SCP版 エンジェル・オーバードーズ

奏せいや

アンノウン4

「馬鹿な、俺が……!」

 敵に焦りが見える。コウモリの数はみるみると減っていきあと八匹。

「クソが!」

 叫ぶがもう遅い。守人は最後の一匹に向け、決着となる拳を構えた。

 瞬間だった。守人のヘルメットに銃弾が当たったのだ。

『どこから!?』

 麗華が叫ぶ。守人はすぐに当たった方角を向くが狙撃手の姿は見当たらない。千メートルは向こう側だ。

 さらに銃撃の衝撃に念動力も解け敵のコウモリが逃げ出してしまった。

『もう! 仲間がいたなんて!』

 麗華が悔しがっている。もう少しで勝てた勝負だが引き分けだ。

 敵の姿は見当たらず気配もない。完全に見失った。

「敵をロスト。指示を求む」

 どうするか。まだ遠くへは言っていないだろうがあの小ささだ。見つけるのは容易ではないだろう。

 それに仲間がいるなら連戦、さらに挟撃もあり得る。深追いはリスクが高い。が、捕まえるなら今が好機なのも事実。

『ファースト、今すぐ帰投しろ。今そこにヘリが到着する』

 通信で牧野が言っている最中にヘリがやってきた。住宅街のここでは着地地点は限られている。ヘリは滞空行動に入ると、守人はその場で跳躍し自分からヘリに乗った。

「こちらファースト、今から基地に戻る」

『了解よファースト、任務終了。お疲れさま』

 麗華の声が守人の帰投を歓迎する。

 彼女の声を聞きながら守人は席に座った。それから開けっ放しの扉から地上を見下ろす。自分が戦った後がそこにはある。裏返った戦車なんて壮観だ。

 初めての戦闘で自分の力を実証した。守人は勝利したのだ。

 だが、ヘルメットの内にある守人の表情は決して喜んではいなかった。

 むしろ厳しい顔つきで戦場を見下ろしている。

『それにしても、さきほどの敵はいったい』

 麗華もそれを気にしている。あれほどの戦闘力、誰でもできることじゃない。さらに背景も気になる。

 国際武装テロリスト組織、ISIS。それ以上でも以下でもない。そう思っていた、この時まで。
 いったい、この戦場でなにが起きているのか。

 守人はいい知れない不安を感じながら基地へと戻るのだった。

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