終末デイズ〜終末まで残り24時間〜

HaL

酒井 東夜の章:5

堂々とはっきりと告げられたその言葉に凍りついたのは僕だけだった。
彼女とその父親にとっては至極当たり前の言葉なのだろう。
一発殴る。
彼は確かにそういった。
「ふ、ふざけるなよ!なんでそんなことになるんだよ!それだったらぼくを殴れ!!彼女ではなく僕を殴れよ!!」
胸に手を当てて説得を試みる。
僕は殴られる対象が彼女ではなく、他の女性だったとしても僕はそうしただろう。
「おいおい、小僧。お前分かってねーなぁ!男をいたぶって何が面白いんだ?! 女をいたぶるから、圧倒的な征服感に浸ることができる!女を殴るからこそいいじゃぁないか!!」
舌を出して笑いながら彼は答えた。
イかれている。いや、もしかしたらこれが彼にとっての正気なのかもしれない。
凶悪な犯罪者の多くは小さい頃からの影響で凶行に移ると言われている。
それを考えてしまったらば...納得できるはずがなかった。
これは社会的には100%許されざる行為だ。そして僕の出した答えはこうだった。
「あぁ、好きにしろ」
最悪の一言だった。

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