SCP版 エンジェル・オーバードーズ

奏せいや

帰還

 それから守人はイラク訓練施設に戻ると会議室を目指した。守人は会議室の扉を開くと部屋を満たすほどの歓声がかけられた。

 予想はしていたがあまりの歓迎ぶりに面食らってしまう。「よくやったな!」「おめでとう!」みなが守人を褒め称えている。

「守人くーん!」

 守人の前にできる人垣をかき分け麗華が走り寄ってくる。そのまま守人に抱きついた。

「やったじゃない! さすがね」

「はは。姉さんもな」

 顔を離しきらきらした目で見上げる。相変わらずの姉の振る舞いに守人は苦笑いを浮かべた。

 すると麗華の頬が膨らんだ。

「なによー、ここは喜ぶところでしょう、どう見ても!」

「そうなんだがな……」

 人前で抱きつくという行為に抵抗を覚える弟と一切躊躇いのない姉。姉弟とはいえ性格の違いが出ている場面だ。

「もっと喜べ喜べ、私は羨ましいぞ」

 そこへ獅子王がひやかしながらやってきた。楽しそうに笑っている。

「ちょっと、これは姉弟のやりとりなの。部外者が変な目で見ないでよね」

 麗華が守人から離れる。

「そうは言ってもな、普通姉弟はそんなことまでしないぞ」

 獅子王からの疑問にも麗華は笑顔のままだ。そのまま守人に振り返える。

「私たちの絆はそこらの兄弟姉妹よりも強いの。特別なのよ。ね?」

「…………」

「ね!?」

「うん」

「君の言う絆はたまに違うものに聞こえるんだが……」

「なにか言った?」

「いや」

 麗華の視線に獅子王はそっと顔を逸らした。

「そろそろいいですか?」

 そう言うと牧野が近寄ってきた。この場の指揮官に麗華も道を譲る。

 牧野は守人の前に立った。

「今回の任務ではよくやってくれましたね。あたなの働きで有益な情報が入りました。また相手側に与えた被害も十分なものです。ご苦労様です」

「まあな」

 牧野の淡々とした口調から並べられる賛辞に守人も満更でもない様子で肩を竦める。

「それで今回のことであなたと話があります。ついてきてください」

 そう言うと牧野は扉を開け隣接した部屋へと移動していった。以前賢条と話をした部屋だ。守人もあとをついていった。

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