SCP版 エンジェル・オーバードーズ

奏せいや

SCPフェルナンド 3

「んー、素晴らしい。最高ですね。ああ、しかし事前に承諾もなく食事をするなど、ましてや屋外で物を口にいれるという無礼をお許しください。申し訳ない。ですが、んー、これはいい、わたくし喉も乾いておりまして、血も飲ませていただきますね」

 悲鳴はなくなっていた。それをする器官はすでに失われていた。彼は頭を失い、首から押し出される噴水のような血を大男はラッパ飲みしていた。

 それを謝罪してくる。けれど止めることもしない。

「いろいろといただいてしまい申し訳ない。初対面だというのに。道を教えていただくだけでなく頭と血までいただいてしまうとは厚かましい。本当に申し訳ない。ああ、ですが、やはりもう少しいただいてもよろしいですか? 右腕だけでいいですので」

「う、撃てー!」

 そこで、ようやく頭が回り出した。目の前の光景に停止していた思考が走り出す。

 さっきまで一緒にいた仲間が、疎ましく思ったとはいえ共に戦う仲間が、目の前で食われたのだ。頭を失い、右腕まで食べられた。

 化け物だ。噂は本当だった。食人鬼。このままでは全員、こいつに食われる!

 男は銃を撃ちまくった。全員で撃った。軍仕様のアサルトライフルの銃弾が巨大な体に全弾命中する。

 それだけでなく機銃も大男をねらい撃ちにしていた。銃身が激しく回り空となった薬莢をいくつも排出して、目の前の怪物を蹂躙する。

 が、

「ふむ。やはりお怒りですか。左足は食べるべきではなかった」

 大男は、ビクともしていなかった。それどころか食事を進める余裕すら見せている。

「うわあああ!」

 その様に男は戦慄した。発狂していた。なぜだ、なぜ死なない? 死ぬはずだろ、実弾だぞ。機銃の掃射すら受けてなぜ立っていられる?

 大男は雨滴のごとく降りかかる銃弾を払うこともせず、食べかけの人間を地面へと投げ捨てた。そして彼らへと歩き始める。

 その表情は、笑っていた。

「では、残りは彼ではなくあなたたちからいただきましょう。ご安心ください。頭か全身の血液、どちらかしかもらいませんので」

 この場は悲鳴に包まれた。銃声が鳴り響いていた。

 その中央で、謝罪と賞賛する声が呟かれていた。

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