SCP版 エンジェル・オーバードーズ

奏せいや

ISIS本部襲撃3

 守人は黙っていた足を動かした。研究所の道を進んでいく。そこで横にある部屋へと入ってみた。

 そこは手術室のような場所だった。置かれた様々な機材に多くのライト。それだけならば一般的な手術室と同じだが、ここにはそれらとは違う機械が置かれていた。

 手術台だ。部屋の中央には手術台が置かれているがただし取り付けられているオプションが物騒だ。

 丸いカッターやドリルは施工工場で使われるような、間違っても人体に用いるものではなく、また物をつかむアームが何本も取り付けられていた。

 いったいこれらでなにをするつもりなのか。これでは改造人間を作るそれだ。真っ当な手術台ではない。

 それを見て麗華がつぶやいた。

『そんな、まさかこれって』

 知っているのか驚きには既知ゆえの反応が混じっている。知らない守人には趣味の悪い手術台にしか見えないがこれがいったいなんだというのか。

 麗華は確信に至り驚いた。

『SCP!? なぜこんな場所に? SCP財団が収容しているはず!」

「SCP?」

 超然的な現象を引き起こす物、生物、場所がSCPと呼ばれるものだ。

 守人の体内にあるアザゼルも同じSCPであり、それらを確保、収容、保護するのがSCP財団と呼ばれる世界的な秘密組織だ。

 そのSCP財団が持っているはずのSCPがここにあるという事実。

 まさか、ISILとSCP財団に繋がりがあるのだろうか。

『これがここにある以上、この件に財団が無関係ということはないはずよ。それにこのSCPは……』

 麗華の声が鋭くなる。

『SCP―212、手術台……。この台に乗ったものを改造、強化するSCPよ。強化と言えば聞こえはいいけれど、この改造には被験者の負担を考慮されておらず、麻酔が不使用なのは当然で、四肢を切り落としたり人間以外の部位を移植することまである危険なものよ』

 麻酔未使用の手術とは聞いただけで壮絶なのが分かる。さらに人間以外の部位を取り付けられるとは本当に特撮ヒーローものに出てくる怪人だ。

『ただそうして強化された人間を作り出せるので戦闘向きではあるけれど、でもこんなものを持ち出すなんて』

 常軌を逸している。地下実験場に置いてあるSCP。それが異様な雰囲気を出していた。

『ファースト、さらに捜索をして。財団との繋がりを示すものがあるはずよ』

 こんなものがここにある以上両者の繋がりを探す必要がある。それにここで行われていたことも。

 守人は奥へ続く道を見た。そこにまだ見ぬなにかがあるかもしれない。そこへ向かって歩き出す。

 道を通り次の部屋へと出た。

 そこは死体安置所のような場所だった。多くの台が整列して並べられその上には人が横になっている。アジア人が多いが欧米人も見てとれる。

「これは……」

 彼らは一様に病人が着るような白衣を身につけ息を引き取っていた。さらには腕には多くの注射痕や縛った痣が浮かんでいる。額に青色のバーコードが付けられていた。

 なにより普通でないのが、何人かは体が変異していることだ。

 カメレオンのような肌をした男性がいた。腕が翼になっている者もいた。体中に銃を埋め込まれ腹から銃口が出ている者もいた。

 その異様さ。これはただの遺体ではない。これは――

「実験体か」

 人体実験に用いられた被検体。おそらくさきほどのSCPだろう。そして廃棄された失敗作。

 ここで、この場所で、ISILは人体実験を行っていたのか。

 さらに進んでいけばそこには緑色の液体が入ったカプセルが並び、そこには人一人が浸かっていた。

 みな体の一部が別のなにかに置き換わっている。まるで理科室にあるホルマリン漬けを思わせる。

 見ていて、胸が悪くなる場所だった。

『ファースト、映像の中にいる男がヒットした。ドイツ人で自らISILに志願した男だ。ここにいる者たちはISILの敵兵じゃない、身内だ』

 獅子王から報告が入る。

『自分たちの仲間を使って実験を行っていたというの?』

『むしろ、そのために世界中で仲間を募っていた可能性が高いがな』

『なんてこと』

『問題はこんな実験をなぜ、そしてどこが主導していたかだ』

『まさか』

 そこで麗華が驚いた。思いつく予想に戦慄する。

『これらが財団ならともかく、G4だと厄介だぞ。この実験がISILと諸外国との共同の可能性が出てくる』

『アメリカや欧州がISILとグルだって言うの!?』

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