クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

110話 想い

「らっしゃい!」
 俺とロイアさんは、ロイアさん行きつけの食事処まで行き暖簾をくぐり店内へ入った。
 店内は、日本で言う居酒屋っぽくなっていた。
「大将、俺いつもの!」
「あいよ。」
 おお!このやり取りをこの世界で聞けるとは。
「そっちの坊主は何にする?」
「そうだな、大将に任せます。」
「あいよ。」
 大将は、俺たちの注文を聞くと調理に取り掛かった。
 店内に大将の調理をする音が響く。
「それで、俺に話したいことってなんですか?」
「……リュウ君、君は今誰か想っている人なんかいないかね?」
 ドクン!
 ロイアさんのその一言に俺の鼓動が大きく脈打つ。
「お、想っている人ですか?」
「ああ、君が心の底から共に生涯を一緒に暮らしたいと想える人だよ。」
「そ、それは……」
 いるのか?俺にそんなに人が?
 分からない。
 今いるみんなはすごい大切だしずっと一緒にいたい。でも、ロイアさんが言っている人はそういう人じゃないんだろう。
「悪いね、急にこんな話されたら困るよね。」
「い、いえ、そんなことは……」
「私は、娘がとても大切だ。正直、この世界全ての人を敵にしようと娘と妻だけは逃がしてみせる。私の職業を捨ててでも。」
 ロイアさんは、何かを語るようにそう言っている。
「そんな大切な娘がいつかは結婚することになる。だが、もし娘が連れてきた男がクズみたいなやつだとしよう。私は、どう接するべきなのだろう?娘がそんなクズ野郎と一緒に暮らしたいと想っているのだからそれを優先するべきなのだろうか?それともそんなクズ野郎と結婚させる訳にはいかないと私の父としての思いを優先するべきなのだろうか?私にはわからない。」
 俺は、ロイアさんのその話を黙って聞いていた。
「リュウ君、私の娘と結婚してはもらえないだろうか。」
「………は!?」
 俺は、ずっと黙っていたがそのロイアさんの発言により目を見開いてしまった。
「ど、どういうことです!?俺とルビーが結婚!?は!?」
 な、何!?エルフの国でのリル親に継いで次はルビーの父親!?
「先程も話したが私は、娘が本当に大切なんだ。だから、だからこそ、君と結婚して欲しい。数日一緒にいただけだが私は、君のことを信用している。リュウ君、君になら娘を任せられる!頼む、どうか娘と結婚してくれ!」
「………」
 なんだろう、この胸のモヤモヤは。
 確かにルビーは、すごい可愛い。もし、本当に結婚できるなら俺なんて幸せものだ。
 だが、なんだ。この感情は?
 俺の想っている人は……ルビーじゃない。
 そう、それだけは分かった。
 なら誰なんだ?
 というより俺は、本当に想っている人なんているのか?
「す、すいません……」
「そうか……ダメか。」
「あの、ルビーが別に嫌ってわけじゃないんです。ですが、俺でもよく分からないんです。俺に想っている人なんているのか。ですが、もしいるとしてもたぶんそれはルビーじゃない……ということは分かります。」
「………そうか。やはりリュウ君は信用できるな。」
「……え?」
「君は、ちゃんと私に本音を語ってくれた。それだけで私は、君にこのことを話してよかったと思うよ。」
「ロイアさん、ありがとうございます、そんなに言ってくれて。」
「いや、いいよ。それよりも本当に想っている人はいないのかね?」
「……それが分からないんです。自分でもよく分からないんです。まずそんな感情、今まで感じたこと無かったので。」
「なら、君はいつも誰のことを一番に考えるかね?」
 一番……。
 誰だろう。
「よく…分かりません。俺って誰のことを一番に考えているんだろう。」
「ふむ、なら、近頃気がつけば目がある一定の人物にいっているとかはないかな?」
「………あ」
「おっ!その返事はあったってことかな?」
「い、いや、たぶんそういうのじゃないと思うんですが……」
「自分がそう思っていても心はそう思ってないよ。人を好きになるってたぶん無意識だと思うから。」
 なら、俺は……
「リュウ君、恋って思っている以上にややこしいものだと思うよ。」
「そう……なんですかね。」
「自分なりの答えを出してその想っている人に自分のその答えを言ってみたらいいさ。恋ってのは相手がどう思っているかよりは自分がどう思っているか、の方が大切なんだよ。」
「自分なりの答え……」
「まぁ頑張ってみるといいよ。娘のことは残念だったがリュウ君が幸せになるのも大切だからね。応援してるよ。」
「ほら、ロイア、いつもの。そっちの坊主は俺の自慢の料理だ。ゆっくりと味わってけ。」
 俺が悩んでいるところに大将から料理が出された。
「まずは食べようか。いただきます。」
「……いただきます。」
 その後、俺は、大将自慢の料理を次々と食べた。
 だが、その味はどんなものだったか、覚えてない。

コメント

  • ユチチユチチ

    一夫多妻制を求む

    0
  • ミーウィ

    やっと気付いたかー

    0
  • ノベルバユーザー308600

    一夫多妻制をのぞんでいた…

    3
  • リムル様と尚文様は神!!サイタマも!!

    シェレール確定じゃないの?

    2
  • ペンギン

    うん...たぶん、シェレールですよね...w

    4
コメントをもっと見る / 書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品