ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第14話第1回ギルド戦 ナイトメアVSMIX組

森林の木々、隙間に少年は覗き込むように眺めていた
目を凝らし、その一つの建物に狙いを定めるかのようにじっと身を潜め眺めていた


やっぱりか、ここが奴らのアジトとなる拠点...。
木に囲まれた様に姿を見せないように隠されて佇むようにその建造物は立っていた。
見るからに、一つ前にある建造物
平屋一戸建てなのである
この世界にはかなり珍しい建物とも呼べるだろう


しかしなぜこんな街なズレに、NIGHTMAREは拠点にしていたのかは謎めくーー


この数日間、少年はNIGHTMAREのギルドメンバーの後をつけていた。だが、何故か同じ場所で突然姿を消し消えたのだ。それを解明すべき数日間、観察をしていた
その結果、まさかの転移結晶でこの場所まで飛べる仕様になっていた。あとは飛ぶ言葉先知れば、この場所に踏み入れるって話だ


今頃、キルド総出で...基本を叩き込まれてんだろうな。俺は、その間を利用させてもらうべく奴らを『手配』をする。俺自身が入れないのは残念だが、コイツらならはちゃめちゃにしてくれるさ。


残り二日後、ギルド総力戦が始まる。それまでに少年は戻らなければならない
団長不在でギルド総力戦なんて聞いたことすらない、ゲームにルールがあるなら従うか『変える』かの二つになる


選択肢があまり多いとも言い切れない、だが、迷いなんて以ての外なのだ。


少年は、ウィンドウを開き転移結晶をシングルタッチし、手のひらでオブジェクト化した
空中に向かって投げ飛ばし、行きたい場所を告げた瞬間淡い光に包まれるように消えたーー



第20階層、街頭区 《マルチダ》
洋風な街並みから一転するような
和風な街並み、例えるならば...明治時代か江戸時代にありそうな和の建造物が陳列している。
この階層はどうやら、和風建造物をモチーフにしてるようだ。


そんな道中を、少年は歩きふと軽い溜息をつきながら他愛もない空を見上げて言う
『どうなるか...』
『何がよ?』
意を射貫かれた様に、少年は驚き目を丸くする。
後ろを振り向けば、そこに立つ少女一人名はカリナ。
獣耳歓迎会の、副会長。
三代戦力の一つのギルドでもある
見るからにして、鉄の胸当てと肘膝当てのみでそれ以外は軽装な服の着こなしでヘアーカラーは緑色の短めのツインテールである。


『で、レクト数日間どこで何をしていたのよ?』
『むっ、NIGHTMAREのギルドさ』
『へぇー、拠点は?』
『この街から離れまくった場所さ、システムにある地図には乗らない領域さ』
少女は、左側の眉を少しぴくり動かした。何故ーーーそのような場所にあるのかーー?っと言いたげな顔をしていた。


黒いコートを着た少年は、心身深々な表情で
『システム外...言わば、この世界には存在しない場所だ』っと言いさらに話を続けた。
『まず、無数のコマンドから固有に配布されている。これを例えるなら皆がもつ『スキル』の事だ。そこに記録されているスキルに無いとすれば...?』
ハッとしたような顔で少女は言う
『ユニークスキル?』
『いや、確かにそうだ。それも蚊帳の外にある、カルナよく考えてみたまえ...奴は『スキル』を『奪った』んだ。このコマンド、よく考えてみ...変だと思わないか?』


しばらく少女はあごに手を添えながら考え始めた。


確かにそうだわ、普通なら人から『コマンド』を『奪う』事なんて到底不可能だわ...。
ましてや、GMやチートしてた訳じゃーーー?


黒いコートを着た少年は、カルナの反応を待っていたかのように頷き言う
『そう、チートかGMしか考えられないわけだ。彼は、コマンド一つで他人のデータを一瞬でコピーしたんだ。こんな世界にチート野郎がいるとは想定外だが...。』


彼はあの戦闘で既に確認していた
後ろ影で左手でウィンドウを開きコマンドを入力していた。
つまり、彼のアカウント事態が普通とは異なる特殊な設定を施されていた。共有電波のオンラインだ
その場にいる限りデータを奪うことすら可能である。
運営が見過ごした抜け穴で、不可能な出来事を可能にしたわけだ。


しかし、少女は疑問を持ちかけた
『でも、チートにしろ...この世界では不可能じゃないの?』
その疑問に対し黒いコートを着た少年は、主黒に深い笑みを浮かべながら言う
『いや、既に入る前から出来ていたんだ。チート実力主義なんだろうけど...そんなの鼻の穴が痒くて仕方が無い。掘ればいいのか?その穴に指突っ込んで鼻フックデスローラルプレイヤーでもぶち込んでほしいの?って思うぐらいだ』
その発言に、軽く引いた顔を浮かべつつカリナは黒いコートを着た少年に対して言う
『えぐいわねそれ...』
『そうか?』
『かなり、てかやらないでそれ』
『うん、ワカッテイルヨ?』
『わかってない反応だよそれ!?』


他愛もない会話を、しつつ二人は
とあるレストランに立ち寄った


その日の夜、レクトは珍しく夜間クエストをしていた。
気が気で居られない、普通にしていればいるべき存在がいない
コスプレで、バカでアホな純粋な人を嫌わない性格は俺からすれば心配症になりそうなぐらいだ
そんな人物がいない日が、重なる程忘れそうになれば、感覚が偉く見違えるほど『普通』になっている。


あのバカは、今何をしてあのカマ男の元で何をしてるのだろうかっと考えているーー。


夜間クエストは、ウルフが出会いやすく討伐クエストがしょっちゅう上がる。
今回は、そのウルフの中でも頂点に立つ《グランド・ウルフ》を討伐する内容だ


受注可能なレベルは50以上、俺なら問題なく受け取れる。
だが妙だ、こんなクラスのクエストは最高難易度っと表示される仕様のはずだがーー?


ウルフの遠吠えが、聞こえる最中
レクトは、夜道を突き進む
そして、その道筋先にある一つの池が視界に入る
池なんてこの層にあったのか?
疑問視を浮べながら眺めてい佇むレクト。


すると、フッとした感じにレクトに影が覆う。月明かりは、まだ消えていないし、池から反射しているのも目視済みだ


なら何故ーー?


レクトは、静かに空を見上げた
すると、巨大なウルフが空から滑落してくるのが目に止まる


『そ、空からの奇襲だと?!』


驚き声を上げてるや否、空前絶後の速さでレクトが居るギリギリな位置に轟音を立てて砂煙をブワッと巻き起こすーー。


レクトは苦笑いを浮かべながらその位置を眺め、巻き起こる砂煙から二つの赤い点が浮かぶ


そして、甲高い雄叫びを響かせ
砂煙を一瞬で払い除けた


レクトは、即時に肩にある剣に手を取り振り抜いた
ゆっくりと構えて、剣をスライドするように振った瞬間、グランド・ウルフの眼前がいきなり現れて刃が通らずに受け止めるような形で後ろに弾き飛ばされる


速い!SPDの数値桁違いだーー!
虚空に舞うレクトは、くるりと体を捻るように回転して青白く剣を光らせて突進スキルに当たる《レオ・スパイク》を放った


しかし、当たったのは地面だった
どうゆうけとか、やけに移動が素早いグランド・ウルフ
空を見あげれば、今度は左手を上げて爪で攻撃してくる体制を取っていた


『ちっ、なんだこいつ。ウルフにしちゃ速すぎる...まるでアイツみたいだな?』


アリスは、割と人見知りがある
コミュ力は、自分が認めた人以外はけして話さないと言う。
詰まり、コミュ障と言う訳だ
では、認めた人以外はどうなるかといえば...逃げ足が尋常じゃないくらい早い。
もう残像が残るくらいではないかと疑いたくなる、その光景を一回目視した俺の心境はこうだ


こいつキャラとギャップが激しいな...。だった
そのスピードは、今でも時に使う
彼の走力でも追いつかない
そんな、見慣れた環境で、あるスキルを覚えるそれがーー《観察眼》だ。


人の動きを先に読むことにより
動く前に、先回りする事ができるスキルだ。
だが、このスキルをあまり使いたくはない、何故ならば、両眼黒い目だ。だが、このスキルを使うと利き目の色が変わるのだ。


しかし、この状況で使わなければ...勝てる気がしないのだ
今だにレクトは、回避行動やスキルを使い続けてるが、当たること無く躱され。こちらの疲労に合わせるような攻撃を喰らう。


レクトのHPバーは残り半割以下まで落ち、イエローゾーンに突入する。
息を荒らげながら、レクトは頬を拭きながら鋭い眼差しで睨む


ちっ、無しじゃ無理か?
グランド・ウルフのHPバーが2割
削ったが、まだグリーンゾーンか
クソMopめが...!


たが、この時...脳裏に浮かんだ考えを悩まず行う事にした
うまく行き保証がないが、試す価値はあるーー。
レクトは、剣を頭上にかざして
勢いよく振り落とした
衝撃波が生まれて、グランド・ウルフに激突した


『グルル...!』


首を左右に振り、再びレクトがいる場所を眺めたーー。
しかし彼は、姿を消していた
グランド・ウルフは、辺りを見渡してゆっくりと歩み始めた瞬間


ーーースパンッ!!


レクトをはグランド・ウルフの膝関節を垂直に切り裂いて、走り去りながら目の前にある琥珀色の石に向かって飛び上がる


琥珀色の石の場所まで約20メートル弱、彼の走力なら問題なくたどり着ける範囲だ。


後ろを振り返り、グランド・ウルフは雄叫びをあげてレクトが向かう琥珀色の石に彼を追う様に走り出した


レクトは、琥珀色の石を強く踏みつけて後ろに反る様に高く飛ぶ
グランド・ウルフは、彼が視界から消え琥珀色の石しかない場所に行き良いよく激突した


バク転のように、自身の体が垂直に戻りグランド・ウルフの背後から一直線に線を引く様に切りつけ


着地して、ゆっくりと剣をいつもの位置に戻して鋭い眼差しのまま
純銀色に輝かせるレクトの剣で見事な連撃を叩き込むーー。


『うぉぉぉーーー!!』
『グァァァァァーー!!』


グランド・ウルフは、強い光を放ちレクトの最後の突きがオーバーキルと見なされボーナスが付いた
はじけ飛ぶように無数の光が、散り消えていった。


画面には、clearっと表示され
獲得アイテムが表示された
レクトを静かに尻餅をつきながら
言う


『はぁ...久々の長期戦。こりゃ、誰も挑まないなぁ...』


流れゆく夜の雲を眺めながら、安心したような顔を浮かべながら見上げた。


そんな光景を、カリナは薄黙って木の影からレクトを眺めていた
《グランド・ウルフ》を倒した事に、ちょっと驚く。
興味本意で、あとを付けてみたら
グランドクエストっと呼ばれる、最高難易度クエストを挑む人が現れたっと攻略組内外で騒ぎになっていた。
勝てば報酬が何貰えるのか、どんな強さか...そうゆう冒険者達の心をくすぐっていたのだ


結果的に、彼はウィンドウを開き
ストレージをいじり、右手にオブジェクト化した。
一枚の服が掌に乗る、レクトはそれを広げて眺めた。
女性物だろうか、コスプレ見たいな服のようだ
そして、不思議そうな顔を浮かべていると彼の膝の上に一枚の女性下着が落ちる


視線の先は、彼が触るコスプレの服で膝の上にある女性下着には気が付かない。
カルナは、内心慌しいく焦る
別に、彼女のものではないが...
いや、結果的に...その、恥ずかしいのである。
勘違いされるのは彼自身だが、それも何だか理不尽さを感じる
それはさておき、結果的に述べれば...。


あの綺麗な真っ白な下着は...欲しいーー。


彼は、ウィンドウを開き広げていたコスプレ見たいな服をストレージに格納した
そして、ゆっくりと立ち上がり満更でもない顔で背伸びした


彼の膝から落ちる、白い下着1枚が儚舞いながら落ちようとしていた。


カルナは、歯を食いしばり全力で儚く舞う白い下着をスライディングしながら両手で受け取る
彼は、『うわぁっ!?』っとした様な驚き顔と、カルナが手にする白い下着を見下ろして眺めながら
二度驚く。


画面からスライディングしたせいかやや顔が赤くなりるカルナはゆっくりと体を起こして、白い下着を握りしめて彼の顔を見ながら言い放つ


『私の下着を、スティールしたなこのゲス男が!!』
え、えぇぇぇーー!?
『見たいのか?そんなに、私の体を見たいのかぁぁぁぁーー!!』
『ちょ、ちょっと、いきなり出てきてそれは無いーー!?』
『問答無用じゃぁぁぁぁぁーー!!』


問、自分が欲しいものを意地でも手に入れたい場合の強硬手段とは?
答、その人のせいにして、裁きを与える
正解、では、御褒美にお仕置きの刑に処する
まさにこの言葉通りに、彼は理不尽なお仕置きと引き換えにカリナはおニューな下着をゲットした。


そっから、三日後ーー
第1回となるギルド総力戦の開戦日となった。
流石に、二代戦力の傘下とだけあり立ち寄る人数も中々である
久々に交差するような人々を眺めると、第一層の時を思い出す
まだ、こんなにもユーザーが生きている事にレクトは一息付き旨を撫で下ろした。


今回の開催場所は、第10層の第2街頭区 《ビースト》
街の中心部に、看板が掲載され
実際に行う場所は、この街の隅にある専用フィールドだ。


コロシアムの様な、円形型のフィールドは、1週回る観客席とその中心部でギルド総力戦が行われる


見上げれば見上げるほど、すっごく作りが適当すぎるような気がする...。石をただ積み重ねたようにしか見えない事に若干苦笑いを浮かべる


ココで、基礎的なルールを簡略的に教えよう。


・ギルド団長がレットラインに差し掛かった時に勝敗が決まる
・総力戦の時間は10分間
・一人でも殺せば、そちらのチームが敗北とみなす
・回復アイテム使用不可、ピンチになった地点で強制離脱処置を行う。
・10分間、どちらも耐え忍んだ場合、チーム総HP残留数値で勝敗を決まる。
・不正行為を判定された場合、有無なくこの試合は無効にする
・景品は人など含む、景品にならない物をギルド総力戦には出さないで下さい。


全部で七項目が、存在している
どれもこれも、妥当と頷ける様なルールだ。
レクトは、開戦まで少し時間に猶予があると思い
近くにあるベンチに腰掛けた


暇そうな顔で、通り過ぎる人々をつまらなそうな眼差しで眺めながら通知欄を眺めた


あの場所に到着するまでどうやら時間をゆうにしている
頼み込んだ奴らは、最低でも一時間くらいかかると書いてあった


まだ焦る必要が無い...、奴らには何を隠してるのか。
証拠となるのが足りない、だからこそなんだ...。刑事みたいなことをしてるが、『勝つ』為にはまずは『暴く』必要がある
ゲームなのにな、どうも俺は...『調べたかる』んだな。
チートカマ野郎、今こそ化けの皮はがしてやるーー。


午後2時、ようやく待ちに待った
非公式ギルド総力戦が幕を開けた
フィールドに横一列ならんだ《NIGHTMARE》と《MIX組》


対立したその焼けるような視線は
咬み殺すような緊張感を放つ


観客席に座る攻略組達は、息を殺すかのように静けさを漂わせていた。
その理由は、双方の団長の鋭く燃え上がる瞳に圧倒されており、何よりも...ソロプレイヤーレクトと傘下ギルド《NIGHTMARE》だからだ。



『あら?負け犬来てたのね?』
『誰が負け犬だカマ野郎』
『カマ野郎って、あんたには分からないわよね?カマにしか出来ないカマな戦法ってのがあるのよ』
『デスデス感が半端なく伝わった。安心しろ、その顔を駆逐してやるからよ』
『はぁん?お母さん?』
『誰がお前の息子に何時なったんだよ?!』


開戦まであと15秒ーー


システムアナウンスが、そう告げると、ニタリと笑をこぼして
二人は持ち場に戻るーー。


メアがレクトとスレ違いながら言う
『案外、嫌みたらしいこと言わなかったわね?』
レクトは、鼻笑いしながら言う
『馬鹿言え、戦略的には『心理』でどちらかが有利に勝敗が決まるだろ...。俺ら二人があんな会話したって事はーーー』
『モチベーションは、ほぼ互角よ。けど勝つのはーー』


ーーーこの俺(私)だ。


持ち場に戻った二人は、悪ガキ見たいな凶顔で、深い笑みを浮かべ
ながらそう言ったーー。


システムアナウンスは、各ギルドメンバー画面に5秒カウントダウンが表示された。


5、4、3、2、1...ーーー。


開始っと表示された瞬間、双方のギルドメンバー達は激しく激突した。
双方のギルドメンバーは、同じぐらいの人数でほぼ互角だろう
鉄音や火花を散らせ、スキルフェクトの色や音が愉快に奏でていた


お互いの、団長は動くことなく睨み合う。距離からして約200m
さほど遠くは無い場所にいる
芝風の土は荒々しい音を無視するように立ち、それを踏みつけるメンバー達。
仮想世界と言えども、臨場感を再び味わう日はいつ以来だろうか?
そう胸に秘めたレクト、アナログコントローラを握りしめて、オンラインゲームを粉していたあの日々ーーーー。


それが、今目の前で繰り広げられている。それが、どんなに嬉しいものかーーー。


レクトは、深々と笑みを浮かべながら周りにいる仲間に話す


『なぁ?戦略ゲーってさ、この攻め方でいいんだっけ?』
『真正面からの強行攻め...これはダメだな』
『なるほど、なら通達してくれ...半分に分かれるぞ』
『戦力を分散するのですか?』
『いや、敢えて二つに分ける。その背後から挟めうちのように攻めいる。戦力分散ではなくて、道を作るのが目的だ』


ウィンドウを開きギルド総力戦にしか使えないチャットに書き込む仲間、そして返事が来た文を声にして読む


『了解したって事です』
『お、話が早い奴らだな。あとはお前の出番だな』
『え?』
『とぼけるなよ?お前、遠距離攻撃出来るスキルがあるそうだな』
『バレていたんですか?』
『あぁ、情報屋のメアから聞いた。てか、一か月前に知っていた』
『情報ツールが早すぎる...。』


横一列だった隊列が、左右に分かれて戦闘を行い始めた
中央は、王者の道筋みたいに広がった広大なグリーンの芝原の先にオカマキルド団長でもあるメデオ一人目に止まる


レクトと、メデオは鋭い雷光を放つような眼差しで二人は走り出す


『はぁぁぁぁぁーーー!!』
『うぉぉぉぁぁぁぁーーー!!』


激しい二人の衝突音、まるで雷が落ちたかの衝撃音が轟くーー。


お互いの刃を擦り合わせて、火花を散らせながら言い合う


『負け犬の遠吠えほど汚いものわないわよ!!』
『うるせぇな、人の仲間をさらっときながら何を言いやがる!!』
『ほざきなさい、あんたなんかよりも先に勧誘したのは私達よ?どうこう言われる筋合いないわよ!!』


鉄音を鳴らして、レクト自身を後ろに数メートル弾き飛ばす
そして、黄色く光りを放ちながらレクトに向かって突進する
来たか、スキルーー。


レクトは、左手から右手に武器を持ち替えて独特なフォームで体制を取る。
剣を顔付近に起き、刃を光らせて
足を開き体の重心を下げて狙い撃つかのような姿勢だ。
その体制はあまりにも隙だらけで型がない。当然、メデオからすればーー


舐めてんじゃないわよーー!!


メデオのスキルがレクトに触れようとした瞬間、彼の右腕が虚空の彼方に打ち上げられ、体にはバッテンの様な左右斜めに切られたような後が赤く浮き上がる。


一瞬の出来事で、把握すらできないようなメデオの表情。
無理もない、彼が放ったスキルは刀スキルだからだ


一刀無心流2型 《八形文字》
このスキルは、カウンター見たいな耐性がありスキル自体が弱ければ即時カウンダーが自動的に使われる特殊スキルだ


見て嘲笑うような表情でレクトは言う


『さて、今俺は何をしたでしょう?』
『...分からない』
『だろうな?お前のスキル自体がこの戦いでは無効だ。そんなことも忘れて初等スキルで俺を倒そうなんて...ぬるすぎるぜ』
『くっ...!』
『あいにく俺は、実力主義なもんでな、お前みたいなチート野郎に実力でもない強さで高鼻をするとか正直笑えるんだがな』
奥歯をかみこするメデオ、しかし
一瞬にして悔しい顔から開き直った顔をしていた


『ならオカマ戦法で戦うわよ』
『...?』
『いくわよ?』


ひと踏みで、レクトの眼前に現れ
ーーーっ!?
ガードするレクトを、ものともせず剣を握りしめて上空に向かって投げ飛ばした


くるくると回転しながら、レクトは体制戻し下を向くがーー。
メデオが、居ないだと...?


すると、背後から甲高い不気味な笑い声と共に回転しながら滑落してくるメデオの姿が現れるーー


『ヒーハァァァァァァーー!!』
『んなぁ?!』


メデオ履く靴はさっきのとは違い
踵高いヒールを履きこなしていた
そして無駄に要らないスカート着用でスピンしていたのだ


レクトの背中に突き刺さるように練り込むようにヒールの踵を当てながらレクト自身も回転しながら
轟音と共に地面にたたき込まれた。


『ふん、オカマ戦法を舐めんじゃないわよ』
『ヒールの踵がいてぇんだが!』
『我慢しなさい』
『まぁ、筋力で何とか回避はできるが...。』


レクトはそう言いながら、メデオの足を背面から掴み振り飛ばした
ゆっくりと体を起こして軽くため息をついた


レクトのHPバーは半分ギリギリ
対してメデオは、半分より少し下回っていた。


体術スキル 《オカマ戦法》
それは、オカマを極めた者だけに与えられるスキルーー。
ハイテクな、デタラメに見えるそのスキルは見る人から拒絶するような衝撃と有無言わせない絶大な一撃を兼ね持つ。
それは、まるで気高い一輪の花
勿体ない例えだが、それが彼らにしかない枯木化とした花なのだ


『負けられない』っと言う執念は、彼と同様な気持ちなのだ。
だから、気高いオカマは...彼に尋ねるように体術で語りかける


自分の『執念』は間違ってないのかとーー


『武器なんて捨てればいい、私は...この拳(たましい)であんたの思想を叩き壊すまでよ!』


脇差にあった剣とメデオが持っていた剣は後ろに投げ飛ばした
レクトはそれを見て少し驚き顔をする。


『私は、物で頼るよりも今目の前にある手を信じる...さぁ、本当の戦いはこれからわよ』
『何のつもりだ...?』
『二度も言わない。私があの子を奪ったに違いない、でも、己のこの手がまた違う道にあの子を誘おうとしてるなら...いや、それは無いわ。だって、あの子は私の『人形』だからね』
『分かってるんじゃねぇかよ、自分が間違っている事。人形?面白いな...但し、奴は『人形』の型に果たしてハマるかな?』


レクトの意味ありげな発言に、メデオは不振な眼差しを浮かべ始めた。
その意味はいったい何を示すのか?っと思うメデオに対して嘲笑いそうな微妙な表情を浮かべるレクトーー。


そして、二人は息を吸い静かに吐き散らして鋭い眼差しで衝突する
一つ一つ、受け流して見切りを踏み込みレクトに振り抜く拳とそれを躱して、メデオに振り抜く一筋の剣の刃ーー。


だが、レクトの剣はメデオに素手に捕まり握られ破壊され、腹部に強いケリを入れられ飛ばされる
ーーっ!?
大地を転がりながら、体制を立て直した瞬間、目の前にメデオの平手が現れて顔を掴まれたまま背後にあるフィールドの壁に目掛けて叩きつけられた。
レクトの顔に手を押し付けながらメデオは、見下したような眼差しで言う


『武器破壊されて、少し動揺したような顔していたみたいだけど...こんな隙だらけを敵に見せちゃ瞬く前に決められてしまうわよ』


レクトのHPバーはレットゾーンまじか迄減った。
目の前が赤く点滅がやや薄く現れ始める、身動きが取れるかとなれないかのぐらい体が重く気だるい


ダメだ...力が入らない...。
この圧倒的な、パワーの前に足掻けるはずが無い。
このまま、勝てる気配がないな...


マイナス思考が交差する最中。
絶望の淵に、今はっきりと感じる
ただ殴られ、減っていくHPバーと遠のく意識ーー。


力なんてこの世界には要らないっとばかり思って過ごしていたが...それは、誤算だったな。


レクトの筋力数値は百前後、そこに武器のATKが足されて基本ATKが150だ。
与えるダメージが、数百程度だろう。だが、彼の場合は、通常攻撃の威力が高くバトルシップが上手く重なり数百から数千のダメージに変わっていた。


たかが数値、そんなぐらいで簡単に呆気に勝敗が決まるーー。


そんな理不尽がこの世界で左右されるのであるならーー


レクトは迫り来る、メデオの振り抜く拳を瞬きせず睨むように眺めた


ーーパチッ。


『ーー?!』
メデオが最後に振り抜いた一撃は
彼に当たった。
『彼に当たった』がそうじゃない
HPバーが見えないところで止まりそっから減らない
そう詰まり、彼が当てたのは全く別の『彼』だ。


レクトの体から無数の電気筋を放ちながらゆっくりと立ち上がる


な、何なのよこれ...?!
メデオは、初めて見る光景に戸惑いを顕にしていた
レクトはバチバチっと体から音を立てながらゆらりと体をふらつかせながらメデオに近づくーー


『...っ!行くわよ!!』


メデオもまた、知らない『彼』に向かって走り出して大きく拳を振り抜いた
レクトは、したを俯き歩いている
そんな隙だらけをメデオは容赦なく突くつもりで彼に振り抜いた一撃はーー。


躱され一瞬の隙に、彼はメデオの背後を歩いていた
なっ...?!
そして、時差のようにゆっくりとメデオの体が傷つき始めた
どんどん減っていく自分のHPバーを驚き顔を浮かべて眺め、最後に中心部に強い衝撃を受けた感覚になり自身の体が後ろに吹き飛ばされた


こ、この動きは...?!
メデオは、飛ばされている方角振り向くとその位置に『彼』が佇でいた
剣を穿つように構えて、狙いを定めるようにメデオに矛先を向けた
これは明らかに、先を読むような行為であった
挑発っと思えたメデオは、奥歯をこすらせて言う


『な、舐めんじゃないわよ!!』
メデオは、飛ばされた勢いを便乗して拳を強く握りしめた


二人の一撃が、強くぶつかり合い
轟音を辺りに響かせる
その瞬間、電極ホールが現れて爆音を放ち火花と電筋が辺りに散らす。


虚空を舞うメデオ、そして強制離脱が成立して空中でその姿を消した


これで終わるはずの戦い...っと誰もがそう思えたーー。
だか、終わらない...ナイトメアのメンバー達はほぼ壊滅っと言うぐらいの人数しかいない
戦う意味すらない、システム判定を待つMIX組メンバー


すると、アナウンスは突然変な事を言い始めた
『終わり、終わり、終わり。システムが変更されましたーー。システムが変更されました。』


メンバー達は首を傾げながら、目の前に映るリザルトを眺めていた
そして、アナウンスは言う
『今からァァァァァ、レイド戦を始めるよ?だから、死なない程度に生きてねぇぇぇ?!』


明らかにさっきと違う発言と口調にフィールドにいる人達は騒然とする
アナウンスがそう告げて間もなくだ、空中に光る形のモンスターが現れて降下してくるーー。


ズンっと、鈍い音をたてて現れたクリスタル型モンスターだ
フィールドにいる人達は、武器を構えて突撃していくーー。


突撃した人は次々に、目の前で半身を切り裂かれて光を放ち散っていく、最早ギルド総力戦とは呼べない異常事態が発生した瞬間でもあった。


観客席の人は、唖然と騒然な顔をしていた。逃げるべきか、戦うべきか
二択の選択肢が要求された
だが、悲鳴や絶叫と言った人々が多く逃げ出す観客席の人を見れば皆それに惑わされるように逃げ出す


そんな最中で、動じなく
人々を切り裂くように中央に佇む
一人の男性の姿ーー。


太刀を背中に背負い、リンセットの髪型をして軽装な服装、若干見た目からしてあまり強くなさそうな格好だ。
クリスタル型モンスターの敵を見眺めながらその人は静かに言う


『来たか...』


そして口元を軽く曲げて、太刀をゆっくりと抜き取り。
静かに構えて、重心を少し下げて言う


『そう簡単には、通らせてはくれないか...』
雑魚が観客席から湧き上がるようにボップしてくる。
そんな光景を眺めながら、太刀を頭上にゆっくりと掲げて振り落とした。衝撃波が起きて雑魚モンスターは空中に舞い上がる


『雑魚には要はない』


たった一撃で、すべての敵を粉砕
だが、またしてもリポップする
雑魚が湧き上がる...こいつはちいと骨がいるか...?


言葉と裏腹に敵は数を増す
そんな最中の戦果の途中、メデオは控え室で目を覚ました
ここは...?
見覚えがある天井を見上げていた
ゆっくりと体を起こし、中継されているモニター画面を眺めた
目に映るのは、手を焼いている仲間や敵の人達。
そして、目に止まるのはクリスタル型モンスター1体だ


これは確か...メダル系モンスターじゃなかったかしら...?
でも、おかしいわね...確か総力戦ってのはフィールド状モンスターがポップしない様に街中に作られている筈だわ。
でも、今の見た目だとモンスターがポップしてる...明らかにおかしいわ


異変に気づいたメデオは、ゆっくりと体を起こして控え室のドアを触れた。
だが、フィールドに出る側のドアが硬く空く気配すらしない
仕方がなく、正反対側のドーム側に繋がるドアを開き廊下を歩き突き当りにあるフロントに出ようとした瞬間、何やら騒がしい
よく見ると、人が出口付近でゴミのように群がりをしていた
それを見てメデオは言う


『ただ事じゃないわね...』
一人一人が慌てて逃げ出す、そして出口は、人々の山々なぐらい塞がり押し合いを繰り広げる
醜いっと思えるほどだ、そんな者にも目をくれず逃げ出す人の階段を登り歩く、観客席がある場所にたどり着くや否ーー。


眼前に現れた雑魚一匹に、危うく攻撃を食らう直前に躱して拳で一撃入れて吹き飛ばしたが...スグにリポップする雑魚モンスター。
メデオは、少し苦笑いをしながら言う


『何よ、まるで地獄絵図だわね...。でもいいわ...あいてあげる♥』


戦果に戦いが巻き起こるーー。

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