SCP版 エンジェル・オーバードーズ

奏せいや

ISIS本部襲撃2

 守人は構わず走った。銃弾が迫り来る中を一瞬で踏破すると両手を広げ二人の顔をそれぞれ掴み壁に激突させる。

「ファースト、突入する!」

 守人はビルの建物を蹴破り突入した。中に入ると一階フロアの家具に隠れて男たちが銃を撃ちならしてくる。とんでもない入り方にとんでもない歓迎だ。

 守人はダッシュし男の腹部を殴りつけた。守人の拳は重機の一撃に等しい。

 男は一瞬で意識を失い、守人は別の男もローキックで体ごと宙に浮かせると、上から振り下ろした拳で床に打ち下ろした。

 フロアの先には廊下が続いており両側に部屋が並んでいる。左には二階へ続く階段があった。

『時間がないわ。ぜんぶは見ていられない』

 任務に許された時間は十分。それ以上は自分たちの存在が他の国にまで知られかねない。

 一階から調べていくか。それとも上階に向かうか。迷ってはいられない。

 そこで守人はビルの壁面に手をついた。そこから自分の感覚を建物全体へと伸ばしていく。共感覚の延長だ。

 ビルが見たもの、ビルが触れているものを自分のことのように感じられる。

 それは自分の肌が広がっていくかのような感覚だった。肌に触れているスーツの感触。

 それがどんどんと広がっていき、このフロア、そして建物全体にまで広がっていく。曖昧だが浅くて広い、そんな感覚。

 守人は手を離した。 

『どっち!?』

 麗華が聞いてくる。手がかりはどこにあるのか。それに守人は答えるが、声調はいぶかしむように落ち着いていた。

「いや」

 行き先は廊下のさきか二階へ続く階段だと思っていた。だが自分の異能は三つ目の選択肢を示している。

「地下からなにかを感じる」

 上ではなく下。盲点を突くような場所になにか特別なものを触れたのだ。

『こちらでもその建物の見取り図を調べているが、地図上では地下はない。あるとすれば隠されている』

 守人の捜索結果に牧野も返事をする。特戦も同時進行で情報を探っているが地下がある様子はなかった。

「了解。大丈夫だ、すでに見ている」

 が、守人はすでに入り口を見つけていた。

 守人は走り出し一階の部屋へと入る。そこにはカーペットが何枚も敷かれているが、守人はその一枚をめくり上げた。そこには鉄板が敷かれており念動力で移動させる。

『階段?』

 そこには地下へと続く階段があった。奥は暗くて見えない。

 そこへ守人は歩いていった。階段を降りて地下へと向かっていく。

『ここに、なにがあるのかしら』

 階段の壁には一本の電線が通っており等間隔に設置された電球だけが光を放っている。それ以外は暗闇だ。さきはまだ見えない。

 まるでなにかを隠すようにこの道はある。この暗闇こそがこの先にあるものを覆い尽くし闇に封じ込めているようだ。

『ISIL。その秘密が、ここに隠されているの……?』

 国際武装テロ組織。国際社会を脅かす過激派集団。そこに隠された真実が、文字通り一歩ずつ近づいていた。

 守人は階段を下り終えた。道はいつの間にか土を固めたものになっており奥へと続く道のさきには光が見える。

 守人はゆっくりと近づいていった。

『気をつけて。なにが出るか分からないわよ』

 慎重に、光が見える方へと歩いていく。

 道を抜けた。そこには巨大な扉があり守人の行く手を阻んでいた。

『なに、これは』

 そのあまりにも仰々しい扉に麗華が声を漏らす。

 これは銀行の金庫の扉だ。重く大きな鉄製の扉はあまりにもここには不似合いで別のなにかを感じてしまう。

 ここから先はISILの領域じゃない。もっと別のなにか。

 守人は片手をかざし念動力で扉を動かしていく。頑丈なそれが潰れるように変形していく。ロックが壊れ、守人は勢いよく蹴破った。

 そして、そこへ一歩を踏み入れる。

 そこに広がる光景に、言葉を失った。かろうじて麗華だけが口を開く。


『なによ、これは』
 言葉にしないだけで、守人も同じ気持ちだった。

 なんだ、なんなのだこれは。

 そこには巨大な空間が広がっていた。それも最新の研究所として。ここに来るまでの洞窟のような道などとは違い壁は舗装され白の空間が広がっている。

 置かれている機材もすべて新しくまた規模もでかい。

 明らかにISILの資金や技術で作れるものではなかった。

『これほどの規模、ISILだけで作れるものじゃないわ。それに、ここはなんの研究所?』

「…………」

「SCP版 エンジェル・オーバードーズ」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「SF」の人気作品

コメント

コメントを書く