異能学園のアークホルダー
俺は、絶対に諦めない!
コンクリートの破片が無数にばら撒かれる。それは弾幕、幾重にも張られた散弾だ。高速で飛来するそれは視認してから動いていては遅すぎる。網状に放たれた全面攻撃だ。
故に命中する。
それは必然だった。
信也の腕が砕けた。
足が折れた。
腹に直撃した。
「があああ!」
信也の悲鳴がフロアに響く。
「終わったな」
錬司が呟いた。呆気ない結果にそう言った。
当たり前だった、こうなることは。
信也では錬司に勝てない。
信也はいくつもの破片を受けた。数の暴力が信也に襲いかかる。
だが、
しかし、
だとしても――
信也はまだ終わっていない。彼の意志は死んではいない。
信也は錬司を睨み上げた。その瞳は燃えている。そして叫んだ。
ここに、人間の可能性が開花する!
「俺は、絶対に諦めない!」
「なに?」
どんな不利な状況でも諦めない。そして最後には道を切り開く。
信也は諦めていなかった。
瞬間だった。
信也が、破片の弾幕を躱した。躱していたのだ。
――無傷で。
「どういうことだ……?」
錬司の目が開かれた。それもそのはず、当たった、当たったはずなのだ。その目は信也が打ちのめされた姿を確かに見たはず。
なのに信也は生きている。その身は一つの破片も受けていない。
当たったはずなのに、信也は躱していた。
「どうなってやがる」
不可思議な現象に錬司は考えていた。信也の持つアークと目の前で起きている現象を結び付け、グレイントの処理速度で答えを弾き出す。
そこで、錬司の表情が驚愕に変わった。
「まさかッ」
「そうだ!」
錬司の驚愕に信也が応える。力強い眼で、自分に人間の可能性を教えてくれた錬司に叫ぶ。
それは、諦めないという想いが生んだ力の形!
「俺のアークは平行世界にいるもう一人の俺をコピーすること。ならいるはずなんだ、この状況でも、『生きている俺が!』」
信也の答えにさらに錬司の表情が歪んだ。
錬司が放つ無数の破片。避けられるはずがない。これだけの数を躱すなど不可能だ。
でも、
もしかしたら、
いるかもしれないのだ。
同じ状況で、無数の破片のわずかな合間。
逃げた先がたまたま無事で、生き残った自分が。
そんな平行世界が。
「ふざけんなぁ!」
錬司の怒号が響く。己のアークを最大限に発揮して弾幕をさらに速く、さらに密度を上げる。
放つ、放つ、放つ。
錬司の攻撃はかつてないほど凶暴だ。彼の感情に呼応したかのように破片は死滅の弾丸と化している。
当たれば即死。ここは空爆地帯かと言いたくなるほどの轟音と強風が吹き荒れる。
それでも信也は生きていた。
普通は諦める。数の暴力、速度だって追いつけない。見た瞬間絶望するはずだ。
それでも、信也は諦めない。
腕が折れた。
内臓が損傷した。
その度に前に出る。
それだけ、平行世界には諦めなかった自分がいたから。
「錬司ぃいいい!」
信也は駆けた、この不利な状況を。
躱す、躱す、躱す。
錬司が放つ無数の弾丸を。
この状況でも諦めず前に出て、生き残った自分が平行世界にいる限り。
故に命中する。
それは必然だった。
信也の腕が砕けた。
足が折れた。
腹に直撃した。
「があああ!」
信也の悲鳴がフロアに響く。
「終わったな」
錬司が呟いた。呆気ない結果にそう言った。
当たり前だった、こうなることは。
信也では錬司に勝てない。
信也はいくつもの破片を受けた。数の暴力が信也に襲いかかる。
だが、
しかし、
だとしても――
信也はまだ終わっていない。彼の意志は死んではいない。
信也は錬司を睨み上げた。その瞳は燃えている。そして叫んだ。
ここに、人間の可能性が開花する!
「俺は、絶対に諦めない!」
「なに?」
どんな不利な状況でも諦めない。そして最後には道を切り開く。
信也は諦めていなかった。
瞬間だった。
信也が、破片の弾幕を躱した。躱していたのだ。
――無傷で。
「どういうことだ……?」
錬司の目が開かれた。それもそのはず、当たった、当たったはずなのだ。その目は信也が打ちのめされた姿を確かに見たはず。
なのに信也は生きている。その身は一つの破片も受けていない。
当たったはずなのに、信也は躱していた。
「どうなってやがる」
不可思議な現象に錬司は考えていた。信也の持つアークと目の前で起きている現象を結び付け、グレイントの処理速度で答えを弾き出す。
そこで、錬司の表情が驚愕に変わった。
「まさかッ」
「そうだ!」
錬司の驚愕に信也が応える。力強い眼で、自分に人間の可能性を教えてくれた錬司に叫ぶ。
それは、諦めないという想いが生んだ力の形!
「俺のアークは平行世界にいるもう一人の俺をコピーすること。ならいるはずなんだ、この状況でも、『生きている俺が!』」
信也の答えにさらに錬司の表情が歪んだ。
錬司が放つ無数の破片。避けられるはずがない。これだけの数を躱すなど不可能だ。
でも、
もしかしたら、
いるかもしれないのだ。
同じ状況で、無数の破片のわずかな合間。
逃げた先がたまたま無事で、生き残った自分が。
そんな平行世界が。
「ふざけんなぁ!」
錬司の怒号が響く。己のアークを最大限に発揮して弾幕をさらに速く、さらに密度を上げる。
放つ、放つ、放つ。
錬司の攻撃はかつてないほど凶暴だ。彼の感情に呼応したかのように破片は死滅の弾丸と化している。
当たれば即死。ここは空爆地帯かと言いたくなるほどの轟音と強風が吹き荒れる。
それでも信也は生きていた。
普通は諦める。数の暴力、速度だって追いつけない。見た瞬間絶望するはずだ。
それでも、信也は諦めない。
腕が折れた。
内臓が損傷した。
その度に前に出る。
それだけ、平行世界には諦めなかった自分がいたから。
「錬司ぃいいい!」
信也は駆けた、この不利な状況を。
躱す、躱す、躱す。
錬司が放つ無数の弾丸を。
この状況でも諦めず前に出て、生き残った自分が平行世界にいる限り。
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