クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

192話 取り合い

 シェレールside
「…………」
「…………」
 何故でしょう、いまさっきからユイさんが私の方をチラッと見ながら何も言わずにモジモジしています。
「………あの、どうかされたんですか?」
「……いや、えっとね、今さっき、シェレールが竜斗のことを旦那様って言ってたようなんだけど………わ、私の勘違いよね?」
「っ!」
 そ、そういえば思いっきり言ってたような気がします。
「……あ…あうあう……」
「………その様子なら本当に言ってたようね。」
「〜っ!あの、その………」
「………で、どうしていきなり旦那様って呼ぶようになったの?」
「えっと……今日の昼と言うよりも一昨日の夜に竜斗からプロポーズをされまして……」
「へぇ、ようやくプロポーズしたんだ。それで?」
「それで……私も竜斗が頑張ってくれたんだから何か私もしてあげないと、とおもってまずは呼び方を変えてみたんです。旦那様のことを竜斗って呼ぶ人はたくさんいますから……私だけしか呼ばない呼び方が良かったんです。」
「だから、旦那様……ねぇ。」
「はい……」
「まぁ、呼び方を変えるって言うのはいいわよね。でも、私がこの部屋に入った時は少し不服そうだったけど?」
「そ、それは………旦那様をベットにお誘いしようと……」
「ぶっ!そ、それって……あんたもやるわね。」
「だ、だ、だって、好きな人がいたらしたくなるのも当然なことだと思います!」
「でもなぁ、私は振られちゃったから分からないのよねぇ。」
「ぁ……そ、それは……すいません……」
「なんで謝ってんのよ?安心しなさい。いつかあんたから奪ってみせるから。」
「っ!さ、させませんよ!?もう、旦那様は私にメロメロなんですから!」
「それくらい分かってるわよ。でも、油断してると……泣いても知らないわよ?」
「うっ……」
 ユイさん、一番気を付けないといけない人です。
「この前みたいに喧嘩ばっかだとそれを私が慰めていつか私の良さに気づいて……」
「だ、ダメぇ〜!!絶対にダメです!」
「ふふっ、そうならないように頑張りなさい。」
 ユイさんは、すごいニヤニヤした顔でそう言ってきました。
 やっぱり注意は、しとかないといけませんね。

 竜斗side
「クロム、いるか〜?」
 俺は、扉をノックしてからクロムを呼ぶ。
「……うん……いるよ……待ってて……今……開ける……」
 するとクロムの可愛らしい声の返事が聞こえ部屋の中からパタパタとこれまた可愛らしい足音が聞こえた。
「……おかえり……待ってたよ……」
「悪い、遅くなって。」
「……全然……大丈夫……」
 クロムは、そう言って俺を部屋に通してくれた。
 部屋には夕食中だったのかテーブルに料理が並んでいてそれをレーネが小さな口で美味しそうに食べていた。
 レーネを見るだけでお腹が空いてきそうだ。今さっき、夜飯食べたばっかりなんだけどな。
「竜斗、おかえり。」
「悪いな、食事中に。プヨは、まだ寝てるのか?」
「あの後、起きたんだけどついさっきまた眠ちゃったわ。」
「そうか、そろそろ連れて帰るけどいいか?」
「……また……見れる?」
「ああ、もちろん。プヨは、ユイに預けてるからユイのところに行ったらいつでも見れるぞ。レーネは、俺に言ってくれ。」
「……分かった……見に行く……」
 クロムは、嬉しそうにそう言った。
「竜斗……ありがとう。お願いできる?」
 レーネは、自分の不甲斐なさからか少しずつ寂しそうな顔をしている。
「当たり前だ。レーネ、別に責任を感じることなんてないからな。俺だって昔はそうだったんだから俺もその辛さは分かるよ。でも、お前には俺とクロムとセレスさんっていう強い味方がいるんだからな。堂々と生きるんだぞ?」
「……本当にありがとう。もう、大丈夫よ!」
 レーネは、俺に向かって笑顔でそう言った。だが、その辛さを経験したことのある俺だから分かる。その笑顔は偽物だと。
 ………でも、まだそれでいい。いつか、本当の笑顔を見せてくれれば……
「そうか、分かった。それじゃ、プヨは連れて帰るな。」
「……バイバイ……」
「じゃあね」
「ああ、また明日。」
 俺は、そう言って部屋を出ていった。
 いつか、あの二人が何も怖がることなく道を歩けるようにいけるように頑張らないとな。

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