腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが 特別編 〜美少女転校生と始める学園生活〜

けん玉マスター

13話 才能

「ねえユウ、どうだった?声変じゃなかったかなあ?」
「それだけ出来てれば上出来だろ。」
ユウとミーシェは急に出ることになった文化祭ライブに向けて屋上で少し練習していた。
「そうかなぁ…。」
「自信持てって。俺はお前の歌…好きだぞ。」
「!、ほ、ほんと?」
「ああ。」
「そ、そっかぁ…。ユウは?練習しなくていいの?」
「ピアノないからな。曲自体は難しいもんじゃないしな。リハで少し練習するよ。」
「…まさかユウの前で初めて歌った曲を全校の前で歌うことになるとは思わなかったよ…。」
「そうだな…。でも俺はあの歌のおかげで元気出たぞ?」
「え?」
「…あ…。」
また墓穴掘る優。
「と、とにかくだ!自信持てって事!」
「う、うん…。」
すると屋上のドアが開いた。
「藤山さん、ミーシェさん!」
入ってきたのは花園だった。
「急いで来てください!お客さんの量がすごくて…!」
「あ、おう。」
「うん!すぐ行くね!」


戻るとそこは地獄だった。
「な、なんじゃこりゃ〜!」

────私にもドラキュラ様を見せて〜!
────やばい!めっちゃカッコイイ!

その殆どは女性客である。
「…よお、陸。」
「…あ、ああ。」
「流石だね…陸くん。」
そうなのだ。ここにいる女性客のお目当ては殆どが陸が仮装しているドラキュラである。
「そ、そんなにおかしいか?この仮装?」
「ばーか。おかしいんじゃなくて完璧なんだよ。」
「え?」
「…うん、凄いよ…小宮くん。」
松山が陸を褒める。
「ふ、ふん…。」


その様子を遠くから見つめる1人の男子生徒。
「ふざけるな…顔なら俺の方がいいに決まってる…!」
天城光祐である。
天城は陸と同じ、ドラキュラの衣装に着替えた。
そうしてみんなの前に出る。
「どうだ!?」
「うん、いいんじゃない。似合ってるよ。」
「…そうね。」
「小宮よりいいだろう?!」
「…それは…どうだろう。」
「まあ…いいんじゃない?」
「ていうか天城。」
優が天城の肩に手を置く。
「ぷっ…くくく…。」
「藤山…何を笑っているんだ…!」
「チャ、チャック…全開だぞ?」
そう言って優は天城の下半身に視線を下ろす。
「な!こ、これは…!」
一瞬の沈黙が生まれる。
そして…
笑いに埋め尽くされるのだった。


「いや〜…天城のおかげでお客さん落ち着いたな。」
「そ、そういうこと言わないの!」
「だが意外だったな…。」
「そうだな…。」
「だね…。」

「「「白のブリーフ!」」」

「いや〜!まさかあいつが白のブリーフ履いてるなんてな!」
「よ、良くないよ…そういうの…。」
しかしなんだかんだでミーシェも笑っている。
「君たち、そろそろリハーサルの時間だろ?」
「あ…そうだな…。」
「私由希ちゃん呼んでくるよ。」
「おう。」

3人は軽音部のリハーサルのために体育館へ向かった。
「あれ?ミーシェちゃんじゃん。」
「え?あ…川口…先輩。」
「ミーシェちゃん軽音部だったっけ?」
「い、いえ…代理で…。」
「そうなの?!じゃあさ、俺達のバンドも手伝ってくんない?」
「え?」
「いいじゃん!デュエットしようよ!」
「え、えっと…。」
「こんにちは、川口先輩。」
「っ!…お前は…。」
「先日はどうも。」
「藤山…なんでお前までここにいるんだ…。」
「代理っすよ。松山のバンドでね。ミーシェ、行くぞ。」
「あ、うん。…失礼します。ユウ〜、待ってよぉ…。」
ミーシェは優に続いて歩き出した。
「っ…くそが…。」


「…紹介するわね?ベースの野崎  美雨のざき  みうちゃん。」
「よろしくね?山田さん、藤山くん。」
「よろしく。」
「あ、よろしく〜。私のことはミーシェでいいよ。」
「そう?よろしくね、ミーシェ。」
「うん!よろしくね?美雨ちゃん。」
「…こっちがドラムの木ノ下  希美きのした  のぞみ。」
「よろしく。」
「あ、ああ。よろしく。」
こいつ…神崎の幼なじみ…だよな…。
「よろしくね!希美ちゃん。」
「…ていうか同じクラスのやつじゃねえか。」
「まあまあ、一応ね。」
「…藤山くん、ピアノ見てみて。」
「あ、おう。」

ポロン…
懐かしいな…。久しくピアノには触れていなかったからな…。
「…どう?行けそう?」
「楽譜…貸してくれ。」
「…あ、はい。」
優は楽譜を目で流し読む。
「サンキュ。」
「…え?もういいの?」
「ああ…覚えた。」
「覚えたって…そんなの…」
ポロン…
優はピアノに指をかける。
美しい音色が奏でられる。
「…!…す、凄い…。」
「ユウ…綺麗な音…。」
魅せられているうちに1曲弾き終えてしまった。
「他にもあるんだろ?楽譜見せてくれ。」
「…え?あ、うん。」
優は全ての楽譜を頭に叩き込み、1曲1曲の弾き方を指に刻んで行く。

「ふう…こんなもんか…。」
「…す、すごいね…藤山くん…。」
「そうか?」
「ユ、ユウ…。」
「…は?お前…なんで泣いてんの?」
「…ユウのピアノ綺麗で…あれ?なんで私泣いてるの?」
「俺が聞きてえよ…。ほれ、ハンカチならあるぞ。」
「あ、ありがとう…。」
「この調子ならピアノは大丈夫そうね…。ミーシェ、歌える?」
「…私…ユウのピアノとだったらどんな曲でも歌えそう。」
「お前…大袈裟すぎだろ?」
「お、大袈裟なんかじゃないもん!絶対歌えるもん!」
「…まあ2人のその調子だったら大丈夫そうね。まあ少し練習しておいて?私たち機材見なくちゃいけないから。」
「おう。」
「ユウ!合わせてみよ!?」
「あ、ああ。」
宣言通りミーシェの歌は素晴らしいものだった。

ライブの本番の時が来た。



間に合わない!
きついなぁ…。
本編明日2話出しますので今日は休載でお願いします。
すいません…。最近学校のことでゴタゴタしてて…。

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コメント

  • かつあん

    一瞬で覚えるとかユウ優秀すぎだろ!その能力欲しい!

    2
  • 春雨食男

    僕は思ってしまった......書籍化しても良いんじゃね?

    4
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