一台の車から

Restive Horse

9.最強のスカイライン(日産 スカイライン2000RS R30)

その車は緻密に回転を重ね、スーッと加速していった。
いつもと同じように仕事場へ向かっていたときのことだ。
高速を走っていると一台の車が合流しようとしていた。
シルバーのボディに赤丸二つのテールランプが左右にある。
日産スカイライン2000RS、R30だ。
R30は2cvの後ろで合流した。
ミラーには後期型である鉄仮面マスクが映る。
そのあと追い越し車線にでて、FJサウンドを轟かせながら2cvを抜いていった。




日産スカイライン2000RS、通称R30。
6台目のスカイラインだ。
5台目のジャパンではなくなったスポーティーさが復活しているのが売りだ。

エンジンは2000cc、直列4気筒、DOHCのFJ20エンジンを搭載している。
またオプションではFJ20にターボチャージャーを取り付けたFJ20DETがある。
FJ20はあのS20エンジン以来のDOHCだが6気筒ではないのでRのエンブレムはつかなかった。
しかし、ターボを取り付けたときはS20の馬力を超えたので

「最強のスカイライン」

というキャチコピーで売りだされた。

実際モータースポーツでも活躍を見せた。
R30のモータースポーツといえば当時のグループ5にあたるスーパーシルエットフォーミュラしかおもいつかないだろう。
長谷見昌宏などがドライブし、優勝している。
大きすぎるフロントスポイラーに、太いタイヤとそれを覆う大きなフェンダー、レギュレーションにのっとため小さくなってしまったリアウィング。
純正パーツはテールランプぐらいしかないらしい。

エンジンはFJではないがターボチャージャーがついている。
シフトダウンするときにはサイドからだしたマフラーが大きくバックファイヤーを起こす。
このバックファイヤーの原因はCPUにある。
ターボを搭載したため、インジェクションにしたらしいのだが、いかんせん古いため緻密な制御ができず、減速時に燃料を多く送り込んでしまうらしい。
まあ、赤いボディに大きなバックファイヤーはかっこいいことに間違いはない。
ターボも時代を感じさせるドッカンターボだ。

シルエットフォーミュラが終わり、あのような過激な感じの車でレースをするのは見なくなってしまった。
もう一度やってほしいものだ。




仕事場につき、2cvを降りて、

「あれは、ターボついてたのかな?
ターボ音は聞こえなかったけど。」

なんて言いながら鍵をしめた。

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