ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第32話アスロックの正体

別行動をする二人、レクトは様々な目線で考える


どんな理由があったとしても、ほかのネットワークからこの世界に入り込めるわけが無い
バグで起きたのか、あるいは...システム的に擬似なのか?
不正ログインは、あの日...運営の人が対応に追われていたはず
サブサーバーから、別世界からのプレイヤーを意図的に出来るとしても...せいぜいGMだろう


俺にも対等な権限は持っている
だが、バグで手に入ったとしか考えられない
一時的に、ゴーストアバターが大量にいたフィールドとシステム的にも負担、受理落ちが多少起きていた


レクトは、考えながら歩き
静かに空を見上げながら


『何が起きてるんだ...?』っと言い放った


1方、アスロック率いる第7聖騎士団の上層区本部ではーー


『ふむ?これは...。』


アスロックは、システムコマンド画面を開きながら表示されてる文字を見ながら


『ふっ、どうやら...動き出したか?あってはならない世界を...。私の力では、制御のみが限度か』


すると、ドアを2回叩き


『アスロック様、時間です』
『ふむ、分かった』


ゆっくりと椅子から立ち上がり、背後にある身桁位の大剣の前に立ち止まり、白銀に光る刃を見ながら


『この剣も、あの世界も、私の理想郷として、阻まれ続けた。だが、システム的以上の力を持つ彼の前に...果たして勝てるのか?見定めてもらおう。』


大剣を握りしめて背中の鞘に収めて、ドアの扉を開けた
すると、直属の部下2名が現れて言う


『アスロック様、統制南北団と執行部が来ております』
『中層のギルドか、なんの話か分からぬが...ゆくぞ』


コツコツと音を立てながら廊下を歩く
そして、会議室前に立ち向かい
ドアノブを押して中に入る
アスロックの視線に映るのは、二人のギルドリーダー


『待たせた。ご要件は?』
『やっときよった』
『単突で言うが、レクトを見なかったか?』


アスロックは、ゆっくりと前の椅子に手をかけて


『見てない』っと言って座った


アスロックは、二人の顔を見ながら


『私にあんな有望な戦士が居れば、勧誘するがね。統制南北団リーダー火焔と執行部アルク』


火焔は、自身の顔の頬に指をさしながらいう


『知らないならいい、が、俺のダチ公によ切り飛ばされたのは覚えてるんだ。なんで、戦わなきゃいけないのか?なんで、体がゆうことがきかないのか...って思ってよ』
『ワイが伸び切ったこの...ボロ雑巾を解剖したんや。したらなんやアレ?遠隔ウイルスやし、それだけでは終わらず、発信源が全てあんたや...どうゆうことや?』


アスロックは、下を向きながら


『なるほど、君たちは...私の正体を知ってるんだね?』


アスロックが顔を上げると、尋常じゃない威圧が飛んでくる
火焔は、苦笑いを浮かべながら


『レクトをどこに消した?』
『ふっ、愚問だ。そうだな...この世界にある無数のネットワーク、その狭間に彼がいる』
『なんやって...!?』
『彼が帰還する保証は、限りなくゼロに近い。ネットワークの壁をいくつも超えた...私が知る範囲だと、中心部、つまり核だ』


火焔は、アスロックの首襟を掴みあげて怒声を上げ


『おめェ!知っときながら、何もしなかったのかよ!!』
アスロックは、掴みあげる火焔の手首を握り締め


『私には、この世界の制御が限界だ!あってはいけない、異空間に囚われてる。彼次第だ』


アスロックは、火焔の手首を薙ぎ払うかのように弾く
アルクは、困り果てたような表情を浮かべつつも


『せやな、だけどな...ワイはアイツが戻って来るまでこの世界を終わらせなかアカンや』
『...つまり、私に挑むと?』
『せや、アスロックはん。今この場ではやらんが...いずれ蹴りをつけたる。覚えときや!』
『健闘を祈るよ...アルク』


アルクは、そのまま背を向けてドアを開けて出ていった
火焔は、腕を組みながら言う


『アスロックねぇ、ブラックソードオンラインの時を思い出すぜ。あん時、お前が最後の敵として現れた時ーーー』


数十年前、当時火焔がまだ若き年齢の頃。
彼も同様、フルダイブギアで今と同じくログアウトボタンが消失していた
囚われた世界で、攻略を進めるうちに...2ヶ月目のある日
とある男が、何らかで仮想空間へ舞い降りた
辿り着くのに、何年とかかるはずだったブラックソードオンライン
は...瞬く間に階層を一人でクリア
してBOSS戦ももろともせず挑み
そして、最下層のBOSS戦で...アスロックって男にとある男が唐突に問いかけた


『...あんたか?このデスゲームの本当のボス』
不思議と笑いながらアスロックは答えた
『何のことかね?』
すると、とある男はウインドを開きひとにぎりくらいの短剣を取り出してアスロックに向かって投げ飛ばした
鉄音が鳴り響き、頭上に書かれていたのは...破壊不可能っと記されていた
『敵から攻撃を受けまくって、HP減らないゲームなんてまずねぇよ。それに、その身桁ぐらいの帯刀...このゲームにはない武器だ』
『...ふ、バレたか。不正ログインユーザー君、君に先にバレるとは...私自身に失態か。』
『いやいや、ただ、あんな島ごと増設した仮想空間...悪くはなかったが、周りにいるユーザーは帰りたがってるに違いがない。まぁ、死んでも無意味な体質だから何度でも挑むぞ』
『デスゲーム始まって以来の、楽しさを感じる話し方...。ふ、これだから辞められない...君、気に入った。いいだろう、背負うべき世界とユーザー解放した勇者が勝つかーーー』


二人は剣を強く交わる
そっからはご想像通りの、波乱な戦い
スキルのぶつけ合い...有利に見えたアスロックだったが、その男の圧倒的な連撃に押し負け
ブラックソードオンラインは、本当の意味で完結した


『でも、今この地点で同じことを掘り起こした。今度こそは、この世界にダイブゲームが消える...』
『消えやしない、私が、その世界を維持してる。肉体はとうの昔に消えてるが、こんな世界をもう一度味わえるなら...開発者の本望だがね』
『ふん、肉体がなかろうがあろうが...もう一度会えた事に感謝だな』


火焔は、ゆっくりと席を立ち上がりドアに手をかけて退室した
アスロックは軽く溜息をつきながら膝に肘を載せて前かがみになりながら


『守るべき世界とあってはならない異質世界...今この二つが合わされば、この世界は消える。私は、彼に求める...何故私にも行けない中心部へ行けたのかと...ね』


アスロックは、ゆっくりと立ち上がり外の風景を眺める
すると、アルクと火焔が門から出た先で少女と幼い子の姿が目に止まる
無言のまま、ウインドを開きシステム情報を探りアバター情報を検索した


『アリアか...レクトとさっきまでいたのか。やはりおかしい、データ回路でも非表示されて彼の居場所が特定できないが、その端っこにいる子もか...ふむやる事がありそうだな』



レクトは、まだその話を知らない
積雪の中ひたすら歩く
アリアやAIは...その世界にはいないというのにーー

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