腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが 特別編 〜美少女転校生と始める学園生活〜

けん玉マスター

21話 陽だまり園にて

「何緊張してんだ?ミーシェ。」
「え?」
「いや、さっきから落ち着かないからさ…。」
「そ、そうかな?別にそんなことないけど…。」
「そうか?」
「うん…。」
日曜日、この日は優のバイトも休みだったため、2人は陽だまり園に向かっていた。
(カナちゃんはユウの事好きなんだよね…。私たちが付き合い始めたって聞いたらショックだよね…。)
「本当に大丈夫か?」
「…え?」
「さっきからずっと黙ってばっかだし…今日は行くのやめるか?」
「う、ううん!ちょっと朝ごはん食べすぎちゃって!少し苦しいだけ。」
「そうか?バイクで来ればよかったかもな、歩きよりも。ベンチがあるし少し休憩しよう。」
「う、うん。ありがとう。」


「ほれ、ジュース。」
「あ、ありがとう。」
「…なんかあったのか?俺でよければ相談乗るぞ?」
「え…えっと…。…そうだね。ねえユウ…。」
「ん?」
「もし…さ。もしもの話なんだけど…もし友達の好きな人がさ…自分の恋人だったら…ユウはどうする?その友達に…なんて言う?」
「…そうだなぁ…俺は正直に言う…かな。」
「どうして?」
「隠してる方が傷つけると思うからかな。もしその友達が勇気出して告白したとするだろ?それで実は付き合ってましたってなってしかもそれが自分の友達だった。なんてなったらやだろ?そうやって友達を傷つけるくらいなら…俺は正直に言う。」
「ユウ…。そう…なんだ。」
「ああ。悩んでたのってこれか?」
「え?い、いや…悩んでたって言うか…気になってたって言うか…でも…スッキリした。ありがとね?ユウ。」
「おう。力になれたならよかったよ。そろそろ行くか。」
「うん!」
ミーシェはユウの手を取り、2人で歩き始めた。


「いらっしゃい、優、ミーシェちゃん。」
「こんにちは。奈美さん。」
「こんにちは〜!」
「「あ!優お兄ちゃんとミーシェお姉ちゃんだ〜!」」
瑠美と莉美が走ってやってくる。
「瑠美ちゃん、莉美ちゃん。元気にしてた?」
「「うん!」」
「ふふ…遊びに来てくれてありがとう、二人とも。ゆっくりしていってね?」
「はい。」
「ありがとうございます。」


「ふふふ…久しぶりだねぇ?晶くん、健人くん。」
「う、うす!」
「お、おひ!お久しぶりっす!」
「ふふふ…やっぱり二人とも喋り方面白ーい!」
「う、うす!」
「ど、ども。」
「なんだお前ら…ガチガチじゃねえか。」
「う、うるせぇー。」
「どれ…久しぶりに勝負するか?」
「!」
「マジで?!」
「ああ。1回ずつだけだからな?」
「よっしゃー、望むところだぜ!」
「まずは俺から行く。」
「おお、健人!頑張れよ!」
そう言って健人は腕まくりをしてユウの元へ向かう。
「え?なになに?喧嘩?」
「違うよ、腕相撲。」
後ろからカナが話しかけた。
「カ、カナちゃん…。」
「来てくれたんだね!ミーちゃん!」
「う、うん!それよりも…腕相撲?」
「うん。よくやってたよ?優には一度も勝ったことないけどね。」

「レディー…ファイッ!」
「うおおおおぉ!」
健人は思い切り力を入れる。
優の腕が少し傾く。
「おお…なかなか強くなったじゃねえか。」
「ぐぬぬ…!」
「でも…まだまだ特訓が足りないな。」
優は少し力を入れる。
「ぐっ…そぉぉぉ…!」
健人の腕が少しずつ傾いていく。
そしてそのままテーブルに着いた。
「くっ…そぉ!」
「ははは、中々鍛えたな。どれ、次は晶だったな。」
「おう!ぜってえ負けねえ!」
「仇取ってくれ!」
「おう!」

「レディー…ファイッ!」
「うおおおおぉ!」
思い切り力を込める晶。
「ふふっ…頑張って!ユウ!」
「!」
「!…どわっ!」
バシーンッ!
晶の手が一瞬でテーブルに着く。
そしてそのまま勢い余って椅子から転げ落ちてしまった。
「あ…わ、悪い!大丈夫か?」
「い、痛てぇ…!お、覚えてろよ〜!」
そのまま2人は走って行ってしまった。


「…ユウ、本気出しすぎ。」
「お、お前が急に応援するから…!反射だよ反射!」
「そんな嬉しかったの?」
「あ、当たり前だろ!?」
「やっぱり優は強いね。」
「おうカナ。文化祭振りだな。」
「うん!楽しかったよ?…怖かったけど…それに焼きそばありがとう!みんな喜んでくれたよ。」
「そりゃよかった。そうだ、ちょっと二人で遊んでてくれるか?ちょっと奈美さんに話があるんだった。」
「そうなの?」
「分かった。ミーちゃん!行こ?」
「うん。」


園長室。
「…奈美さん、ちょっといいですか?」
「優?どうかした?」
「ええ、2つほど話が。」
「いいわよ。座って。」
「ありがとうございます。」
「それで?何の話?」
「ええ、親父のことで…。」
「優…。」
「いや、別にそんな暗くならなくても大丈夫です。親父のことはもうミーシェのおかげで何とか乗り越えられたんで。」
「そう…。それじゃあなんの話なの?」
「はい、あんな親父ですから…再婚相手のことが気になって…もし母さんみたいに暴力受けてたら許せないなって思って…調べて欲しいんです。」
「…優…。」
「それに子供もいるみたいですからね。」
「…分かったわ。私の方で色々調べてみる。」
「お願いします。それともう一つですが…。」
「うん。」
「俺…ミーシェと付き合い始めたんです。」
「はあ…やっと正直になったのね…。」
「え?し、知ってたんですか?俺がミーシェのこと好きだって…!」
「何年あなたの面倒見てたと思ってるの?初めてミーシェちゃん連れてきた時から分かってたわよ…。」
「マ、マジすか…。」
「…大切にしなさいよ?ミーシェちゃんは優しいし可愛いから…悪い男に絡まれることもあると思うわ。」
「…はい。」
「その拳は…彼女を守るために使いなさい。」
「…はい…!」
「さーて…お祝いしなくっちゃね〜、惚気話、聞かせてもらうわよ?」
「え?マ、マジっすか…。」


「ミーちゃん?どうしたの?」
「え?」
「なんか元気ないね…。」
カナはミーシェを心配そうに伺う。
「ご、ごめん、ちょっと考え事してて…。」
「そう?」
(そうだよね…!決めたんだ…言わなきゃ…!)
「カ、カナちゃん。」
「ん?どうしたの?」
「じ、実は…私ね…!」
「うん。」
「ユウと…恋人になったの…!」
「え…。」
「文化祭の後夜祭の日に…告白されて…それで…。」
ギュ…
「え?」
カナはミーシェに飛びついた。
「おめでとう…!ミーちゃん…!」
「カナちゃん…。いいの?」
「何が?」
「カナちゃんも…ユウのこと好きでしょ?」
「…たしかに好きだけど…ミーちゃんには勝てないよ。」
「え?」
「優…ミーちゃんが初めてここに来た時からずっとミーちゃんのこと見てたもん。優はわかりやすいから。すぐにミーちゃんのこと好きなんだなって分かった。」
「カナちゃん…。」
「でも…私も自分の気持ちに嘘はつきたくなかったから。やっぱりかなわないね、ミーちゃんには。」
「カナちゃん…。」
「それで?どこまでいったの?」
「何が?」
するとカナはミーシェの耳元で囁く。
「…キスぐらいしたの?」
「!…な、ななな…何言って…!」
「もうっ!そんなんじゃ私が取っちゃうぞ〜?」
「ダ、ダメだよ!それに…ぼっぺにキスしたし!」
「そうなの?口は?」
「そ、それは無理!」
「それじゃダメだよ。もっと大胆にならなきゃ。」
「大胆に?」
「うん、ミーちゃんがそんな控え目だと愛想つかされちゃうよ?」
「そ、そうなのかな…。ユウって…どんなことしたら喜ぶんだろう…。」
「ふふふ…色々教えてあげよう。」
「カナちゃん…お願いします…!」
そのまま2人は帰り際まで話し続けるのだった。




フォロー200超えました!
読者の皆様本当にありがとうございます。

それからこれはお詫びなんですが…ちょっとまた忙しくなってきたので1週間ほど1話ずつしか投稿できません。なので前と同じように本編と特別編を交互で投稿します。もちろんどちらも投稿できる日は投稿します!

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コメント

  • かつあん

    分かりました!リアルを優先してください!そして、体調にもお気をつけて!
    ここから感想
    いや〜、カナちゃん正直にいい子でいいな〜。そしてユウ...全然知らない人のためにそんなに出来るなんて...

    2
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