ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第48話調べ尽くした中で

戦場...それがゲームだとすればどれだけ良いものかーー
そう感じられればまだ良い。


AR...拡張世界、実際に体感出来る
それはあくまでも、自分自身肉体的な話ではない。
バーチャル化したアバターを身に纏い
それにより、まるでリアルでゲーム世界を遊んでるかのようになる


それが、拡張機の特有
仮想世界でも拡張世界でも、どちらにも対応しているこの拡張機は...あのゴーグル型ギアとまた違い、形デザインも様々。リスト型やメガネ型等多数存在する、だが...またしてもこのゲームに危機が訪れようとしている。


1度は発売停止、2度目は、世界を恐怖に陥れた運営を閉鎖
3度目は...仮想世界でリアルデスゲームが勃発。今度こそ、存在が消えかねない...そう思えるのは、AROを楽しんでいたユーザーだけではなく...仮想世界の人々も混乱し始める。


結果、窮地に陥るが諦めが悪いゲーマー瀬那と元序列階級2〜5位迄の招集と反撃。
勿論、人を殺すつもりではない、あくまでも気絶させて排除。
その火花はやがて、梨紗の場所にも辿り着く。


『私達は...どうすれば』
アリスは、とある木の椅子に座り静かに緑が生い茂る草原を眺める
こちらの世界の発展は、順調に進み始めている
現実世界にあるのを真似てこの世界で作り出すことも出来る。クリエイティブが売りでもあり冒険も出来るVRMMOだが...最近ユーザーアクティブが劇的に減っている
そのせいもあり、イベントがやたらと少ない...。


最近見かけないユーザー達に、話かけたら...殆どが同じ話の内容だった
最後には『リアルで殺し合いとかサイコーじゃね?』っと聞き捨てられない一言を吐いてログアウトした


生唾を飲むような、発言は...アリスとは限らない
アリアやアヤも、同様耳にしていた


NSOが超えた世界、OSO(オールスターオンライン)と同様な複合世界と似る様な悲劇を彼女達は脳裏をよぎらせる。


夏と言えとも、こんな嫌になるような現状を突きつけられてる...っと思えば思うほどこれ以上辛いものは無い。


耐え難い事実に、レクトに聞いてしまうぐらいになっていた。


『私達には、何が出来るの?』


当然、レクトは...気難しいような表情を曇らせるだけ...。
ただ、一言を話すとすれば
『まだ、あの世界を作り上げた人物がいるとすれば...俺は会ってみたい』っといつもながらの穏やかに発言をした


どうゆう事か...まだ何かあるには違いない...。


アリス達の心配する顔を見れば見るほど、レクトは言葉が出ない
夜間クエストを、こなしつつエンカウントするモンスターを次々に射止める


イラつきの矛をエンカウントするモンスターにぶつける様に...犬牙を剥き出しにするぐらいの勢いだった。


全てを消し去り、静かに消滅するモンスターをただ険しい眼差しで見送る


考えても埒が明かない...ただただイラつきだけが増す...。


今の自分の状態も、歯痒い位に事が進ませられない事実にもストレスが溜まる。
振り落とす一刀の剣が、夜の闇を切り裂くように光る一閃の刃。
その矛先は、モンスターでは無く木の幹を強く深く食い込む様に垂直に突き刺さる


『どうしろってんだ?肉体に戻れない今ーー俺に何が出来る?』


すると、茂みから一人の戦国武将の様な甲冑を着こなした男が姿を現す


『なーにしてんだ?』
その声は何度も聞いたことがあるおっさんの声、火焔の声だった。


『何でもない...』
『何も無い割には、珍しい事もあんだな?今のお前、モンスター相手ではなく木を切り倒しそうになってやがる。おめぇ、なんか悩んでる時はいつもそうだな』
『隠してもダメか。で、なんでこんなところに来たんだ?』
『そりゃお前...探しに来たんだ』
『美少女をか?』
『ちげぇよ、なんでそれが先に出るんだ。まぁ、いい...話は梨...あ、アリスから聞いてる。何でも、おめぇ死にかけたんだってな?』
『あぁ...不正行為って名だけで、実物手段は想定外だった。今のリアル殺し合いを作ったきっかけを産んでしまってこんな事態に陥った』
『ふーん、そんな下らない争いをおめぇはどう思う?』
『決まってるじゃないか、止めたい。だが、妙なのは...運営が配信を止めないって事ぐらいと俺の意識レベルが回復がまだかかることぐらいだ』


火焔は、気が抜けたような目線で剣に触れるレクトを見ながらあることを言う


『なら、俺達に掛けてみないか?』
レクトは、驚き顔で言う
『なっ、何を言ってるのか分かるのか!?』
火焔は、頷きながらゆっくりとレクトに背を向けて言う
『わかってるつもりさ、なぁに人を殺しに行くんじゃねぇ。止めに行くんだ、確かVRにARの映像を送れるんだよな?』
『あぁ、出来るさ。でも、それじゃまるで俺がーー!?』


レクトが見つめる背中は、もう既に決意を固めた様な背だった。
そして、こちらを少しだけ向けながら
『俺がまるで何もしてないみたいじゃないか!だろ。いや、お前は十分したさ...ARで序列階級戦を調べていたんだろ?その地点でお前は感ずいていたはずだ...だから、危険を顧みずに飛び込んで死にかけた。男なら上等な理由だ、それに何もしてないやつならそんな事しないさ』


火焔の言葉が、心を貫く。
言葉が湧いて消えてなくなった
レクトは、あの日...決定的なものを目の当たりにしていた。


序列階級戦...不正行為も認める本気の奪い取り。生きてられるのは...数百人中の半数、それが前回開催時の結果だ
今回は参加者が約六千人、前回を大幅に上回る人数だが...そのうちの半数が死ぬーーそうゆう結論が彼なりに出た答えだった。
その開始時刻ギリギリまで調べ尽くした、結果的に間に合ったが...その開始わずか3時間後に彼は死の淵を見る


何故、あの時...上位プレイヤーを狙っていたのか、理由は...序列1位に立っていた『佐藤陸』という男の名が居た筈だが...その様な人物は居なかった
この時、空斗は違和感を感じさせていた。何故...居ないのか?
不自然すぎるっと思えないわけにはいかなった


それだけじゃない、その男も...下級クラスの奴らを生きて返さなかった
ログを追うようにカーソルが点滅していた数名が、一瞬にして消えた
しかも、目の前でそれが起きていた
狙われなかったのは、段差になっていたアスファルトに身を隠していた...だが、それにしては映るはずのカーソルを無視するってのもおかしく思えた


そこで、追跡ボールというコア型の機械を使い飛ばせてみた
すると、認識判定が不明と表示されて
追跡対象不可っと画面内に映し出された


...誰なんだ?プレイヤーじゃない。
この戦いに、関係ない奴が...紛れてるのか?


拡張機を取り外し、先ほどカーソルが消えた付近に近寄る
荒れ果てた古民家付近に血塗れになり横たわるプレイヤーが数人見つけた


おい!っと声を上げるのと同時に、すぐに駆け寄り血塗れのプレイヤーの体を起こす


『大丈夫か!?』
呼び覚ますように声をかける空斗
だが、反応はなく...静かに地面に寝かしつけた。


一体誰が...こんな事をーー


その内心と、同じように現れた一人の白髪の少年が空斗に話しかける


『ふん、死に絶えた雑魚数体...同業者が居るとはな。お前もその一人か?』


冷酷な眼差しとその声質を耳にした空斗は、じろりと睨みつけた
歓楽的の様にポケットに手を入れて、背後にある瓦礫に背もたれしつつ話し出す


『そう怖い顔すんな、俺からすりゃお前も同業者に見える。少しだけ話すか、グローバルファミリーって奴知ってるか?』


その名を聞いた瞬間、空斗の背筋が凍りついた
グローバルファミリー、NSOでの世界では知らない人はいない。
最悪、最強の殺人ギルドで他のギルドメンバーは危険視していた
だが空斗は、腑に落ちない部分もあった


何故、こいつがその名を知っているのかーー?それが疑問に感じた


その表情を突くような白髪の男は笑みを浮かべながら、服の袖を捲りあげると...刻まれた2本のマークが目に止まる
それを見ただけで、空斗は直感する


グローバルファミリーの一員だという事をーー。


『どうした?顔色悪いなぁ』っと嫌になるような声で言い吐く。


『...立体装置起動!』
空斗は、即座にアバターを身にまとい剣を構える
それを見て白髪の男は高笑いをする


『何がおかしい?』
『いやぁ、そんなもん使う奴って居るのかよって思ってな』
『...?』
『いやぁ、久々に笑った...だから、君をターゲットにしようか』


そう言うと白髪頭の男は、背後から身の桁以上の大鎌を取り出してゆっくりと肩にのせながら言う


『ほらぁ、実物って言うチート様のご登場出ぜ。そんな紛い物で倒せるか?』っと言った次の瞬間には、背後にあった古民家が斜めにズレ落ちる


速い...なんだ今のは...?
建物を一瞬にして切り裂きやがった


空斗は、剣を眺めながらゆっくりと地面につけて走り出す
白髪頭の男は、目をギラっと光らせて
大釜を空斗にめがけて振り抜く


空斗は、地面を転がり白髪頭の間合いを詰め寄り、不意に放つ渾身の一撃を腹部にめがけて放つ
『おっ!?』っと言う声を上げて後退りの様に少しだけ飛ぶ。


だが、余裕な笑は変わりない
大鎌を回転させながらニタリとしながら言う


『バーチャルだからって舐めていたぜ...だが、こいつはどうかな?』


鋼鉄音を靡かせながら、勢いよく投げ飛ばす
空斗は、身を挺にしてかわしたが眼前に拳が現れて腹を思いっきり殴り飛ばされる


『がっは...!!』


地を二転三転転がり、ビルの壁に強くぶつかる。


『少しやるようだが、あめぇな...。何だその身のこなしはよ。舐めてんのか?』


速いだけじゃない、なんだこの力...!
人間外れだぞこれは...!


虚空を舞う大鎌、それを見上げながら
ふてぶてしい顔を面長にしつつ
『さて、死ぬ気はできてるか?』っと空斗に問いただせる。


片手剣を二回左右に振り、胸ポケットから拳銃型の拡張機を取り出して数発乱れ打ちをする
電脳空間なら、彼に直接ダメージを与えられるがーー。


彼をすり抜ける弾丸、拡張された建造物にヒットして二つの穴を開ける。
これを見て、空斗は改めて実感する


『実物』で挑んできてるのか。
てゆうことは、拡張機の意味が無い


空斗は、メガネ型拡張機を頭から離した。バーチャルアバターは、解除され拡張機は普通の棒状に早変わり。
空斗の行動に白髪頭の男は、驚きもしないが楽しんでそうな顔で言う


『はぁん?どうゆう事だ?』
『止めた、お前はアバターではなく。リアルの『実物』で俺に挑んできてる、どちらが不利か目に見える』
『賢明な判断、今まで戦ったやつの中で...おめぇが初めてだなぁ。それにいち早く気付くやつはよ』
更に白髪頭の男は話し出す
『だが、もう少し早く気づけたら死なずに済んだのにな』


その意味は、何を意味するのかさえ彼の視線の先に映し出されていた


ただ投げたわけじゃないな...
ブーメランと同じく、楕円を描きながら戻ってくる大鎌か...。


そして、瓦礫から突き出ている鉄パイプ2本を目に止まりゆっくりと歩き引き抜く。
軽い鉄がこすれる音がなり、ゆっくりと構える
そんな姿を、白髪頭の男は嘲笑いをしつつ発言をする


『なんだ?早死する気か?それとも...そんな棒切れで太刀打ちするつもりかよ?だとしたら、大勲章上げてやるよ...生きていられたらなぁ!!』


鉄音速を奏でながら迫り来る大鎌ーー


これがかわせるとすれば、アレしかないな。


空斗は、右手の鉄パイプを振り抜き
大鎌の刃に的中させる
火花を散らし、そして、左手の鉄パイプを右手に持つ鉄パイプに重ね合わせるように押し上げる。


『馬鹿か。そんなので免れるはずがねぇだーーろ...?』
『うぉぉぉ...ぁぁ...っりぁっ!!』


ひん曲がる双方の鉄パイプ、だが、微かに大鎌の勢いが落ち始める


何が起きてやがる...?
あの、大鎌の勢いがみるみる低下してるんじゃねぇかよ。


空斗は、歯を食いしばり右足を前に出して身体をひねるようにゆっくりと大鎌を白髪頭の男の方へと鉄パイプ事投げ飛ばした。



鈍い回転を馳せながら、地面を二回ほどはねて白髪頭の男の首筋と大鎌の刃は挟めるように突き刺さる。


息を切らしながら、ゆっくりと地面に片膝をつく。
白髪頭の男は、目を細めながら空斗を眺めつつ言う。


『どうゆう事だ?』


運良く鉄パイプ2本が防御代わりになり、彼の首筋を切らずに済んだ様だ。
気に食わないような顔を浮かべる白髪頭の男に対して、空斗は鋭い視線を揺るがさないまま言う。


『例えゲームを超えて人を直接殺せるようになったとしても、俺は殺さない。あの時ともし同じ場合になったとしてもーー殺さないんだ。』


その発言を聞いて、白髪頭の男は口元をぐいっと釣るように上げながら半笑いしつつ


『勇者気取りかぁ?つくずく甘いやつだな...。そんな甘い考えのやつに俺が負けるとか計算外だな』


空斗は、拡張機をしゃがみ手に取りゆっくりと立ち上がる
そして、微かに傷を着いた拡張機の付属品的な武器の多少短い棒状の拡張機を手に取り腰のベルトフックに付けて再び拡張機を両耳にかける


再び拡張された世界を視界に映し出して、ゆっくりと歩き出した
その背は、ふらつきながら頼りない背中だった

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