SCP版 エンジェル・オーバードーズ

奏せいや

脅威4

「どちらにせよ情報が足りませんね。誰が敵なのか、なにが起こっているのか。正確に把握しておかなければ判断を誤ります。どうなさいますか?」

 牧野からも賢条に判断を仰ぐ。なにをするにしても現状では打つ手がない。できることといえば当初の予定通り秘密裏に守人の戦闘データを取ることだ。

 賢条は目をわずかに下げ思案する。その後すぐに目線を戻した。

『ではこうしよう』

 敵の存在を確認していたも素性は分からず、居場所も分からない。そのような状況でどう行動するのか。

 特戦の室長として、賢条は言った。

『ISIL本拠地を急襲する』

「ほう」

 賢条の指示に初めて獅子王が口を開いた。

「ちょっと待って、分かってるの!?」

 だが驚いたのは彼だけじゃない。話を聞いていた全員だ。その中でも一番麗華が驚いている。

『彼らの発信している写真や映像からの分析は世界中で行われている。当然衛生カメラからもやつらの動向は監視していた』

 ISILと国際社会の戦いは世界中で報道されているが知らされていない事実もある。

 それが本拠地の所在だ。国はすでに把握しているが戦略的観点から公開はしていない。

 それを知っている賢条から新たな作戦が伝えられた。

『やつらの本拠地にファースト単騎で突撃を行う。敵を倒し建物に進入、手がかりとなるものを回収、撤退しろ』

 それが賢条の考えだった。これが決まればISILに大打撃を与えるだけでなく裏でなにと繋がっているのかも知ることができる。一石二鳥というわけだ。

 だが麗華が反論する。

「簡単に言ってくれるけど、敵の本拠地を攻撃するとなれば激しい抵抗を受けるわ。いったいどれだけ多くの防衛線が敷かれているか。近づくだけでも大変よ」

 彼女の言っていることは尤もだ。敵の本拠地を掴んでいるのは他国も同じはず。にも関わらずしていないのはできないからだ。

 それだけに敵が展開している防衛力が高く、迂闊に手が出せない。

 そんな敵に、守人は言った。

「いや」

 麗華の心配を押しどけて、戦う意志を見せつける。

「場所さえ分かっていれば、俺がなんとかする」

「守人君? ちょっと、自分がなにを言っているのか分かってるの? 君一人でISILを打倒するつもり?」

 馬鹿げた話だ。たった一人でテロ組織を倒すなど。

 けれど守人の目は真剣であり冗談のつもりもなかった。

「これしかない。賢条の提案は強引だが、確実な方法だ」

「そんな」

『そうだ、君ならできる。作戦プランを作成後、正式なブリーフィングを行う。決行は明日だ』

「了解です」

 賢条の指示に牧野が頷いた。

 不明敵の遭遇と賢条の作戦により大きな展開を迎える守人たち。これから先どうなるのか誰にも予想がつかない。

 この戦いがどんな様相を呈するのか。それは誰にも分からない。

『守人君、君と話がある』

 そんな中で、賢条が守人に話しかけた。

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