学園のアイドルと同居することになりましたが・・・

seabolt

ハグ・・

「この間やってくれたあれ・・・してほしんだけど・・」

「どうして?」

彼女の寂しそうな顔を見た瞬間、聞くんじゃなかったと思った。

「あ・・無理ならいいんだけど・・」

寂しそうに無理くり作った照れ笑いをしながら振り向いた瞬間、沙織さんの手を掴んでしまった。

「恵君・・・」

「いいでしょう・・・今からしますよ」

俺が両手を広げると彼女は笑顔で両手を広げた

「えい」

がば・・

体に伝わる彼女の感触、そして、お風呂上りなのだろうかボディーソープなのかシャンプーなのかいい香りがしてきて、彼女の温かさを感じて、どきどきと鼓動は鳴りっぱなし・・・お母さんでなければ、暴走しているに違いない。そして10秒ほどハグをした後、

「ありがと・・」

そう言い残して彼女は俺の部屋を出たのだった。





一方、部屋を出た沙織は自分の鼓動を確かめていたのだった。この家に来て、母として生きるそう決めたのだが、旦那様である亮さんには相手にされていない。家事は恵君がフォローしてくれるから何とかなっている。立場が母親というプレッシャーに押しつぶされしまいそうな今日この頃、亮さんと母、二人が買い物をしている姿を見て、孤独を感じざる得なかった。妹の為、自分の為、そして、母の為と言い聞かせてきたが、あの瞬間、糸が切れてしまった。そんな時に抱きしめてくれたのが恵君だった。

あたたかい・・

うれしかった・・

自分に味方がいたんだ・・・

そんな気持ちがさっきの我儘につながった。

そう・・・確かめるために

みぐみ君が味方なのかどうか

そして、意外なことに気付いた。

それが自分の鼓動だった・・・

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