ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第29話 知らない世界

ファーストの死を見ととけて、二人は異空間を抜けた
その先にある世界は、まるで別世界のように変わり果てていた


剣と結束の団結力が必須で舞台でもあるナイツオブソードオンライン
協力が鍵を握るゲームだ


しかし、今見る世界は...団体ではなく個人個人一人一人が、普通に歩く人々
稀に見るが、ナイツオブでは、ほぼ見ることがない光景だ。


『な、なんだこれ...?』
『今まで、ギルメンと固まって動いていた人達が...普通にソロ行動してる...何これ?』


レクトは、ウインドを開きMAPをフリックして眺める
特に変わりはなく、階層にも、街並みにも、なんも変哲がない


すると、アリアは真後ろから通り過ぎていく人々を目で追う
あの、賑やかな雰囲気を漂わせる
カフェや街並みは...人気がないように、しんみりとした空間が広がりを見せる


ーーーこんな世界じゃ無かった。


ただ、そこ言葉が心中に響き渡る
レクトは、少し不安そうな顔を浮かべながら


『誰も喋ってない...』っと口からこぼれた


活気的な街は、知らずのうちに、静けさだけが流れるように感じ取れる。
すると、通り過ぎ去りの人々の中に...あの時居た『AI』が姿を現していた
それを見てレクトは、血の気を変えるような表情で小さく言う


『お前が...こんな事を望んだのか?』
『......』


アリアは、そんな表情をするレクトを見ながら


『レクト、怒るのはわかるけど...ね?今、そんな事をーー』


すると、レクトは鋭くアリアを睨みつけながら


『アリア、今こんな時こそ...切れないやつなんて居るのか?』
『そ、それは...』
『前提として言うが、もし『アイツ』がそんな事を『していたら』見逃せるわけがない』
『で、でも...そんな事したからって...何もならないんじゃ...』
『そうだけれど、『今』許せない『敵』が『目の前』に居たら...逃がすわけには行かない!』


武器を振り抜くように、レクトは走り出した
アリアは、困り果てたような顔を浮かべながら


『バカ...レクト...っ!』


レクトはAIに向かって、剣を振り落とす
すると、見えないシールド見たいのが現れてAIを守るように覆いかぶさる
バチバチと音をたてながら、レクトは言う


『反則技かよ!さすが...人口機能だな!』
『ふん、久しく見る...。だが、貴殿の強さは...その程度か?』
『なに?!』
『己の弱さを、認め、強さを手にしていた...が、所詮システムには叶わない。それがプレイヤーの最大の汚点だ』
『...そうさ、理不尽な部分がある。システムを超える事なんて...出来やしないーー』


レクトの握る剣が、黒一色に染まり始め、禍々しいオーラを放ちながら右手を広げて黒い剣を作り手に取りシールドを突き刺すように強く差し込むーー


AIが放つ、シールドが地面に食い込み始める
そして、レクトは顔を下を向いたままゆっくりと言う


『だが、システムはあくまでも...ゲーム内の話。意思を持てば、GMアカウントが手に入り、逆に殺意を込めれば...別次元のスキルが産まれるって訳だぁぁぁぁぁ一!!』


AIのシールドが徐々に食い込み始めて、破裂音が鳴り響いた


『くっ、なんだこの力...!?私の、スキルには遠く及ばないのか...?!』
『おらぁぁぁぁぁ一!!』


AIの、鎧に突き刺すように穿ち放っち、地面を転がりながら外壁にぶつかった
レクトは、その一撃を放った直後
気が抜けたかのように、地面に片膝をついた


『...はぁ...はぁ...』


息を整え、ゆっくりと立ち上がるレクト。
するとAIの鎧が砕け散り落ちた
砕けた鎧から姿を現したのはなんと...アリスだった


その姿を見て、驚き戸惑うレクト
AIは、ゆっくりと体を起こしながら言う。


『ふ、君が驚くとはね。バレないようにしていたのだが...無駄だった様だ』
『ど、どうゆう事...だよ...?ななんでお前が...アイツに...?』
『...システムデータコピーさ。彼女、あの後ーー』


君を、転移石で飛ばした
その後、彼女自身は...アバターデータを取られてしまい
所有者の自信が、別の次元のアバターとなって入れ替わった


わかりやすく言えば、第3者強制ログインと強制ログアウト
つまり、彼女のアバターは全く違う人が遠隔操作も含めて...乗っ取られた。


その残骸データを元に、わたしが作った...って訳なのだ


『第3者強制ログイン...?はぁ、つまり...不正(チート)って事かよ?』
『それに、君は勘違いしている。いや、誤解している...私は、この世界の負の感情によって破格的に作られた機能アバターにしか過ぎません。GM並なことは出来ない』


すると、アリアが横から口を挟む


『ねぇ、なんでレクトと...戦ったのよ?』
AIは、気難しいような顔で言う


『この作った、アバターでも...所有者の意志が募っていた...?何故かこうしなきゃ行けないと...体か動いた』
『よく分からないけど...貴方がこんな、しんみりした世界にしたって訳じゃないのね?』
『そう。わたしにはそんな権限はありません...』


アリアは、無言でレクトの方を振り向き顔を叩いた


『なっ...!?』
『馬鹿じゃないの?なんも確信も持たずに、バカみたく突っ込んでいって...もしアレがボスだったら死んでいたわよ!』
『......ゴメン』
『ごめんで済めばいいものと悪いのがあるわよ、今回は敵ボスじゃなかったから良かっただけで...これが本当なら済まされないわよ』
『いや...マジでゴメン...』


アリアが、ゆっくりとため息を一つついた瞬間、後ろから何やら熱い視線が感じる
その視線はAIで、そして言う


『お母さん...みたいだ...!』
『おか...っ?!』
『データではなく、初めてみた...凄い!』
『な、なにをっ!?』
そして、AIはウインドを開き容姿を変えた
ひと回り小さくなり、銀髪の少女に成り代わりアリアに抱きついた


『お母さんって呼びます』


レクトはニヤつきながらアリアを眺める。


『いや、私まだ...その年齢じゃ...!ってレクト笑うなぁぁぁぁ!!』
『いやぁ、お母さんよかったね〜』
『ちょっっ!あんた、馬鹿にしてんの!!?』
『バカにしてなぁ〜いよ?あ、お母さんだっけ?』
『あんたに、お母さんって呼ばれる覚えがないわよ!!』


アリアのしたから、煌めく視線を受けながら困惑しつつ言う


『わ、分かった!分かったから...そんなか眼差しで見ないで!』


呼ばを鳴らしてレクトキメ顔で言う


『お母さんってか?』
『あんた、次いったら鼻穴フックデスロイヤルプレイヤーの刑にするわよ...?』
『おっと、すまぬ...』


AIがアリアの子になった?
アリス自体の本体とは...何処へ?

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