SCP版 エンジェル・オーバードーズ

奏せいや

SCPゾンビ病戦 3

 時間との勝負。お行儀よく頭だけ潰してなんていられない。相手の腹部を殴り真っ二つにし地面に倒れたところを踏みつぶす。

 そこへ襲ってきたゾンビを殴り飛ばしたあとサイコキネシスで手前に寄せると同時に頭を殴りつけた。

 もう十体以上のゾンビは倒していた。あとどれだけいる? 守人は周囲から感じる異常な気配に集中した。

『藤森から報告! 国連軍が行動を再開したそうよ! そっちにも向かってる!』

「なに?」

 そこへ麗華から入った報告に足が止まった。ここへ国連軍がやってくる。まずいなとさらに表情が歪んだ。

「目立ちすぎたか」

『ファースト、牧野です。国連軍との戦闘はくれぐれも避けてください。彼らとの敵対は望むところではありません』

「分かっている」

 自分が着地したのは見られていたはず。得体の知れないものが許可なく戦っていると知れば無視もできないか。

『問題はその兵士たちが新たに感染する恐れがあることね』

 麗華の言葉に守人は頷いた。

 彼らもゾンビ掃討という目的を同じにする者たちだがこの場合状況が悪化する可能性がある。新たな犠牲者が出る前にできるだけ数を減らさなければ。

 守人はゾンビたちの声が聞こえる場所へと急いだ。道を走り壁を飛び越え見つけたゾンビの首を両手でへし折った。動きがなくなった文字通りの死体を地面に投げ捨てる。

「それにしてもここには何体の感染者がいるんだ?」

 彼らの存在を雰囲気で感じ取れるが正確な数までは把握できない。臭いのようなもので数が多いほど分かりやすいが原因のものがいくつあるかまでは分からない。

「現在確認できるだけで残り十八体よ」

 十八。守人に不安が過ぎる。感じからして一カ所に固まっているわけじゃない、このままでは間に合わない。

「ぎゃあああ!」

 悲鳴が聞こえた。それだけじゃない、銃声もだ。

「九時の方角、ベル神殿よ!」

 守人は走った。地面には石柱の残骸がいくつも転がっておりそれを器用に飛び移っていく。先には一部崩れてはいるものの原型を残している神殿が見えてきた。

 ほかと同じく石材でできており門や壁が残る建物だ。

 ゾンビはその神殿の周囲を徘徊していた。ゾンビたちも守人の存在に気づき全員向かってくる。

「退け」

 守人はジャンプした。そのまま正面にいるゾンビの頭を両手で掴むと顔面に膝蹴りを加える。それにより頭部は破裂。

 ゾンビは仰向けに倒れ他のゾンビたちもなぎ倒していった。これで周囲の敵はいなくなる。

 次の瞬間だった。守人のヘルメットに衝撃が走る。それと同じタイミングで銃声が聞こえた。

 守人はすぐにベル神殿へと視線を向けた。そこには三人の軍人がおり、一人が銃を向けていた。

全員が驚きと恐怖の顔で守人を見ている。どうやら敵だと思われたらしい。

「す、すみません」

 が、守人がびくともしていないのを見て謝罪してきた。守人は三人に歩いていく。

「止まれ! 撃つぞ!」

 別の男が銃口を向けてくる。心外だが正しい対応だ。

 男は本気で言っていたが守人は止まらなかった。歩みを止めず、それどころか走り出した。

「ほんとに撃つぞ!」

 守人は三人に向かって駆け、拳を振り上げた。

「ちぃ!」

 男が発砲した。二度の警告を無視して近づくアンノウンに攻撃する。威嚇射撃じゃない、射線は守人の胴部に当てられている。

 だが、発射された弾丸は守人の正面で停止した。念力による無力化。守人の体内に宿るアザゼルはもともと人間に初めて武器を教えたとされる天使だ、こと武器に対しては優位性がある。

 守人はG3を歯牙にもかけず三人に接近した。

「うわあああ!」

 男たちが悲鳴を上げる。守人は振り上げた拳を、男たちの背後にいるゾンビへと打ち付けた。

「え?」

 三人が振り返る。そこには今まさに背後から襲わんとしていたゾンビが仰向けに倒れていた姿だった。

 彼らが振り返る。

「あ、あの」

「油断するな、まだいるぞ」

「あなたは?」

「答えられない。現在多国籍軍はどう行動している? 包囲網は維持できているのか?」

 ゾンビたちを外へと出さないために包囲網を敷き人員を割いていたのを突入させれば壁が薄くなる。

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