SCP版 エンジェル・オーバードーズ

奏せいや

エフェクトスーツ2

 守人はヘルメットを被ってみた。バイザーには様々な情報が映し出されており、試しに獅子王の顔を見てみると右下に顔のアップされた画像が映し出されていた。

 画像データは情報データベースに参照されすぐに個人データも表示された。通信や情報伝達に使えそうだ。

 守人はヘルメットを脱ぐ。

 文句のない出来だった。これなら戦えそうだ。

 だが、一つの疑問が浮かぶ。

「素晴らしいが、これはもうG4じゃないのか?」

 汎用的超人化。これはまさしくそれだ。これを着れば誰でも強くなれるなら、もうこれだけでいい気がするのだが。

「そのスーツの動力源は君のアザゼルだ。君以外には使えない」

 そういうことか。守人は納得する。

「君の言うことはもっともだ。これのコンセプトはG4の汎用性に沿っている。そもそも異能を付与する場合、その方法を確立しても対象が人である限り成果は不安定だ。相性や体質、遺伝。さまざまな不確定要素がある。しかし、対象を生物ではなく物にすれば、同じ素材に同じ規格を用意できる。安定して同じ異能、出力を作り出せるわけだ。私はこれを異能エフェクト理論として推奨しているが、と、話が逸れてしまったな。君は全力を出せないが、余剰分の力をこのスーツが利用する」

 獅子王の研究者らしい発言もあったが講義はまたの機会だ。重要なのは、このスーツが守人の戦闘行動をサポートする。それに尽きる。

「了解。宗作、感謝する」

「いや、礼は言わないでくれ。マッチポンプみたいなものだよ」

「そうよ守人君、礼なんてしなくていいわ。これも実戦テスト、そうでしょう?」

 麗華は賢条を見て言った。そもそもさきほどから麗華の機嫌はよくない。

 苛立った態度はやはり守人が実戦テストのモルモットとして戦場に送り込まれるのが気になっているためだ。

 その原因である賢条だが、麗華に睨まれても平然としていた。

「なにか問題かい、聖法教会?」

「…………」

 麗華の口が黙る。その名前を出されるとなにも言えなくなる。麗華の抵抗が視線に込められた。

「いいんだ姉さん」

 そんな彼女の肩に守人が手を置く。こうした扱いは慣れているし納得している。それに悪い話ばかりではない。このスーツで暴走の危険性が減るのであれば利用すべきだ。

 もう、あんな悲劇はこりごりだ。

 守人はスーツに念じ非活動状態に戻す。やることは分かった。その手段もある。

 守人は部屋の中にいる全員を見渡し、気合いを入れた。

「今は、戦いに集中しよう」

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