はかかる。
膨大なデータの前で、削除されてしまえば一環の終わり...。それこそ、仮想世界を維持ができなくなる


すると、アストロックに向けて音声が入る。


『アストロック、いや...国枝稔。こちら、研究一科総合仮想世界開発者の坂田レオだ。状況を教えてくれないか?』
『なんだね?研究一科がなぜ私に声をかけてくるのだ?』
『...過去の事は今は忘れといてくれ。事態が事態だ、彼に何が起きたんだ?』
『...準管理者専用スキルと言うやつだ。特殊なスキルだが、レクトくんが使う強化スキルは...そのシステム自体を自ら取り込んで『削除』を有効化にした。アレに適する奴は、誰も居ない』
『準管理者専用スキル?って事は...彼自体管理者系アカウントを呼び起こして自分の物に出来るのか...。『削除』か...ん?いや、まてよ?もしかすれば...』


レオは、パソコンのキーボードを手早くうつ、そして、一つのプログラムを起動する。
そのプログラム起動を、肌で感じたアストロック...。無言で消えゆくレクトを眺めるーー。



『強制複合世界を、つくり...そして、特異点へ飛ばした。やはり気に食わないやり方だな...研究一科』
『何度でも言え、これしか方法が無い。とはいえ...もし特異点が倒されたらの事を考えれば...まずい事態か...』
『まさか、無いーーとは言わんだろうね?』

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