ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第2話殺人ギルドの少女



第1層、道行く大草原ーー


場所は、始まりの草原を越えて始まりの街を通り抜けた先にあるフィールド
大草原だけあり、見渡す限り草が生い茂る...そのちょうど真ん中付近に聳え立つように一つの塔が空に向かって貫いている。


そんな見晴らしが良い場所で、腰ぐらいの長さの黒いコートを身に纏い、黒茶色の髪の毛をしており、瞳の色は黒で黒曜石の様な瞳をしている。そんな一人の騎士が居たーー。


名はレクト、本名はまだ伏せるのがお約束。最前線の一員になる為に、エンカウントするモンスターを倒す日々が続いていた。


デスゲームと成り果てて、はや一週間が過ぎた


デスターとほぼ変わらない仕様だが、スキルの切れが悪い


デスターは、試作品段階でβデータともよく言う
実は一応、軽い気持ちで何年か前...ちょっと店で試遊してみた


まぁ、なかなかな作り込みにハマったが...その結果、酔いと自信が持つリアルマネー3000円が抜き取られていた
苦い思い出の話だ...今思えば、なぜ店で試遊ができたのか不思議だ


エンカウントするモンスターに身を任せたスキルを放つ
華麗に貫通すして、モンスターは空中に飛ばされ消滅する


微かに違和感を感じているのか、若干剣を眺めつつ首をかしげる


うーん...スキルモーションからアシストが入りそのまま自動でやってくれるのだが...なんだがスキル最後動作がが今ひとつおかしい。



スキルアシスト、動作補助を意味する
初心者離れないからまず手始めに付けることを促される


上級者になれば、ある程度のスキルが体に馴染むため...使わない人が多いというらしい...。
で、モーションはスキル使う時に強く光を放つフェクトとその使うスキルにそって行うのをモーション、まぁ...動作を意味するんだが...。


レクトは、再び軽くスキルを放つ
一直線に青い筋を放つ。


...最後のキレ端が、モーションが最後に行く直前で、途切れて、スキル自体が止まる感覚が伝わる。
わかりやすく言えば、スキル最後に最大のダメージを与えるインパクトが、抜け落ちている。


なんて言うか……歯切れが悪い感じがそのまんまだな。
スキルが途中で止まってしまう...本当にアシストしてんのかこれ?


「…………」


息抜きに、周りの景色を見渡す


...グラフィックがどのMMOよりも鮮やかで景色や物の細やかな場所までわかりやすい
実物感が凄いってしか言えない。
例えば、この花...紫陽花に似ている
しかも、雄蕊や雌蕊迄が繊細に描かれている。
地表は、風に靡かせる草原...こんなリアル感あるのはそうそうない。
本当に《デスゲーム》なのか?って疑問すら浮かぶぐらいだ。


静寂に、靡かせる草木の囁きだけがシンプルに聞こえるーー


数分後、レクトは軽く溜息をつき


今日は、この辺でいいか……


剣を肩にある鞘にチンっと音を鳴らし収める。
まだ、第1層にある草原...レベル上げに躊躇なくエンカウントするモンスターを切り刻でいた。
既にLv8まで上がり、この辺りのフィールドなら簡単に倒せる程だ


綺麗に整備された道筋を歩きつつ、夕日に輝く街並みを目の前にしながら歩くレクトは思う


勿論俺は、そんな景色を見るより……レベルを上げることが優先的だ
レベル以外は問題ない...
なんにも問題がない。


レクトは軽く指を何も無い空中で落とす。すると、青白いウィンドウが浮かび上がる。


これは、ウィンドウ
ゲームシステムを知るには必ず使うし、使わなかったら逆に可笑しい


スキルを使うにも、解放するために戦うしかない
まだ生まれたての、初等スキル...バトルシップは微かな命綱にしか変わらない。



始まりの街から、あまり進呈せず...
迷宮区入前に...攻略者会議が必ずある
強さに自信がある奴らしか、集わないし、情報共有も兼ねている。
今の所は...必須な感じだが、攻略が進まない現状...それだけユーザーが参加していないのか、それとも、怖くて始まりの街から出れないでいるのか...。
そう思えば、思うほどメンタル的に押しつぶされてるユーザーが多数いる事を感じた。



まだ、始まりの街っていう場所に拠点を置く...ため息が出る。


第1層の街頭区、始まりの街に踏み入るレクト。
考えながら、歩き、人通りがそれなりにある場所...。人とぶつかってもおかしくない状態なぐらいだ。


ソロプレイヤーとして、駆け巡るが...
エリア解放するキー解除、アレを一人でこなしているが、流石にきつい物を感じられないわけじゃない。


周りのユーザーは、PTを組んでクエストをクリアしている
それに比べて、ソロで走る彼は効率の悪さや、色々とペナルティを喰らい
一人として限界を覚えてもおかしくはない。


だが、ソロプレイヤー流儀がある限り
PTは組んでも、ギルドには入らない


PTとは、パーティーの略しで
パーティーメンバー募集時によくこの言葉を使う方が多い。


脱力気味な顔をしながら、前方だけをただ眺めているとーー


誰かとぶつかった気がした


「きゃっ?!」っと言う女々しい声にレクトは気が抜けた顔がすっと戻り
視線を下に向けると、フードを被った一人の少女が尻餅ついていた。
レクトは、引き締まったような顔立ちになりそして、手を差し伸べて言う


「大丈夫かい?お嬢さん」
少女は、そのレクトが伸ばした手を弾き。ゆっくりと立ち上がり、スカートについた砂を払いながら


『ちゃんと前を向いて歩けよ』っと凍りついた声で言い放った少女。
レクトは、ムッとした顔で
『俺がぶつかっておきながらあれだけどさ、お前...凍った声は似合わないな』っと言い返す
暫く、沈黙後...少女は口を開く。


『はぁ?』
『イメージと違うんだよ、さっきの声は...ギャラクシーにゃるん!って言うアニメのキャラの三毛田猫の尻餅ついた時の声だ。で、今のその声は...丸で何かを殺したかのような、そんな冷酷さを感じる』
『何言ってんの?殺人?そんなユーザーっていると思ってんの』
『居るとは限らない、だが、どのゲームにも煽りする馬鹿が居る。君から感じるものは...それとも違うーー』


すると、レクトの股間に目掛けて少女からの蹴りがヒットする。
思わず、レクトは石畳に転がる
それを見ながら少女は『バッカじゃないの?死ねよ』っと言い吐いてその姿を人混みに紛れて消した。
痛さを感じないはずなのに、何故かとてつもなくそんな気になっていた


ば、バーチャルじゃなかったら...即死していたな...。っと苦笑いする


数分後起き上がり、第1回、攻略者会議の集まる場所にレクトは足を向かせる。


建物が多く、NPC店員が活気よく客を引き込む為にセール品を言う
そんなのを耳に止めないレクト、集合場所である...居酒屋に立ち寄る


凄腕ユーザーらしい顔立ちがある中で、唯一、軽装服のレクトに視線が飛ぶ。
席に座るや否、いきなり自分よりも巨体な男が現れていきなり言う


『舐めてんのか?』
はて、何のことやら?っと言う表情を浮かべる
『お前に言ってんだ!』
呆れ顔でレクトは目を細めて言う
『舐めてる?それは、この服装で決めたのか?ゴリラさん』


周りが一斉にざわつき始める
この男は、当たり触らず喧嘩を売る人らしく切らしたら...誰も止められないらしい。


その吐きつける臭い息が物を言うって所か?


巨体な男は、歯をギリギリと擦らせ
『てめぇ、バカにすんのもいい加減にしろ!!』っと怒声で言い吐く


巨体な男は、背にある斧を抜き取り
レクトに振り落とす。
渾身な一撃で、フェクトがバリバリと音を馳せる。


『なに?!』


振り落とす刃の先には、レクトの握る柄が当たり受け止めていた。
ゆっくりと押し返して、レクトは左手にあるマグカップにあるコーヒーを啜り飲んで、右手で握る剣を光らせる


さっきのは...まぐれに決まってる!


巨体な男は、勢いよく再び斧を振り落とすーー


パァンっと言う何かを弾く音が鳴り
巨体な男の斧は、天井に突き刺さり
抜けなくなる。
レクトは、微かに微弱な笑をする


『な、何がおかしい!』
『いや、弱い奴ほど頭に乗るって奴を改めて知ったよ』
『意味わかんねぇな!!』


巨体な男は、斧から手を離し直接
レクトに拳を振り抜く。


単調な攻撃、隙だらけだな...


レクトは、一瞬にして巨体な男の背後に回り込み、右手で手早い連撃を放ち
最後にマグカップを投げつける


『がっ...?!んにゃろ!』
『おっと、園内だから死なないか?なら、容赦なく攻撃ができる訳ってか!』


再び、巨体な男は無数の連打を繰り広げるが、それすら軽やかに躱すレクト
そして、今度は剣にグリーン色に光出して手早い連撃を叩きこむ。


止まらない連撃と躱す速さに圧倒されて行き...最終的には土下座して『すんませんでした!』っと謝罪を口にした



右手の剣を鞘に収め、一息つく
土下座する、巨体の男に
『見た目によらずって言葉を覚えとけよ』っと呆れた声でそう言った


この日は、結局攻略会議は行われず
集まったユーザーは声虚しく一人として喋る人はいなかった。


翌日未明、街頭区の街頭は誰もいない夜道を照らしていた。
宿屋の窓越しだが、ちゃんと鮮明に見える。そんな最中で、あの時出会った少女を思い出すレクトーー


あの子、なんでだろうな...
そうゆう感じに見えない


冷徹冷酷...その二文字は彼女には似合わない、そう思うしかない。
初対面で、気持ち悪いこと言ったレクトだったが...何だろうか、後になにか起こりそうな気配だけが少しだけ感じていた。


そうこうしてる内に考えている思考が
時間すら忘れさせていた


6時を報せる鐘の音が、シンプルに鳴り響くーー


身支度をして、部屋を後にした
木製の階段を降り、ちょっとした広さのスベースにあるイスに座る


軽くため息をついて、出入りるユーザー達を目視、すると...あの時ぶつかった少女らしい人物が目に止まる


二つの視線が交差し、お互い見つめ合う。


フードかぶってるから、顔が良く見えないな...。


すると、レクトが座る椅子の隣にその少女がちょこんと座り言う


『貴方も、ここ使うんだ?』


あの時と一転する穏やかな声に
レクトは驚き顔を浮かべた


あの時と喋り口調が違う
もしや、これが...ツンデレなのか!?


『ねぇ、なんか喋らないの?』
『えっ、あっ?そ、そうだな...うーん』
いざ考えてみても、空白な脳裏に話す内容などは書かれてはいなかった


『何も聞かないの?私の事ーー』


視線を少女に戻す、不思議と楽しんでいるかのような口元が微かに微笑んで居た。
レクトは、『それじゃ』っと言いながら『君の名前は?』っと聞いた
少女は『まず自分から名乗るべきじゃないかしら?』っと和やかに笑いながらいう
レクトはとりあえず自分名を言った
少女は、『本当に言うんだね...』っと微かに切なくボソッと言った
レクトは当然、不自然な顔を浮かべて少女を眺める


『さて、私は行くわよ』っと言いながら椅子から立ち上がり、レクトの前で
『私は、アマリア。レクト君次会う時は...敵対だからね』っと忠告の様に催促を促されて、アマリアはその場を立ち去った。


『ふーん?アンタって以外に攻めるタイプかしら?』
筋肉質で独特的なヘアスタイルをする一人のオカマは、宿の壁側に背をつけて腕を組み目をつぶっていた。
少女は、ムッとした口調で
『攻めるタイプじゃないわよ、タダ命令通りにしてるだけよ』っと低いトーンで言った。


『いや、アンタ...奴に惚れたんでしょ?だから、この宿に止まった...そうでしょ?』
『命令』
『命令に...宿屋に泊まれとは言われてないわよ。バレたのがあたしだから良かったものの...あいつにバレたら強制的にPKされるわよ』
『...生きててなんの価値があるのよ?殺すなら殺せばいい、私は...彼に嘘を言う惨めな自分になんの価値があるのよ』
『そこまで、被虐的に言われちゃうとね...。気が引けるわよ、でもアンタはこのギルドに来るべきじゃなかった。それだけは言えるわよ』
『何でよ?』
『自分の願望だけで、願いが叶うほどできた世界じゃない。今のあんたは死にたいって考えしかない。でも、その死にたいが実際に来れば足元が掬われるわよ』
『お説教ですか?』
『いや、忠告よ...。私は貴方を気に入ってるからね』


オカマは、壁から背を離してどこかへと歩き始める
少女は、ただその背中を眺めつつ
後ろを振り返りオカマの逆方向へと歩き出した。



レクトは、その数分後何事も無かったような顔で宿屋から外に出てくる
朝日を体に受け止めながら軽く背伸びして、気だるそうに生あくびをする


さて、クエストボートに行くかな。



街一角にある、壁に設置されてる一枚の板に複数の紙がぎっしり貼ってある
通常クエストが基本で話を進める為に受注が当たり前で、中には特殊クエスト、サブクエスト、夜間クエスト等が存在する。


大勢の人だかり、その先にクエストボートがある。
レクトは、人達の隙間を歩き
ようやく辿り着き、クエストボートに触れる。
目の前にウィンドウが現れて、受注項目する選択肢が浮き出る


さてはて、どれにしましょうかね


レクトは、ウィンドウの受注項目をシングルタップし、クエスト選びタップすして受注する
これだけで完了するが、一番の疑問点は...あの張り紙ってなんの意味があるのか?っと誰もが思う点だ。
仕様上だから、深く考える必要性がないが...一説によれば、ただの飾りらしい。


今日のクエストは『闘牛を食いたいんだ!』を受注したレクトだが、この世界に角が生えた牛型のモンスターってあまり見たことがないし...実際自分も食べてみたかったりする。


ドロップする肉を納品でクリアって言うシンプルなクエストだ
しかし、これが...過酷だというのが数時間後に後悔するハメになっていた。


茂みの奥深くに、闘牛は穏やかにいるらしく、その巣穴にレクトが入り込む


5体か、それなりにいるから大丈夫だろうーー


そう...モンスターからの肉ドロップは
数体に一回の確率。
納品数が15個、つまり...一時間過ぎても5個と言う過酷さを知ってしまう。


ぜ、前言撤回...舐めていた...。


遠くで、鐘の音が鳴り響く
どうやらお昼を知らせる音らしい
仕方がないから、昼飯をウィンドウからオブジェクト化して手に取る。


綺麗なサンドイッチを、頬張る
無味無臭な食べ物にアクセントが欲しいっと思い...ドロップしたハチミツをサンドイッチの上から掛け落とす


うんうん、これだよ...これ...


口に広がる華やかなハチミツ風味が鼻腔を突き抜けて香る
幸せなゆるい笑みを浮かべていると...
何か影が通り過ぎて言った
『ん?風か...』
再びサンドイッチを頬張ろうとした
ガリッと音が鳴り、歯ごたえがあり、噛みきれない。ただ感じるのは手の痛み位だ、錯覚しているのだろうか?手まで痛み出す...。


ガロり、ガロりと数分間、中々な歯ごたえと食感に違和感を感じ始める
ようやく、華やかなゆるい笑みから険しい顔立ちになり、閉じていた目を開ける。
自分の手をガジっていることに気づいた。


あれ?サンドイッチが...無いな?


すると茂みの中がガサガサと音が鳴る
レクトは、自分の剣を手に取りゆっくりと近づいてその茂みをかき分けると


何故か、物凄い顔でなにかをむさぶり喰う後ろ姿が目に止まる。
ピクっと体を反応させて、ゆっくりと体を起こして、ゾンビの様な体制を取りながら


「なんか食わせて欲しい……」っと低いトーンで言い吐いた。
レクトは、唖然としつつ
『アマリア...なにしてんの?』言った
ジリジリと攻め寄るアマリアはレクトの行く手を狭めるーー
『食わせないなら、レクトを喰う!』
『何でそうなる!!?』
『言っただきマース、パクっ!』
『きゃァァァ!!俺の手を齧るなぁァァ!!』


レクトは、ブンブンと腕を降るが
アマリアはそれでも離れない
最終的には、レクトが折れて最後のサンドイッチをアマリアに与えた。


『はむっ、食感はあるのに味ないなぁ...』
『それはそうだろ、バーチャルなんだから...』
『腹すかせた少女に、現実を突きつけるんじゃないの』
『確かにそうだけどさ、でも...アマリアさ。一応クエストとかで食べる分位のお金稼いでるだろ...。なんで、飢えるまで食べてないんだ?』
『それは...言えないわ』
『何で?』
『乙女の秘密を暴こうなんて早いわよ』
『そ、そう言われるとなぁ...しょうがないか。』



静寂になる
ただ時間だけが過ぎた、そしてアマリアは『じゃあね』っと言って茂みを歩いていった


レクトは『おぅ』っと言って再び狩りを始めるーー


街に戻るまで、夜間の時間帯になっていた。納品を収め、報酬を手にした
あとは、宿屋に戻るだけーー



すると、レクトの索敵スキルが発動
後方に一人近づいてくる。
後ろを振り向き、ある壁際の曲がり角を覗き込む。


すると、レクトの頬をかすり
伸ばされた手を掴みあげる


『アマリア、なんの真似だ?』
『決まってるじゃない...アンタを倒す』またもや、あの時と同じ声とトーンで言う


レクトは、その腕を離して
躊躇いをあらわにしつつも言う


『お前はいったいどっち何だよ?』
『何がよ?』
『穏やかでいる時の顔とそうでもない人を殺すような殺意ある声。どれが君なんだよ』
『どちらでもないわよ、私はただ『命令』で動いてるだけよ』
『命令...?』
『さぁ、私と戦いなさい』


命令で動いている...?
そんな理由で、戦うのか...?
分からない、でも...アマリアの手先は震えているの分かる。


どうすれば良いかと悩むレクトに対して、容赦ない的確な攻撃をしてくる少女。
手馴れた、一撃、一撃はなかなかのものである。これくらいの実力ならば、最前線にいてもおかしくないぐらいだ。


『どうしたの?なんで武器を取らないのよ』
『できれば取りたくない。なぁ、アマリア、その手馴れた攻撃はどっから覚えた?』
『...お喋りは要らない』


連撃を、レクトは必死に躱す
説得する悠長さえない
困り果てた挙句に、躱すスペースがなくなり壁際に背を寄せる


どうする?逃げ場はない...
考えろ、考えろ...


ピンっと頭に過ぎるスキル
いりょくはたしかなものではないが
人を突き飛ばすぐらいはできる


アマリアは、短剣をレクトに振り翳す
その瞬時に、レクトが少女の顔に平手を突き出す。物凄い風圧が起こり、アマリアは軽く吹き飛ばされた


フードが外れて、少女の素顔を見る
長い金髪一つに纏めて目が青い
鋭く細めた眼差しは、光を帯びる


『フードが壊れちゃった』
あまりの可愛さに、目が点とするレクト。ちんまりとした小柄な体型に、声が出なかった。


『そんなジロジロ見ても、戦いには変わりがないわよ!』


レクトは、アマリアの振り抜く腕を止めて、引き寄せて言う


『なぜ戦わなきゃならない?』
『だから、命令よ』
『誰からの!』
『言わないわよ、そのうちに分かる』
『どうゆう意味だ?』


レクトが掴みあげる腕を、無理やり弾き、そっからアマリアは逃亡した。
追うよりも、アマリアのさっきの発言がかなり気がかりだった。
ウィンドウを開き、情報通達っと言う情報屋が提供する最新情報を配信する為に何らかの形で作った特別な項目だ


最新情報をチェックするレクト
そこに書かれていた記事に目が止まる


『殺人メンバーが集う、後に殺人ギルドになる可能性あり。その代表わ者がレット、そして実力なら相当あるアリスが勧誘したが、扱いが酷い様だ』


殺人メンバー...?


詳しく調べると、浮かび上がる数字
それは、キルさせたユーザーのカウントだった。その数...200名を超えていた、たった1週間でこれだけの被害者に言葉が出ない


ウィンドウを閉じて、月明かりに照らされる中で佇む
何も考えられない、ただ...一枚の画像に写るアリスって子はアマリアに似ていた気がした


深夜0時、人気が無い街中を何人か密かに歩く。
そして、寝ている特定のユーザーを園外に運び出して殺す...、そうゆう殺人を犯すユーザーをレクトは門前で仁王立ちして待つ。


『ちっ!人がいやがる』
『しかたがねぇ、俺が行く』


その一人の男は、レクトの目の前に立ち止まり無言で剣を抜き取り襲いかかる。
レクトは、剣を握らず素手で拳を作り、その男の顎下から突く


空中に飛び上がるように、空高く飛ばされた男は、園外に頭から落ちる。


『さて、殺人メンバーさん?そいつを置いて逃げるか、あいつ見たく麻痺して生き死になりたいか?』
レクトの黒曜石を光らせた様な眼差しを見てもう片方の男は
『お、覚えてろ...』っと言い逃げ去った


レクトは、ウィンドウを開き
文を書きさっきの情報を掲載する
軽くため息をついて、ウィンドウを閉じて。夜空を見上げた



次の日、宿屋から出て特にする事がないので、街をぶらぶらとする
昨日の待ち伏せ効果絶大、瞼がなかなかな重さをしていた。


まさか居るとは思わないだろ...
あのあと、明け方まで何人か寝ているユーザーを園外に運び出そうとしている殺人メンバー達を懲らしめた訳だが
結果的に、体が..目が、相当来る。


目を細めて、何度か瞬く
そして、町外れにちょっとした噴水広場がありそこにあるベンチに座る
すると、アマリアが堂々と真正面から歩いてくる。
レクトの目の前に立ち止まり居る


「今日こそ戦って貰うわよ」


一晩で何があったのだろうか、服が泥塗れで、微かに頬に土汚れが付く
それよりも、表情が戦う人の顔をしていないかった。なぜなら怯えたきった眼差しがそれをレクトに告げる


『そんな酷い顔で、戦えって...無理な話だな』
『何でよ?別に...意味なんてないし、見た目なんか特にそうでしょ』
「確かにな、んでもなぁ...。戦う人の割には酷すぎるぞ」
『何が酷いのよ、酷くなんかない』
『酷いさ、その顔つき。まるで虐待があったような怯えた眼差し...、戦うやつの眼差しは...殺意に満ち溢れている。それが無い、奴と戦う理由が無い

『なんでよ...っ!どうして、戦わないのよ!戦うのに理由なんていらないでしょ!』
『あるさ、戦うってのはこの世界で生き延びる為さ。人に向けるものじゃない。逆に問うぞ、何で戦いをしたがる?それも...命令って奴か?』
『それは...』
『答えらないのか?』
『......』


レクトは、ウィンドウを開きある記事を視覚化させてアマリアに飛ばす


『ーーっ?!』
『アマリアって名前は偽名、本当はアリス。殺人メンバーとして無理やり引き込まれて、酷い仕打ちを受けているらしいな』
『ど、どうしてこれを...?』
『どうしたも、こうしたもない...。気絶させたギルドメンバーに交渉を持ちかけて、詳細を教えて貰った。勿論、情報通達サイトに掲載済みだ』
『何なのよ...私は繋がれた首輪の鉄鎖で繋がれている奴隷って言いたいの?』
『まぁな、違いがないからな』
『...私は、何でこうなったんだろうってたまに思う。生きる意味が無い、ただそれだけで...殺人メンバーに目をつけられた。本当に嫌になる話よ』


その表情は、今にも泣きそうな顔をしていた。レクトはしばし悩みあることを決断する


『その鎖を切るか...』
『な、何を言ってるのか分かるの?!』
『分かるさ、君は今、命令されてる...。だから何度でも、俺の前に現れる、なら、その...戦えば済む話。そうすれば、そんな汚い服装にならないで済むはずだ』
『そんな簡単な話じゃない...』
『戦うだけじゃないのか?』
『レクト...あなたを殺せーーそう命令されてる』


レクトは、驚くわけでもなく
ただ単に座るだけで、黒曜石の瞳でアリスを眺め言う


『へぇー。それが命令...実に面白い話じゃないか?』
アリスは、えっ?と言う表情を浮かばせて、レクトは話す
『ここは、園内だ...。いくら殺そうとしても、死なないしスキルを連発しても、スグにHPバーが回復する。無意味な戦いを強いられて実に悲しい奴だね君は...』


アリスは、ぽかんと口を開く
この表所からして、知らなかったのだろう。レクトは、ベンチから立ち上がりアリスと距離を取り、ウィンドウを開いて何かを操作した。


すると、アリス側の眼前に現れたウィンドウと書かれた文字を順を追って読む。
『デュエル...申請されました...?』


そして、レクトも腕を捲りながら
『デュエルは、HPバーが指定された以下になったら負け。因みにHP50%以下になった方が判定負け、勝つにはHPを50%以上で保つのが条件だ』っとちょっとトーン高めで言った


アリスには、知らないシステムだった様で、恐る恐るOKボタンをタップする


システムアナウンスが言い始める


《これより、デュエルを開始しますーー所定位置についてください》


50mお互い離れた位置に立つ
そっから数字が現れてカウントを始めるーー


《スタート!!》っと表示されるのと同時にお互いが走り出す。


先制はアリス、短剣を手早く振り抜く
しかし、レクトは石畳をスライディングしてアリスの股をすり抜ける


『ちょっ?!な、なんで股を通る必要があるのよ!!』


レクトは、体を捻り、スライディングする足石畳の方へと転換。
足先に力を入れて、飛び跳ねるようにレクトは飛んだ。


アリスは、驚き構える。
レクトの剣とアリスの短剣が衝突
火花を散らせ、アリスの顔にビリビリと衝撃が伝わる。
レクトは、そのままスキルを発動
連撃がアリスの体に刻み込まれる


そして、止めに突きを放つレクト、
しかし、弾き飛ばされてしまい
アリスのスキルが炸裂する。


再び、二人は間合いをとる
ジリジリと睨む二つの視線が交差する


アリス...この子の筋はなかなかだな
あのスキルを受けて、見切れる奴は...デュエルした奴の中で初めてだ
腕は確かだな、だが...殺人メンバーの一員。攻略組からしたら手痛いな。


レクトはある事をアリスに訪ねる
『なぁ、殺人メンバーってなってるけど、実際ギルドが出来るようになったらなんて言う名前になるんだ?』
アリスは、躊躇ない顔で答える
『レットソルジャー...それが名前』
レクトは、興味を示すような顔をしてないが...その名前にちょっと歪さを感じた。
すると、アリスはトントンと足を石畳に片方の足を着いたり離したりしながら『さて、私の本気見せましょうか』っと言い吐いた瞬間、いきなり視界から消えた。
そして、アリスは、レクトの目の前にいきなり現れて、最速と思うほどの速度でイナズマが混ざった色合いのフェクトを放ちながら、レクトに振り抜く


ビリビリと音震わせた建物、石畳がアリスの足元で捲れ上がる。
レクトは、何とか躱したが...あまりの威力に声を忘れた。


は、速い...!
なんだったんだ今のは...?
あれがスキルだとすれば...相当ヤバい


『あら?怖気着いたのかしら?』
馬鹿野郎、規格外な強さじゃねぇかよ
ヒロインが、あんなに強くていいんですか?主人公を潰しに来てるよ...
レクトは、渋い顔で言う
『そ、それが全力って...。でも、こちらも答えなきゃだな』


アリスは、少し驚くが...同様はしないようだ。
すると、レクトの指先にくるくると回る一枚の布切れーー
しかし、その...布キレはただものでは無い。何故ならばそう、女子しか履かないアレなのだ。


アリスは、レクトが回す物を不思議そうな眼差しを送る。


『なんだと思う?』
『な、なによそれ?』
『おやおや、自分が履いていた物をお忘れですか?』
『自分が履いていた物...ハッ!?』
『ようやく気づいたか?』


そう、レクトはあの一瞬でパンティーをハンティングしていたのだ。
それを、思い出すアリスは徐々に赤面になりながらも、容赦ない速さで
そのパンティーを回収を試みるが、何故かレクトの躱す率の高さに徐々に翻弄され始める。


『か、躱すな!返せーー!!』
『返すわけがない、何ならこうする』


レクトは、パンティーを頭に被る
もはや、卑猥っと言う変質者が出来上がってしまった瞬間だった


『被るな!』
『なら、取り返してみろよ?迂闊に、スキルを当てれば粉々に引きちぎれるぞ?』
『うぐぐっ...!』


レクトは、剣を軽く振り抜く
衝撃波が飛ばされ、アリスに直撃する
石畳を転がり、噴水の僅かな段差の石畳に背をぶつける


『くっ...。卑怯だわ...私の下着を人質に取るとか..』
『いや、人質じゃない。ただの、変態に取られただけだ』


否定するようなことを言わず、何故か開き直り言うレクト。
その、恐れを知らない開き直りに、アリスの背筋が凍りつく。


『あれ、ハンティングってさ。人の衣類を取れるとか知らなかったんだけど、いざやって見れば...こんな可愛い猫を書かれたパンティーにお目にかかれたんだ。やって見るべきだな...』


アリスは、無言で立ち上がり
そのままフライングの体制に入る
そして、雷速の速さでレクトの頭に被るパンティーを剥ぎ取り、着地する


『ぬぉ!?』っと驚き声を出す
『さて、私の下着を触れた罰を与える引導をくれてあげようかな?』
アリスは、これまででもない深い笑を滲ませ、殺意を放つ


『やるな...んじゃ俺も本気だな』
レクトは、もう一本の武器をウィンドウから取り出してオブジェクト化して手に取る。
鞘を石畳に落して、左右に剣を握る
双剣スキル、通称二刀流と呼ばれる
ユニークスキルではなく、列記としたごく普通のスキルだ。
初期スキルにはなく、片手剣を一定回数以上に超えた時に表す中級スキル



『双剣か...それってハンデ多いし扱いずらい。そんなので私の速さに追いつけるの?』
『試してみるか?』


レクトは、左右の剣を光らせて突進してくる。アリスも、また...先ほどと同じ速さで石畳を走るーー


アリスの、短剣がレクトを捉えて振り抜くーー


『えっ?』


その振り抜いた先には、誰も居ない
そして背後から声が飛ばされる


『そんな、温すぎる単直なスキルを躱せないって思ったのか?』


アリスが、後ろを振り返るのと同時に
ズパンッと言う破裂音を鳴らし、背中から重い岩を受けたような衝撃を受け止めて吹き飛ばされる。


建物に激突、穴が開く、だが、アリスはあの速さで、抜け出てき出てきて、
今度は、速度を活かしたスキルを使ってくる。


軌道がまるで読めない、前後左右からの手早い速さでレクトを翻弄する


『どう?これが、私の最大のスキル《エアフラッシュ・スピード》よ』


確かに速い、軌道が読めない...
だが、スキルには必ず...トドメの一撃がある。それを見着れば、勝てる



レクトの背後に、飛び移るアリスの姿
それに反応したレクトは左手を振り抜くーー


『そこか!』
だが、振り抜いた先は、アリスの姿をした分身...。そして、背後から強い衝撃を全身で感じ取る


『感が良すぎなんだよ。ミラージュ、私の分身に引っかかるなんて馬鹿じゃないの?』


吹き飛ばされる数前、レクトは右手の剣を伸ばした。
その矛先は、アリスに的中しており貫通し、右手の剣を手放したの同時にレクトは遅れたように吹き飛ばされる


石畳を転がるレクト、ゆっくりと剣の重さで仰向けに倒れ込むアリスーー


そしてデュエル終了アナウンスが流れた。勝者はレクト、残りHP64%で負けたアリスが残りHP44%。半分以下アリスはダメージを受けていた事になる


体を起こすレクトは、ため息をついて握る剣を鞘に収めた
落ちる空鞘を手に取り、アリスに突き刺さる剣を抜き取りにゆっくりと立ち上がりアリスの元に歩く。


アリスは、空を見上げて呆然としていた。そんな時に、レクトの顔が写る


『負けちゃった...』
『そうかもな、でもそうでもない』
『どうゆうこと?』
『あの速さには、翻弄される。それを活かしたスキルはかなり強敵だった、君は凄い...俺なんか軽く超える力がある』


アリスは、何故か今にも泣き出しそうな顔を浮かべていた。
レクトは、突き刺さる剣を抜き取り鞘に収めて、ウィンドウにしまい静かに言う


『君は強い、だから、そんなちっぽけな場所にいることが惜しい。断ち切るとか言って、結局出来なさそうって言いそうだから...自白破棄するよ』


レクトは、アリスから離れた
街並みに戻り、人混みに紛れ込む。



PK(プレイヤーキル)なんてして、初めて遊んでる人達を安全園内じゃない、園外に誘導してデュエルみたいな形式で殺す……。


こんな不可外なやり方があっていいものなのか悪いものなのか……区別がつかないユーザーが居るのか...。


心なしくため息か口からこぼれないレクト、それもまた、アリスも同様だった。



人なんて殺してなんかいない...
殺してはいけない、それが常識
なら、なんで私は...殺人メンバーの一員になったんだろう
そうだ、死にたかったからだ
死に場を探していたら...あの人に声をかけられたんだ。


人を殺せなんて、私にはできない
出来たとしても、何にもならない
命令だとしても、出来ない話
なら、自分が死ぬ方法は...命令を無視
そうしたけど、殺されるんじゃなくてただの嬲り脅されるだけ。


こんな迷いが、ここのところずーっと繰り返されてる。


答えが見つからないまま、私はどうすべきか……分らないーー


そんな悩みながら、向かっていたのは...街から離れた森林の中にあるテント付き家屋。目の前には小さい川が流れておりサラサラとせせらぎが聞こえる


そう、ここがアジト。


そして、顔に刺青をつけた一人の青年がアリスに声をかける


「よう、アリス」
「レットさん……、こんなところで何してるんですか?」


ニヤリと口元をぐいっと上げて
ピュッと風切る音を放ち言う


「なぁに、ただの監視ってやつさーー!」


少し腕を掠りアリスは、身を構える
だが、何故だか...切られた腕は痺れて動かせない。


『麻痺属性の武器...。レットさん、なんで...?』
「殺し損ねたんだろ?奴をさぁ、俺は殺せと命令したんだ。なのに、仲良しこよしで?負けたから、帰って来ましたと。馬鹿にするんじゃねぇよ」
『殺せと言って、殺せるわけがない...。私には...それが出来ない』


するとレットは、ナイフを舐めながらこう答えた


「はぁん?何言ってんだオメェ?善人気取りかよぉ...。いてぇな、そりゃ痛くて悲しいなぁ?人をいじめる時の快感を知らないなんてぇ...哀れだな」
『哀れなのは...レットさん貴方ですよ。何故、人を痛めて、何故、悲鳴を上げているのに...助けようともしないのですか?』
『助ける?それは、そいつが弱いからだろ?弱くて、力なくて、無残に散って、それを笑わずに居られるはずがないだろ』
「確かにそうかもしれない、でも...やり方があまりすぎる」
『けっ、そんな女だとは思わなかった。アリスお前は正論だ、それが正しい...だが、今の現状はどうだ?どんな正論でも、どんな綺麗事並べても...けして変わらない、けして塗りつぶされない世界があったとすれば...正論なんざ通じない。真面目にやる方が馬鹿臭いってそう思わねぇかよ?』
『思わないわよ』


レットは、無言のまま...短剣を握りしめてアリスに向かって振り抜く
アリスは、レットの短剣に目掛けて自身が握る短剣を抜き取り弾き飛ばす


『っと...そんな腕でよく出来るな?』


アリスが、動こうとした瞬間、背中に何が無数に突き刺さるような感覚が伝わり、揺らぐ視界とゆっくりと倒れ込む感じさえコマ撮りのように疎らに感覚だけが伝わる


『罠にまんまとひ掛かることはねぇだろ。派手な死に方をしたかったのか?』


レットの嫌な声と、近くに来る足音が聞こえる。
そして、アリスの背中に短剣で刺していくレット


『死に場を求めていたんだろ?なら丁度いい...俺が逝かせてやる』


息をつかないかのような速さで突いていき
準危険域のイエローゾーンから、レットゾーンに差し掛かった


目の前が、単直に赤く点滅。
力は殆ど入らず、抵抗する事は出来ない。絶命へとカウントしてる様に点滅は速さを増す



ーーここまでかしら、意味が無い人生だったけど悔いなんてないわ。


遠のく意識、視界はやがて光を奪い始める。そう、なった瞬間ーー


『死ぬのはまだ早いぞ、少女』
『誰よ...あんた?』
『私は、この世界では精霊。問うぞ、なぜ死にたいんだ?』
『生き甲斐がない』
『どストライクな答え、私は感激した!だが、死ぬには惜しい、まだこの世界を堪能してないじゃないか!?』
『そ、それってどうゆういみよ...』
『堪能、それは...世界を楽しむ事や、味わい深い思い出を作る。なんていい話だ!そう、思わないか!!』
『勝手に解釈して、感激するかよ』
『するさ、私は精霊だから。いいか、死ぬって事はな...先の人生を勝手に断つ。言わいる未来を捨ててることを意味するんだ。勝手に未来を断ち切って自分から、人生から逃げる...その先に何がある?死して、逃げて...見えない姿になって、生きてるやつを羨む。結果的に後悔する。なら、生きていた方がまだマシだと思わないか?』
『説得力あるけど...精霊さん。このことを告げるために来たんじゃないよね?』
『オブ・ザ・イエーザー』
『意味わかんないわ』
『ふっ、私は何度でも危機が訪れたらまたこうして姿を表そうーー』


ふっと、目が微かに開く


意味がわからないけど、精霊にあれだけ言われたら...死ぬ気にもなれないわよ!!


「いいねぇ、その負け澄んだ顔……さっっいっこうだよ!ほらもっと、恐怖に、怯えろよぉぉぉぉぉぉギャッハハハハハハハーー」


だが、体に力が入らないことには変わりがない。
HPバーは、ゆっくりと減って行く
嫌な声だけは、ウザイほど聞こえる



視点をレクトに戻す、彼は武器屋に立ち寄っていた
武器自体の火力不足を何とかしようと考えていた


「むー、アザルトソードか……高いな……」


所持金8000G、アザルトソード値段8500Gか...
何か、小物売れば行けそうな気がする。


しかしだ、買ってしまうと...数日飢えを耐えなくちゃいけない


プラマイナーな計算。
レクトはアザルトソードの、性能グラフを開く


やはり、ATK(攻撃力)が高いし...
SPD(スピード)が上がるのか。


うーん...どうしよっかな?


「それほど、高くはないやろそれ?」
『うひぃ!?』


後ろを振り向くと、何やらかなり高価な服装着て一見どこにでもいる貴族の様な人がいた


「あ、あんた誰……?」
「わいの名を名乗る前に、まず自分が名乗るべきとちゃうか?ってさっきの声はキモいわ〜」


な、なぜ故に関西弁?っと疑問視あるがそれを抑えてレクトは、少々戸惑いながら名を教えた。


「レクトってゆうんか、自分はアルクって言うんや。いっちょうよろしくな!」


手厚い握手をかわした


「それで、アルク……お前の発言だが、このアザルトソードの値段……どこが安い?」


アルクはアザルトソードを握りしめて振り回しながら言う


「1本8000Gやろ?安い方やな」
「金銭感覚未数値だ...」
「なんか言うたか?」
「何でもない」


お金の価値観がわかりずらいな
てか、金銭感覚にこんなアバウトな人いるのかよ?


1本8000Gは、ボスクラスを10体分に相当する(現段階で)
それだけ、高級単価なのだ。


そんなの骨が何本あったらいいのやら。ぞっとして身震いする。


気づくとアルクはアザルトソード購入して装備していた。
実に手早い行動力だった。


「あ、あの...アルクさん……?」
「おう、レクトやんワイが買ったで?似合うやろ?」
「ちょ、おま……人の目標してたソードをやすやすと……」
アルクは頷きそして、レクトの体を指でつつき始める。


「まぁ、こまかいこと気にせんときなやー。羨ましんやろ?このこの」
「つつくな人の体!」
レクトは、アルクの腕を掴み体から引き離す。


「まぁ、まぁ、そう怒らんといてくれや。ノリが悪いと思われるで」
「あのなぁ...」


レクトは気が抜けたサイダーの様な顔つきで、武器屋を後にした。そのあと、攻略組による集会所に向かった


そして着くなり、やはり情報共有してるユーザーが多数いる中、俺が耳にしたのがーー


アルクはソチャゲーに課金するっていうどうでもいい話が耳に入った。


更にお財布は何時もガバガバってのが基本形らしい


攻略とは無縁だな...特に金銭感覚が。


席を変えてある噂も耳にした、それはレットソルジャーってギルドが、後に出来ると言う事で、他のギルド及び攻略組に投獄させる話が持ち上がっていた。


レクトは、その会話の中でも気がかりだったのがーー
ある少女が処刑されるって話だった。アリスの可能性も否定出来ない


なぜならば俺を殺し損ねたからだ
これも本項的に攻略とは無縁だが
まぁ、仕方ない、一肌脱いでやりますか?


「やれやれ、面倒事だ」
レクトは、席を立つ
「なんや?どなんした?」
「アルクついて来てたのか、ちょっと野暮用を思い出した」
冷静ではあったが、それが逆に焦りを感じてしまうアルクーー。
「にしては……かなり焦ってるな自分」
「悪い、後でメッセージに送る。多分、アリスがいる場所に向かう」
「まてや、ワイフレンド申請しておらんで?ってなんやって?!」
レクトの腕を掴み引き戻すアルク


「あぁもう、時間が無いんだけど!?」
「冗談やって、はよいけや。ワイは、仲間をかき集めるで」
掴んだ腕を手放すアルク、レクトは尋常じゃない顔つきをしつつ
「悪ふざけも過ぎだよ!んじゃ行ってくる。その件は頼んだ」っと言った


「了解や、さて、ワイも人脈経路路線を発揮せやな...って何処のバス路線やねん!」
「......(一人ノリツッコミしてるっと思う集会に集まったメンバー達)」


レクトは慌ててながら集会場を飛び出た


死ぬ気ないやつを見殺しになんか出来ない...アリス待って居ろよ今行くーー!!


果たして彼は間に合うのかーー?

          

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