腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが 特別編 〜美少女転校生と始める学園生活〜

けん玉マスター

68話 平和な平和な冬休み 〜陸と由希の場合〜

冬休みのとある一日。
一軒家に住む1人の少年の一日を紹介しよう。


ピピピピピ…
目覚まし時計が部屋に鳴り響く。
「…」
何も言わずにムクリと起きる少年こと陸。
普段は直ぐに起き、着替えてリビングへと向かう陸だが、今日みたいに寒い日は直ぐに起きれないものである。
「…起きるか。」
そのまま1階に降りると母が朝食を作り待っていた。
「おはよう陸。」
「おはよう。」
父は何も言わずにコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。
「…今日はどうするんだ?」
唐突に話しかける父。
「休みだからといってぐうたらするつもりじゃないだろうな。」
「別に…何をしようと僕の勝手だろ?」
「ふん…。」
「朝からピリピリした空気を作らないで朝食にしましょう?」
「ふん…。」
「今日はどこかに出かけるの?陸。」
「ちょっと友達と。」
「遊びばかりで成績を下げるなよ?」
父が陸に話す。
「せっかくの冬休みなんだから少しぐらいいいじゃありませんか。成績だって前の全国模試では5位だったでしょう?」
「下がったら元も子もないだろ。」
「両立ぐらいできる。」
「まあまあ落ち着いて。友達ってのは?」
「か、母さんには関係ない。」
「ふふ…由希ちゃん?」
「…」
陸は頷く。
「ふふ、頑張るのよ。」
「陸、今度あれだ…その…彼女を家に連れてきてくれ。」
「…なんのために?」
「話したいことがある。」
「…伝えとく。」
そのまま朝食は終わった。



「…いってきます。」
「気をつけてね。…どういう風の吹き回しですか?」
陸の母は父に尋ねた。
「別に…この前のことで彼女にも謝りたかっただけだ。」
「そうですか。ふふ…。」
「何を笑う?」
「いえ。なんでもありませんよ。」



「…遅い。」
「悪い。思いのほか信号が長かったんだ。」
「…ふーん。それで?彼女を待たせてなにかないわけ?」
「分かった…。デザートでも奢る…。」
「…ふふ、よろしい。」
「それよりも君がスカートなんて珍しいな。」
「…変?」
「いや、新鮮な感じがしていい。」
「…それはどうもありがとう。じゃ、行こっか。」
「ああ。」
2人は手を繋いで歩き出した。



「席空いてるといいな。」
「…そうだね。でもまだ早いから大丈夫じゃない?」
「だといいんだが…。」
陸と由希の2人は冬休みの課題を終わらせるために、図書館に向かっていた。
「そういえば気になったんだが。」
「…ん?」
「それだ。」
「…え?」
「君の一拍置くくせはいつからなんだ?」
「…うーん…物心着いた時からなんかこっちの方が話しやすくなってて。…嫌だった?だったら治すけど…。」
「いや、そっちの方が由希らしくて好きだ。ただいつからだろうと思ってな。」
「…ふーん。あ、席空いてるね。」
「そうだな。良かった。」
陸と由希は席につき課題を取り出す。
「…陸はどれくらい終わった?」
「一番楽しい数学は終わらせた。」
「…私も。数学楽しいよね。」
「そうだな…。3年でも数学は取ってるからな。」
「…ふふ、同じクラスになれるといいね。」
「そうだな…。」
「…陸、私国語が分からなくてさ。」
「ん?ああ、ここは係り結びを使ってだな…。」
そんな感じで仲良く勉強を進める陸と由希だった。


「…お腹減った。」
「そうだな。もう時間だしカフェにでも行くか?」
「…うん、行きたい。」
2人は一旦図書館を後にし、カフェに向かった。
カフェに着いた2人は案内された席でメニューを眺める。
「…私パンケーキ。」
「僕も同じのでいい。」
手早く注文を済ませ、雑談をする。
「…陸、お父さんとはどうなの?」
「どうって?」
「…仲…悪いんでしょ?」
「まあいつも通りだよ。」
「…そう…。」
「そういえば父さんが今度由希を家に呼んでくれって言ってたな。」
「…え?陸のお父さんが?」
「ああ、何の話かは知らんが話があるらしい。」
「…それは行かないとだね。後で日程とか分かったら連絡するよ。」
「ああ、頼む。」
話をしているうちに頼んだものがやってきた。
「…美味しそう…。いただきます。」
「いただきます。」
「…うん、おいひい…。」
「ふ…君は意外とせっかちなんだな…。」
「…え?どうして?」
「ほっぺにクリームついてる。」
「…あ…」
「ここだ。」
陸は由希の頬に着いたクリーム指でとる。
「…っ〜!」
由希は顔を真っ赤にして手で覆う。
「ミーシェ程じゃないが君も食いしん坊だな…。」
「…う〜、だってお腹減ってたから…。」
「君は普段からクールだがそういった所は可愛いと思うぞ。」
「…な、なんでそんなことスラスラ言えるかな…。鈍感なくせに。」
「鈍感?僕がか?」
「…そうよ。ほら!食べましょ?」
「あ、ああ。」
そのまま昼は終了した。




「…食べた食べた…。」
「図書館戻るか?」
「…うーんちょっと疲れたから散歩でもしない?」
「分かった。由希に任せるよ。」
「…こっちの方に私がよく行ってた公園があるの。」
「じゃあそこまで歩くか。」
「…うん!」


「結構広いところだな…。」
「…うん。昔はよくここで友達と鬼ごっことかしたなぁ。」
2人は遊具の少ない広場のような公園に着いた。
「…最近行ってなかったからなぁ…。あ!あの1つしかないブランコでは取り合いになってよく喧嘩したな。」
「乗るか?」
「…え?いや…いいよ。」
「久々に来たんだろ?子供も少ないしいいんじゃないか?」
「…じゃ、じゃあ乗る。」


「…ふふ…久しぶりだなぁ…。変わってないな、この落書きも。」
「ふ…僕は後ろで押せばいいか?」
「…うん。スピード出るまではお願い。」
「分かった。」
陸が後ろから押し、由希は足を使ってブランコをこぐ。
「…ふぅ…気持ちいい…!」
「どうだ?」
「…うん、速くて気持ちいい。でもちょっと寒いかな。」
「そうだな。冬に乗るものでは無いな。」
すると子供もが由希を指さす。

「見て〜、お姉ちゃんがブランコ乗ってる〜。」
「あはは、楽しそうね〜。」

そう言って親子は去っていった。
「…」
「まあこの歳で乗るものでもないな。」
「…そ、そだね。」
2人はブランコを後にする。
そのまま広場で座り雑談をしながら時間は経って行った。
「さて、そろそろ帰るか…。」
「…そうだね、もうこんな時間。」
「家まで送るよ。」
「…うん、ありがと。」



「…じゃ、今日はありがと。課題手伝ってくれて。」
「ああ、また言ってくれ。」
「…うん…。」
「どうした?疲れたか?」
「…ううん。ただ…私たちも同棲したいなぁって。」
「由希…。」
「…って何言ってんだろう私。今の忘れ…」
ス…
陸は由希に抱きつく。
「…ちょ、陸?…ん…」
陸は由希にキスをする。
「…ぷはっ、ちょ、急にはやらないでよ。ビックリするじゃん!」
「由希…今度どこかデートでも行かないか?」
「…え?これデートじゃないの?」
「そ、そうだが…あ、あれだ。また行こうって意味だ。勉強だけじゃなくて遊びに行こう。」
「…うん!ふふ…陸からキスしてくれるなんてね〜。」
「ぼ、僕だって男だ。やる時はやる。」
「…うん。」
「じゃ、またな。」
「…うん!ありがと。おやすみなさい、陸。」
「ああ…おやすみ。」



「…」
陸が去った後、由希はその場にしゃがみこむ。
「…不意打ちはずるいよ…。」
しばらく身悶えする由希だった。




間に合わなすぎてごめんなさい。
その代わりと言ってはあれですが少し多めです。
フォローorコメントよろしくお願いします!

コメント

  • かつあん

    ああ、尊い...(昇天)
    それは置いといて、小宮さん全国5位!?オール満点をいつも取っているあの小宮さんが!?上の4人スゲーな

    2
  • イルネス

    なんて平和な世の中なんでしょう

    2
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