ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第53話戦場の夜明け

一夜が開けた、地平線から朝日が昇る
戦場かとした街並みは、不気味さな静けさを感じさせていた


その戦地に、黒いスニーカーを光らせ
ざっと音を出して大地を踏みしめる


『行くのか?』と言う声を空斗の背後から言われる
『あぁ』
『そうか、こちら側には準備がある。そのあとに...』
『落ち合おう』


そう二人はいい、空斗は道を歩き始める。残り時間をすぎていた
どうなら何らかで、遅れているようだ


指折り数える奇跡に、感謝するしかない。そう思い、川沿いを歩く...
橋は、無残にも砕け落ち原型を留めていない。家屋は、崩れ落ち瓦礫化に無残無造に転がる
アスファルトは、無残にも亀裂が走り
捲れ上がり、陥没したりと様々な状態となっている。


砂ホコリは、空斗に襲いかかり生ぬるい風と共に、消え去る。
頬から雫がこぼれ落ち、夏の炎天下を感じさせる、蝉の鳴き声は激しさを増すとは言わずに...数匹が合唱を奏でる程度だ。


『1ヶ月以上続いた戦場だが...復旧を遅らせてる事態だ。俺は、早く終わればいいとばかり思っていた。だが、そうもいかない現実が...憎い』


悔しいさを滲ませる声に、その蝉の声はかき消し...空斗を黙らせる
どこの交差点だろうか?十字道路に佇む様に立つ四本の信号機。


青に点滅し、2箇所目は黄色に、3箇所目は赤に、最後は...無色に点滅はしてなかった。そんな十字のど真ん中に堂々と立ちはばかる様に仁王立ちする一人の男性ーー。


明らか様に、こちらを眺めている
顔立ちは、至ってごく普通で髪の毛の色も黒。白Tシャツに黒いズボンにスニーカー。赤いネクタイを靡かせる
空斗は、不信そうな眼差しで眺めると
その男は口を開き話す


『君が、零宮空斗か。待ち浴びた...この日が来ることを、どれだけ言葉を出しても表現にしずらい。』
『お前...誰だ?』
『名を名乗るべきかな?いや、私的にはどーも...礼儀ってのが不要かと』


いきなり銃口をこちらに翳す。
黒く光る銃を、空斗は眺める



『おや?動じないのか?』
『嫌になるほど見てる。それにそれは本物だ、怯える顔をするのが妥当だが...今の俺はそんな『怯え』てる暇なんてない』
『ならば...これならどうだーー?』


パンって言う銃声音と乾いた鉄音、空回りする空薬莢と匂う硝煙の香り。
弾丸は、空気を切り裂き空斗の頬を掠り信号機の鋼鉄に軽い高低音を放つ。


空斗の頬から微かに血を流す、それを手で拭い。目を引き締めて、腰に付いている拡張棒を引き抜く。
高みの見物の様な眼差しをしながら
『玩具で挑むつもりかい?』っと投げ捨てた感じにいう。


空斗は『玩具だとしても、これはこのARで本来使われるはずだった品物だ。だが、ゲームでもない『本当』の殺傷できる武器をお前ら不正者は使う。だから、俺は『玩具』で『殺さない』方法でお前らを...潰す!』と力強くいい、目から走る雷筋が放たれる。


カチャッと、銃の引き金を引き、ゆっくりと愉快な笑みを浮かべながら
『ふふ...ふはははーー!!あめェんだよ!人を殺ない?こんな現状で、なァにを抜かすと思えば...その玩具で?笑わせてくれる、なら...恥じない程度に悪あがきを俺に見せてくれよーー?』
嫌な声を言い放ち、銃を再び空斗に翳す。


睨み合う二人の眼差し、交差する『殺意』。やがて、二人の間に生ぬるい風が吹き付けた瞬間ーー


パンパンと空回りする銃声。
そして、空斗に目掛けて放たれる銃弾2発。弾道は、空斗の頭に目掛けて飛ぶーー


約0.3秒後に、彼の死は確実となる
これを思えば、その男は...傍らが痛くてしょうがない。
だが、銃弾は...空斗には被弾しなかった
不自然な顔つきをしながら空斗を眺める。


『薮の外側って案外捨てたもんじゃないな。そこにいるんだろ?旧序列三位...セナ』


空斗から約50メール離れた廃墟ビル5階、そこから白きハンドガンをこちらに向けて居た。


ピリヤード打ちで、空斗に向かって放たれた弾丸を弾いた。
その男は、意外そうな顔を浮かべる


『セナか?』
廃墟ビル5階からセナは飛び降りて着地する。そして、ゆっくりと歩きながら右足太ももに付けたケースにハンドガンをクルクルと回転させてしまう
制御のスカートを揺らしま満更なでも無い顔で言う


『あら、こんな所で出会うなんて奇遇ね?元担任』
『ふっ、懐かしい響きだな。それはさておきだ、まさかだとは思うが?君が、こんな奴と...組んだのか?』
『愚問ね?知りもしない男について行くほど安くは無いわよ。ただ、旧序列一位のレクト...いや。違ったわね...空斗って子に、勝ち越された形だから気に食わないだけのことよ。』
微かに鼻で笑いつつ
『で、彼を助けたのか。そのハンドガンで私の玉を打ち弾き飛ばすとは...流石は、狙撃界のレジェンドだな。それで...どうする気だ?』
『決まってるわよ、あんたを倒す。じゃなければ...私が楽しんだ世界が消えてゆくのを黙って見過ごすわけにも行かない』


男性は高笑いを上げた、そして愉快そうに嫌な声でいう


『傑作品とはまさにこの事だなぁ?いいねぇ、いいねぇ...。そう来なきゃ始まらないんだよねぇ!』


右手に何らかのリモコンらしきものを取り出し、そして、押す。
キィーンと言う高音が鳴り響き、周りから次々に銃を持つ少年少女たちが姿を現すーー。


それらを見て二人は、少しだけ苦笑いをこぼし始める。
それを男性は、快楽そうに眺めて嗜める様に笑う


嫌というほど、汗が出る
それは、普通とは異なるひんやりとした冷たい汗だ。
こんな状態で、一斉射撃を食らえば一溜りも無い。
だが、空斗にはある策がまだ残る
この辺までが、彼なりの策略でこっから先は...予測不可能だ。それでも、まだ賭けるには限りなくゼロではない
空斗は、耳に手を当てて小さく呟く


『実行してくれ』


すると、言ってまもなく...地響きを鳴らしながら何かが近づいてくる


揺らぐ逃げ水の先に、なんと戦車1機が騒音を奏でながらキャタピュラーをキュルキュルと鳴らし、銃口を男性に向けて射程を取りつつドンっと言う空気砲見たいな音が鳴り響き
男性がいた周辺は、爆発音と爆風を放ち多少硝煙を匂わせた。


『すげぇな...』
『な、なんで...戦車が?』


砂ホコリが消え、男性は無傷に立っていた。
男性の目の前には、血がはね飛んであちこちに付着していた。
どうやら、庇って死んだようだ。


『...ちっ、アッフデート始まっていたのか。これだと、奴の思い通りに指示ができるのか』


人は道具、玩具と同類ーー
そんな感覚を刺激した...国枝透の発明
あぁ...なんて素晴らしい計画なんだ
気に入らないやつを片っ端から殺せて、俺の思いどおりに出来るお人形まで出来っちまう計画...。


『キルユーザー計画』の背面『コントロール計画』も全部やつが仕込んだ計画の一つの要だ。
こいつをなんて称えるか、そう『神』
そんな神は捕まった。計画を実行したい。だが、今の私には...教師という役職が邪魔をする
本当ならば、ゲーム開発者の裏側に値する『研究者』になりたかった
教師を1から切り刻むなら、いっそこの腐りかけた『キルユーザー計画』を実行を早めた。
思っていた以上の成果に、声すらない
こう簡単に上手く進むとは、果たして良いのか?いや、いいに決まってる
何せ『デス』ゲームだからだーー。


狂った様に笑い声をあげるーー
狂顔を浮かべてこれでもかと笑う
その男の笑い声は、気持ちが悪いほど周りに響いた。


『実に、実にぃぃぃぃーー。計画通りに進んだ、こんっな面白くて楽しいゲームなんてそうそう味わえない。なぁ、なぁ...死ぬって気持ちってなんだよ?苦しいのか?悲しいのか?虚しいのか?どれが等しんだよ』
嫌な声を荒上げる様に狂った様に発言をする。二人は、無言にその場を佇む
その視線は形を変えることなく凍りつくような冷たい眼差しーー。


『なんだよ?答えてくれないのかァよ
...?なら、実際に行うだけか。ゆっくりとじわじわと痛めつけてやる...なぁに、死なない程度にぃ殺してやるよ』


拳銃を新たに取り出し、パンパンと二発放つ。空斗は、ゆっくりと吐き捨てそして、空気を吸う。拡張棒をゆっくりと後方に構えて走り出す
二発の弾丸は、空斗の顔を掠り通り抜ける。その男は、戸惑う様子を一向に見せずに、拳銃を投げ捨て、サブマシンガンを取り出して空斗に目掛けて放つ。


『オラオラ、死んどけよ!』
無数に空薬莢が男性の足元に転げ落ちる。空斗は、弾道を読むかのように左右に大きく走る。そのあとを追うように、男性から放たれる弾丸が飛ばされる。物陰を味方につけるように、走り近寄り...空斗はとうとう間を詰め寄り
拡張棒を脇下から横に向かって振り払う。だが、かわされ僅かな隙間にサブマシンガンの柄を頭に強く打ち飛ばす


空斗は、壁に叩きつけられるように飛ばされ気を失いかける。
男性は、ニヤリと深々な笑みを浮かべながらサブマシンガンを空斗に翳す
だが、横からサブマシンガン本体に向かって弾丸を放ち弾き飛ばされる。


『セナ、邪魔をするな!!』
『いや、するわよ...その子は私が射抜く。だから、獲物の横取りは...させないわよ』
『なら、お前も死刑だ。殺してやる』


二人の交戦が始まり、戦車は音もなく佇む。男性の視線がセナに集中してる
空斗は、ゆっくりと耳に手を当てて言う。


『何してんだ...?』
無線機の奥でビルガドールが、何やら慌てていた。
そして、空斗にあることを告げた。
その話を聞いた瞬間、目の色を変える


『本当かよ?あいつが...?』
『間違いない、ナイツオブソードオンラインにいた。元レットプレイヤーの一人...サタン。名前は...鈴木定男、今回の件に関与してる』
血相を変えたて、軋む体を起こす。


元レットプレイヤー...。俺が...


体が思うように動かせず、再び地面に倒れかける。頭から汗血が混じったのが頬にかけて流れ落ちるーー


暑さに奪われる気力、次に立ち上がる一歩に力が入らない。
すると、無線から聞き覚えがある声が空斗の耳に入る。


『生きてるか?』
『あぁ...なんとかな』
『今の現状、奴の計画は最終段階...。阻止はできなかったが、代わりに...擬似的システムを作り上げた』
『システムを...?』
『あぁ、だから今俺が言うことを聞いて実行してくれ』


その話を聞いて、少しだけ驚き顔をする。


『できるのか...そんな事?』
『やってみる価値はある。そこで、お前がやるべき事は分かるだろ?』
『......』
『躊躇ってる時間はない、お前が行かなければ...救われない。安心しろ、時間はこちらが稼ぐ...行け』


その言葉が後押しになる。拡張機をポケットから取り出して耳にかけてトーンを少し弱めて言う


ゲート・スタート!!

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