腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが 特別編 〜美少女転校生と始める学園生活〜

けん玉マスター

23話 彼女の為に友のために

午後の部、100m走
「天城のやつはえーな。」
「そうだね…。」
「まあ天城はサッカー部の部長だからな。」
「ふーん…。」
「ふっ…ミーシェさん、見ていてくれたかい?」
こちらに気づき天城がやってきた。
「うん、速いね。」
「そうだろう?藤山なんかより断然速いよ。」
「へいへい、そうですか。」
「どうだい?やっぱり藤山なんかより俺と…」
「あ?」
「ユ、ユウ!絶対ないから大丈夫だって!」
「な!」
「そうか…そうだよな…。お!江ノ島と松山の出る100m走女子の部始まるぞ。」
「あ、ほんとだ!おーい!由希ちゃーん!菜々ちゃーん!頑張って〜!」
ミーシェは手を振り応援する。

「江ノ島は結構早いぞ…。」
「そうなの?」
「ああ、1年の時クラス一緒だったがかなり速かったな。」
「なんかあいつ…すげえな…なんでも出来るな…」
優が思ったことを素直に口にする。
するとミーシェがお気に召さなかったのか反応する。
「む…私だってなんでも出来るし!」
「ミーシェ?」
「スポーツだって、運動だって出来るし!」
「何怒ってんだよ?それにスポーツと運動は同じだろ?それに馬鹿だし…。」
「ぶぅ…。」
ミーシェはそっぽを向いてしまう。
「優…。」
「え?俺?」
「じゃあ私じゃなくて菜々ちゃんといればいいでしょ…!」
「…ミーシェ…焼きもちか?」
「…ふん…知らない…!」
(やべ…やらかした…!)
「…陸…ちょっと外すけどいいか?」
「……次の種目までには戻ってこいよ?」
「ああ。ミーシェ、ちょっと飲み物買いに行こうぜ?」
「…私喉乾いてないもん…。」
「いいからついてこいって。」
「ちょ…ユウ〜!」
優はミーシェの手を引き自販機に向かった。


10分後…
「ただいま、陸。」
「ああおかえり。優と…ミーシェ?」
「え?あ!うん!」
ミーシェは顔を赤くして帰ってきた。
「へへへ…菜々ちゃん達の番終わっちゃったね…ど、どうだったの?」
「二人とも1位だったぞ?」
「そ、そうなんだ〜。良かったぁ…。」
そのままミーシェは上の空になる。
「優…何したんだ?」
「え?…まあ…色々と…な?」
「そ、そうか…。」
「ふふふ…。」
ミーシェは1人何かを思い出して顔を赤くしては笑うのだった。

本当に何したんだ…?!

そう思う陸を含めたクラスメイト達だった。


「ミーシェ、クラスリレーもうすぐ始まるぞ?」
「うん!頑張るね!」
ミーシェは元気よく入場門に走っていった。
その様子を怪訝そうに見つめる渡辺を含めた女子グループ。
「ねえ、確か渡辺ってリレーだよね?」
1人の女子が渡辺に話しかけた。
「うん、ミーシェさんの前。」
「ふふっ、本当にやるの?」
「そうすればミーシェさんも終わりっしょ。」
「そうだね…。」


「ミーシェ〜!頑張れよ〜!」
優は応援席から手を振る。
「あ!ユウ〜!」
ミーシェは手を振り返す。
「…ミーシェは3番目か。」
「そうだな…。まあ運動神経いいからな、あいつは。」

位置について…よーい…
バン!
ピストルの合図で1番手の生徒が走り始めた。
一組は2位で次の渡辺にバトンが渡った。
「ミーシェさん!」
渡辺はミーシェに3位でバトンを渡す。
「任せて!渡辺さん!」
「…うるせえ…くたばれ…。」
渡辺はボソッと呟く。
「…え?」
ミーシェの足に渡辺は足をかける。
皆にはそれが見えていない。
「あ…」
「ミーシェ!」
優は思わず叫んでいた。
ミーシェはその場に思い切り転がる。
「っ…!」
バトンはそのまま遠くの方へ転がってしまった。
膝からは血が出ている。
「う…」
ミーシェは急いでバトンを拾いよろけながらもゆっくりと走り出した。
「ミーシェ…。」
「…渡辺…足かけてたな。」
「…」

既に差はもう絶望的なほど開いていた。
「みんな…ごめん…私のせいで…。」
「き、気にしなくていいって…。足大丈夫?」
「うん…。」
「はあ?!何やってくれてんの?!ミーシェさん!」
「渡辺さん…。」
「絶対ビリなんですけど!最悪!」
「っ…本当に…ごめん…。」
「言っておくが俺はアンカー走らないぞ?」
「!」
天城が唐突にそういった。
「ビリなんて冗談じゃない。君が走ってくれ。」
「そ、そんな…。」
「まじ最悪…コケるとかないわ〜。絶対わざとでしょ。そんなに男受け欲しいかっての。」
「私…は…」


その様子を見た優はゆっくり立ち上がる。
「…行くのか?優。」
「ああ…ジャージ…持っててくれ。」
優は陸にジャージを渡す。
「程々にな…。」
「ああ。」


「…天城。」
優は天城に話しかける。
「藤山?なんだ?」
「アンカーのタスキ、寄越せ。」
「は?」
「ユ、ユウ…?」
「走りたくないんだろ?俺に寄越せ。」
「何言って…お前なんかが…」
「恥かきたくないんだろ?だったら…寄越せ。」
優は天城を睨みつける。
「っ…す、好きにしろ!」
天城は逃げるようにタスキを渡す。
「ユウ…。」
「ほら、お前は足怪我してんだろ?洗ってこい。」
「でも!そしたらユウが!私のせいで…!」
ぽん…
「!」
優はミーシェの頭に手を置く。
「心配すんな。…少し本気出す。」
「ユウ…。」


さーてと、この差は凄いな。
花園の頑張りにより少し距離は縮まっていたが既に盛り返しは難しい所まで差が開いていた。
花園が優の元に走ってくる。
「藤山さん!」
「ありがとな…花園…。任せろ…!」
優は全速力で駆け出した。


ミーシェの膝の痛々しい傷を見た。
転んだときは笑われながらもバトンを拾い痛い足で次の走者にバトンを繋いでいた。
それでもミーシェはクラスメイトに責められた。しかも原因を作った渡辺に。
アンカーの天城にも見放されて。
ミーシェはその傷で自らアンカーをやろうとしていた。
無理に決まってるのに…。

(ここで助けなきゃ男じゃねえだろ…!)

残暑の残る秋の風が優の頬に当たる。
ここまで全力で走ったのはいつ以来だろう?
「!…は…」
前を走っていた生徒の驚きの声は風に置いていかれる。
優は次々に先頭集団を置き去りにする。
「っ!嘘だろ?!」
そのまま1位の生徒を追い抜きゴールテープを切った。


「ふう…久々に本気出したな…。」
「優…ごぼう抜きだな…。」
「まあな…。」
「…藤山くん…速すぎ…。」
「スゴすぎだよ!優くん!」
「サンキュ。えっと…ミーシェは…」
「ユウ!」
「え?」
「わっ!大胆!」
ミーシェは皆が見ている中、優に飛びついた。
「ちょ…おい、ミーシェ?」
「ありがとう…!ユウ…!」
「あ、ああ…。それよりも…」
女子生徒の歓喜の声や、男子の羨ましがる声が聞こえる。

「みんな…見てんだけど?」

「関係ないもん!ユウ…大好き!」
「あ、あり…がとう。」
「…」
「…ミーシェ…。はあ…目立ちたくないってのに…。」
「!」
「おお…さすが優…。」
優はミーシェをお姫様抱っこする。
「え?!ユウ?!」
「怪我人はとっとと保健室行くぞ。」
「ちょ…!恥ずかしい〜!」
「どの口が。」
そのまま2人は校舎の中に入っていった。

「…あれ?小宮くん、どこ行くの?」
陸は応援席から校舎裏の方に行こうとする。
「ああ、ちょっとね…。」


ガンッ!
校舎の壁を蹴る1人の女子生徒。
「最悪!藤山さえいなければ上手くいったのに!」
「せっかく怪我させて恥かかせようとしたのに意味無いね。」
「ほんと最悪…。」
「…なるほど、くだらないこと考えるね、君たちは。」
「「「!」」」
その場に現れたのは陸だった。
「小宮?は?何?」
「別に…。偶然通っただけだ。」
「アンタには関係ないでしょ?!」
「…関係ない?僕の友達にあんな事しといてよく言えるね…。」
「うるさい!第一私たちだって言う証拠がないじゃない?!」
ピ…
機械音がする。
『 せっかく怪我させて恥かかせようとしたのに意味無いね。』
「「「!…あ…う…あ…」」」
「や、ヤバいってこれ!」
「どうすんのよ!?」
陸のスマホから聞こえてきたのは先程の3人の会話だった。
「これを学校側に提出するつもりはない。」
「「「…」」」
「…でも…今度ミーシェになにかしてみろ。…タダじゃ置かないからな…?」
陸は3人を見下すように睨みつける。
「「「ひっ…!」」」
「やんちゃするのはいいが…大概にしろよ?僕の友達を傷付けるなら僕は容赦するつもりは無い。よーく覚えておくんだな。」
「い、行こ!」
3人は逃げるように走っていった。

「ふぅ…。」





…ガラじゃないな。




間に合いませんでした、すいません。

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コメント

  • HARO

    2人ともカッコよすぎ

    2
  • ペンギン

    今回はいつも以上に面白かったです!
    ユウがヤバすぎ...w

    3
  • 豆腐

    小宮かっこよすぎだろぉぉぉ!!
    優はやっぱり優だ笑笑

    4
  • 垂直抗力(元ラノベ大好きサムライ)

    小宮様イケメン過ぎ…(//∇//)

    4
  • かつあん

    顔を赤くして帰ってきたミーシェ。一体何があったのか?w
    渡辺は最低すぎるから死んで欲しい...
    で、そこから頑張って走ったものの天城に見捨てられる。はい!天城死ね☆
    ...もう、天城は安定のクズでもう慣れてしまった(末期)
    でも、怒りのユウが本気で走る!そして全員抜く!1位でゴール!これはみんな開いた口が塞がらないw
    裏で何もしないように仕掛けた小宮さん策士すぎる!もうこれで嫌がらせは少なくなるか?
    今回は特にニヤニヤするシーンや怒りを覚えるシーン、カッコイイシーンなど色々詰まっているいい話ですね!こんな時間まで起きていて良かったと思っています。

    5
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