学園のアイドルと同居することになりましたが・・・

seabolt

もうすぐ学校

コンコンコン……

また、沙耶香さんかもと思って

「はーい」

そう言うと沙織さんが入って来た。そして

「……してほしいの」

「最初が聞き取れなかったんだけど」

すると彼女は顔を真っ赤にして

「週に一度のハグをしてほしいんだけど」

それは、俺達が決めたことだった。学校でもするかもしれないハグ、失敗はできないとお互い納得の上、週に1度ハグをすることにしている。今日はその日だった。

「だったら始めますか」

俺は彼女の前で両手を広げた。すると同じように両手を広げた沙織さんは俺の胸元に飛び込んできた。

「えい!!」

お互いの感触を確かめる様にハグをした後、何事もなかったように彼女は、部屋を出て行った。






コンコンコン……

あれ?沙織さんかなと思っているとニヤニヤした表情の沙耶香ちゃんが入ってきた。

「へへへ……見ちゃったんだけど」

そして、ハグをしろとばかりに両手を広げた。

「なにを」

とぼけた俺を見てムッとした顔に

「パパさんに言っていいんだ。さっき、お姉ちゃんとしていたこと」

「うっ……」

すると沙耶香ちゃんは再び両手を広げた。

「めぐみくんには、拒否権はないの」

優しく抱きしめると沙耶香ちゃんはぎゅーと力を入れてきた。更に俺を押してきて、バランスを崩した。

どすん!

勢いのままベットに倒れ込んだ。目の前にに沙耶香ちゃんの顔のドアップが迫っていた。潤んでいるめがかわいい。

「めぐみくん……」

そっと目を閉じた沙耶香ちゃん、
ダメだ
近づく彼女の唇
ダメだ
ダメだ
ダメだ
俺は咄嗟におでこにキスをした。

「えっ?」

おでこを抑えた不満そうな顔を打ち消すように頭を撫でた。

「沙耶香さんも俺にとっては、大事な人なんだ。だから、しばらくこのままでいたいんだ」

その言葉に納得したのかはわからないが、立ちあがると頰にキスをしてきた。

「これで我慢してあげる」

そう言い残して部屋を後にした。





沙織さんは一人自分の部屋で寝ていた。亮さんの部屋では寝ていない。結婚して一度も、そんな寂しさを紛らすのにハグをした。しかし、その事がますます寂しさををつのらせていくのであった。


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